韓国ポータルサイトの人気検索語ランキングに、かつてインターネットを騒がせた「黄禹錫(ファン・ウソク)の真実」が登場している。その原因は最近起こっている「クローンオオカミねつ造疑惑」だ。
韓国のソウル大学でクローンオオカミが作られたというニュースは世界に配信され、黄禹錫氏による「ヒト胚性幹細胞ねつ造事件」で沈んでいた韓国の科学界に明るい話題をもたらした。しかしここに来て、再度ねつ造疑惑が持ち上がっている。
疑惑が浮上したきっかけは、クローンオオカミに関する論文に誤りが見つかったことから始まった。現在、ソウル大学が調査に乗り出しており、この論文を紹介していた「Cloning and Stem Cells」誌のWebサイト上からも、同論文は削除されてしまった。さらに、この論文には黄禹錫氏も参加していたということで、事件はさらに大きな注目を浴びることとなった。
こうした事態の経過とともに、インターネット上でも再び騒ぎが起こった。かつて黄禹錫氏の支持者たちがキーワード「黄禹錫の真実」を、「狂クリ」でランキング上位に持ってきたことがあった、あの状態が再びインターネットで起きているのだ。
今回も支持者たちによるランキング操作の可能性が高いが、突然思いがけないキーワードが現れインターネット中を驚かせた前回とは異なり、今回はネティズンの反応も比較的冷静な方だといえる。たとえば予想外の検索語が突如ランキング入りすると、必ず知識検索に説明を求める投稿が書き込まれるのだが、今回はそうした投稿があまり見られない。
一方、動画検索を行うと、黄禹錫氏関連のものが所々で出てくる。その内容は多くの場合、一連のねつ造疑惑の真相は、かつて黄禹錫氏とともに研究を進めていたジェラルド・シェトン博士の陰謀であると告発するような動画であったり、黄禹錫氏を肯定するような内容のテレビ映像などだ。
全体的な傾向として、今回は「"黄禹錫の真実"って一体何?」と大きく混乱するというよりも、黄禹錫氏を支持するような意見や動画が目立っているのが前回と異なる点だ。
ところで、黄禹錫氏の支持者たちが行動を起こした契機ともいえる署名運動は、目標100万人に対し、11日現在で42万1,860人の署名が集まっている。これほどの署名が集まっているのも、支持者たちによる地道な活動があったからといえるだろう。
そもそも今回はクローンオオカミがニュースの中心。しかし、インターネットでは黄禹錫氏に大きなスポットが当てられている点が、韓国ネティズンの今の心境を表しているともいえる。2つの事件に関係がまったくないわけではないが、結果次第では韓国の関連学会の評価が落ちてしまいかねないねつ造事件の真実に、インターネットでも注目が集まっている。