中国新聞出版総署、教育部、公安部などの関連省庁がこのほど、「オンラインゲームシステムにおける未成年保護に関する通知」を発表した。これによれば、中国のオンラインゲーム各社は7月16日から自社のシステムに監視・警告システムを導入しなければならないと義務付けている。標準のスケジュール表として、4月15日から6月15日までの間に、各社はガイドラインに基づきシステム開発を行い、6月15日から7月15日までにシステムのテストを完了させることが必須とされている。
中国新聞出版総署電子・ネット出版管理局副局長の寇氏は、「長時間におよぶオンラインゲームが、未成年学生の心身に深刻な影響を与えている。こうした現象を引き起こす重要な誘因としては、ほとんどのオンラインゲームタイトルが、ユーザーにステータスの上昇やバーチャルな賞品の付与を行う報奨システムをもっていることから、オンラインでいる時間を増大させる点が挙げられる。この仕組みに釣られ、自己コントロール能力の弱い未成年学生が長時間に及ぶオンラインゲーム中毒にかかっている」と指摘した。
今回発表されたシステムガイドラインだが、未成年に対し、1日累計3時間以内のオンラインゲームは「健全的」と定義し、1時間ごとにアラームを発するようにする。累計3時間を超過した後の最初の2時間は「疲労的」と定義し、この時間内のゲームで得られた得点は半減されるという。また、累計5時間を超過した場合は「不健康的」とされ、15分ごとにアラームを発するほか、ゲームでの得点は全てカウントされない。今回のガイドラインで打ち出された制限時間の定義は、未成年の生理的な特徴に鑑み、関連の調査を実施したうえで決定されたという。
ガイドラインではさらに、当該ユーザーが未成年であるかどうかを判断するために、ログイン時点でユーザーの身分証明書のID番号入力を求め、そのID番号を警察の照合システムに連動させる案も盛り込んでいる。一旦未成年と確定した後は該当ユーザーを自動的に監視、警告システムに連動させる仕組みだ。
中国でも、未成年の長時間のオンラインゲームが深刻な社会問題になりつつあり、オンラインゲーム会社に対しても批判の声が起きている。政府は今回の措置がオンラインゲーム産業に与える影響を「限定的」と見ており、この監視・警告システムの導入に踏み込んだとみられる。ゲーマーを直接警察の監視の下に置くというきわめてドラスティックな措置だが、どれだけの効果が挙げられるかは未知数ともいわれている。