「恋のお師匠・ジュテーム清水」が毎週木曜にレッスン!

「あなたはそのままでいい。自分らしく生きていればいつか運命の男性が現れるよ」。こんな甘い恋愛アドバイスに真っ向から反論する男がいます。その名は、"ギターを教えなくても稼げるギター講師"こと清水邦浩くん。「恋のお師匠・ジュテーム清水」の変名も持つ彼は断言します。

「恋愛は楽器演奏と同じ。正しい方法論にのっとって努力(練習)を重ねることで必ずうまくなります。自己流のやり方で彼氏ができないのであれば、僕の方法を試してみてください。運命なんて今すぐ変えられますよ」

ギター教室の生徒たちの恋愛相談を受け続けて10年。清水くんはついに「恋愛力を高める方程式」にたどりつきました。音楽とビジネスの理論を組み合わせて編み出したその方法論を惜しみなく公開します。

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「好きな人リスト」5人枠、あなたは埋められますか?

「正しいやり方を本気で実践すれば1カ月で彼氏ができます! 」と高らかに宣言するのは、"ジュテーム清水"こと我らが清水くん(36歳)。そして前々回、清水くんの恋愛講義実践編のモニターに、愛知県内のブラダル関連会社で働くユリさん(仮名、32歳)が志願してくれました。ユリさんとの最初の面談が6月30日でしたから、7月中に恋人を作るのが公約です。大丈夫なのかな……。

清水くんの恋愛理論の中で最重要なのが「好きな人リスト」(詳細はこちら)。身近にいる独身男性の中から少なくとも5人は「恋愛関係になる可能性がある人」を見つけてリストアップし、順位をつけるのです。

ユリさんのリストを見てみましょう。序列1位は、「2年間にわたって月1で会っているけれど恋人関係にはなっていない」男性、ケンジさん(仮名、35歳)です。第6回で書いたように、かなり面倒くさい"こじらせ系"なのですが、ユリさんは居心地の良さを感じています。

「私の仕事はサービス業なので、場を取りあえず盛り上げることはできます。でも、プライベートでそれをやるのは疲れる。ケンジさんと一緒にいるときは、無理して話さなくていいから楽なんです」

長年連れ添った芸人夫婦みたいな感想ですね……。恋愛感情よりも「情と慣れ」が先行している気もします。ちなみに、ユリさんの職場には同世代の独身男性が多いそうです。今までは彼らを恋愛対象として見ていなかったユリさんですが、「清水先生にリストアップしろと言われたので、ちょっと無理やりですけど2人を挙げてみました」と意欲的。良いですね!!

3人は「身近」で、あと2人は「日常の外」で見つける

駅のホームでユリさんを鼓舞する清水くん。「素敵な男性が集う飲み屋を調査済みです」

その2人を仮にマサユキさんとジュンイチさんとしましょう。年齢はともに34歳です。マサユキさんは地味で真面目なところが好印象ですが、「仕事ぶりがいまひとつ」とユリさん。忙しいときにテンパってあらぬ方向に突っ走ってしまいがちなようです。いますよね、そういう人……。

ジュンイチさんは仕事もできるイケメンです。ユリさんはちょっと気後れして、会うたびに「イケメンですね~」と言っています。それが原因で嫌われてしまったのか、最近はあまり話してくれないそうです。

「もう1回、『イケメンですね』と言ってみたらどうですか? 怒っちゃったら、それはそれで面白い! 」と、満面の笑みを浮かべて無責任なアドバイスをする清水くん。ただし、清水くんは確信犯です。ジュンイチさんのご機嫌などを気にする必要はなく、好きな人リストを充実させることに集中すべきだ、とユリさんに伝えたいのです。

現在の環境では5人枠は埋まりそうにありませんね。やはり「日常の外」に出なければなりません。僕たちが住んでいる愛知県三河地方で"大企業勤務の男性会社員が集まっている場所"といえば、JR東海道線の刈谷駅周辺です。駅近くの居酒屋に行き、乾杯しがてら携帯番号を交換することにしました。いわゆる「逆ナン」ですね。ユリさん、頑張って!

「今日は暑いので携帯番号を交換してください」

ブライダル業界で働くユリさんは土日は休めません。忙しい清水くんとの予定が調整できたのが7月13日の月曜日。夕方に集合し、電車に乗って刈谷に向かうことになりました。

電車の中で、清水くんから声のかけ方のアドバイス。「何でもいいので理由をつけるといいですよ。相手が断りにくくなるからです。『○○なので××してください』が基本です。理由は何でもいい。『今日は暑いので携帯番号を交換してください』でも構いません」。理由があると、こちらも声をかけやすくなりますよね。「今日は暑いので」は唐突すぎますけど……。

「『恋愛塾の宿題なので乾杯してください』でもいいですか? 」と提案するユリさん。清水くんはちょっと渋い顔。理由はそれでもいいけれど、乾杯だけで終わってしまうと「好きな人リスト」は埋まらないからです。彼氏を作るタイムリミットまであと2週間。のんびりはしていられません。清水くんは、携帯番号もしくはLINEを交換することを厳命しました。

ユリさんの顔が緊張でこわばります。特別快速の電車は刈谷駅にすぐ到着。そのまま駅前の飲み屋街に向かいました。ここで僕たちは「刈谷の奇跡」を目撃することになるのです。来週、お見逃しなく!

<著者プロフィール>
大宮冬洋(おおみや・とうよう)
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。読者イベント「スナック大宮」を東京と愛知で不定期開催。食生活ブログをほぼ毎日更新中。

<協力者プロフィール>
清水邦浩(しみず・くにひろ)
ギター講師。愛知県岡崎市・蒲郡市で清水邦浩ギター・ウクレレ教室を経営。