米EqualLogicの日本法人であるイコールロジックの設立が12日発表された。EqualLogicは、iSCSI対応SAN(Storage Area Network)の分野でマーケットシェア2位の実績を誇るストレージベンダー。日本法人の設立に併せて、ハイエンドの新製品を投入し、さらなるシェア拡大を目論む。
「IDCによると、SAN市場は今後、年率約10%のペースで成長を遂げると予測されている。しかし、その内訳を見てみると、現在最も普及している"ファーバーチャネルによるSAN"は横ばいで、"iSCSIによるSAN"が年率約80%のペースで伸びることにより市場の成長を牽引する格好になっている」。発表会の冒頭、米EqualLogic 社長兼CEOのDon Bulens氏はこのように述べ、iSCSI対応SANの持つ可能性を改めて強調した。
iSCSIとは、一般的なIPネットワークインフラを使ってSANを構築するための技術である。現在のSANは、ファイバーチャネルという専用インタフェースを使用することが多いが、ファイバーチャネルは大容量かつ高速なデータ転送を実現できるものの、ネットワークの整備/管理が煩雑になるといったデメリットも併せ持つ。一方で、近年のIPネットワーク環境の進化により、ファイバーチャネルとIPネットワークの能力の差は縮まりつつある。そこで、一般的なIPネットワークインフラを使用できるiSCSIが、大きな注目を浴びているのだ。
EqualLogicは、こうした伸び盛りのiSCSI対応SAN市場において「設立後わずか3年弱で世界市場第2位」(Bulens氏)に踊り出たベンダーだ。同社製品の最大の特徴は、高度な自動化を実現した管理機能にある。例えば、仮想化や負荷分散の設定がほぼ自動的に行われるため、「導入の際にも、仮想IPアドレスや物理IPアドレスなどの項目を設定するだけで、20分もあれば作業を終えられる」(イコールロジック代表取締役社長 秋山将人氏)という。また、スケールアウトを実施する際にもシステムを停止させる必要がないうえ、(データ容量がいっぱいになった)既存ストレージ内のデータの一部を新ストレージに移してロードバランスを最適化するといったことまでも全自動で行われる。
加えて、ストレージの運用で求められる機能がすべて同梱されているため、他のソフトウェアを追加購入する必要がないという点も魅力だ。一般に、暗号化機能や詳細な認証管理機能などを組み込む場合、新たなソフトウェアや追加オプションを購入しなければならないケースが多いが、EqualLogicの製品にはそういった機能が標準で搭載されている。したがって、システム構築時に余分なライセンスフィーを支払う必要がない。
EqualLogicでは現在、搭載ディスクドライブ数や対応するコントローラのタイプなどが異なる8つの製品を提供している。今回、日本法人設立に併せて発表された「PS3900XV」はその中でも最上位となるもので、300GB/15,000rpmのハイスペックなSAS HDDを16台搭載する。小売希望価格は1470万円で、主にネットワンシステムズ、兼松エレクトロニクス、日鉄エレックスというパートナー企業を通じて販売される。すでにNTTや日本工学院をはじめとする60件の導入事例があるが、今後は2次パートナーの数を増やし、3~4倍の売り上げ増を目指す。