OCNが運営する写真共有サイト「OCNフォトフレンド」では、現在「"CreativE-Life" for Everyoneフォトコンテスト」を開催中だ。これにあわせて、オリジナルのブログパーツが配布されている。ブログパーツはコンテストに応募された中から週ごとに人気の高かった「週間賞」の作品をスライドショーで表示するほか、相武紗季さんが出演しているNTTコミュニケーションズのテレビCMを動画で見ることができる。しかし,
これはブログ上のアクセサリであるだけでなく、NTTコミュニケーションズがそのCMで掲げたブランドメッセージにおける、ひとつのカギとなっている。
フォトコンテストをブログパーツでPR
「"CreativE-Life" for Everyoneフォトコンテスト」は、OCNフォトフレンドのメンバーであれば誰でも参加でき、「"どうぶつ"決定的瞬間!」「お花見ライブ!」「旅先で見かけた○○」「今日のごはん」の4つのテーマで応募を受け付けている。応募された作品は誰でも閲覧することができるが、同サービスのメンバーは写真に対してコメントや★(ポイント)を投稿することができる。コンテスト期間中を通じて、応募された各作品の「アクセス数」「コメント数」「ポイント数」を集計し、入賞者が決定する。また、これらを1週間ごとに集計し、各テーマごとのトップ作品を「週間賞」として発表する。現在配布されているブログパーツでは、この「週間賞」の作品がスライドショーで表示される。
ブログパーツは、配布されているコードをブログやWebページに貼り付けることで表示される。誰でも利用できるが、ブログの場合はscriptタグに対応しているサービスであることが必要。「デラックス版」では、スクリプトの中に自分のOCNフォトフレンドIDを入れることで、自分がアップした写真をスライド表示できる機能がある。
ブログのメニュー部分などに貼り付け。「デラックス版」では自分の写真をスライドショーで表示できる |
「メッセージを体現する場」というプロモーション
ブログパーツの中で再生されるNTTコミュニケーションズのCMは、悩める女の子がネットを通じて自ら語ることで、新しいコミュニケーションに触れていく様子が描かれたもので、「"CreativE-Life" for Everyone」という同社の掲げるブランドメッセージをPRしている。「"CreativE-Life" for Everyone」について、同社では「お客様ひとりひとりがインターネットで自ら発信し、自らつながりあうことで実現する新しい価値、新しいライフスタイルです」と説明を添えている。
メッセージ広告自体は珍しいものではないが、通常はメッセージを伝えることそのものが目的のものが多い。この事例でも、ブログパーツを配布し不特定多数のブログでCMが表示されることにより、リーチが高くなる(より多くの人に広告を見てもらえている)ことが目的の1つ。マーケティング的にはこれでも十分利点がある。しかし、ここには伝えるだけでなく、メッセージを見たユーザーがその目指すところ(=ユーザーが「自ら発信」する)に触れるための仕掛けがある。メッセージを見せる装置であるブログパーツ自体が、ユーザーをその実現に招待するための玄関となっているのだ。
このブログパーツでは、CM以外にOCNフォトフレンドのコンテストに応募された写真がスライドショーで表示され、写真5枚ごとに現れるバナーが「"CreativE-Life" for Everyoneフォトコンテスト」のページへリンクしている。そして作品を閲覧すれば、他の人のコメントなどユーザー同士のコミュニケーションが、目に見えるかたちで表示される。
つまり、ユーザーがブランドメッセージを目にするところから、他の人が発信したものに触れる経験を通し、最終的にそのメッセージを実現するところまでの道筋が仕込まれているのだ。もちろん、ブログパーツを見たユーザー全てが写真を閲覧したりコンテストに投稿するわけではないが、独りよがりのメッセージ発信だけで完結せず、ユーザーが使う場を作るところまで含めることで、ブランドメッセージの意図するところをプロモーション自らが体現していると言える。
マス向けの広告は個に訴えるか
また、CMの中では具体的なサービスやイベントについては一切触れられておらず、ユーザー側から見れば広告に言われたからではなく、自分の能動的な行動によってこのイベントに出くわした格好になる。行った先がキャンペーンサイトなどではなくユーザーによるコンテンツで、すでにコメントで盛り上がっている状態であるなら、なおさら印象に残る可能性が高い。
ブログや検索サイトを舞台に「個人・ピンポイント」をキーワードとしたクチコミやターゲティング広告が注目されている。マス向けの一方通行な広告であるテレビCMはその対極とも言えるわけだが、CMの強みである訴える力が損なわれたわけではない。「CMをご覧いただけます」というスタンスの企業サイト内に留まっていては発揮できなかったその特性が、個のメディアとも言えるブログと結びつくことで、新たな価値を持つ可能性があるのかもしれない。