Googleは10日(米国時間)、米国ホロコースト記念館(the U.S. Holocaust Memorial Museum)と共同で、スーダンのダルフール地方で起こっている「深刻な人道危機」の実態を伝えるべく、Google Earth上で同地方の破壊状況を詳細に伝えていくことを発表した。すでに同サービスはGoogle Earth上で実装済みで、写真やビデオ、関係者の証言などが続々と掲載されている。
スーダンのダルフール地方は、2003年から事実上の内戦状態にあり、政府の支援を受けているとされる民兵組織"janjaweed(ジャンジャウィード)"と反政府軍の戦いが今も続いている。とくに虐殺、強姦、略奪、放火といったジャンジャウィードの非道ぶりはすさまじく、内戦開始からすでに20万人以上が殺害されたと言われている。米国政府は「21世紀最初の虐殺」とスーダン政府を糾弾、国連も平和維持軍の派兵を何度も勧告しているが、スーダン政府は「虐殺の事実はない」と国連軍の介入を拒否し続けている。
GoogleのGlobal Communications & Public Affairs部門のVice PresidentであるElliot Schrage氏は「Googleでは、テクノロジは教育と行動の触媒になりうるとみんな信じている」とコメント、「Google Earthユーザは、今まで見たこともないような破壊状況にあるダルフール危機(Crisis in Darfur)がビジュアライズされることで、この危機の実態をより深く知ることになる。それは、この破壊活動を解決するべく賢明に努力しているホロコースト記念館の活動に応えることにもなる」とコメントしている。