仕事ができるビジネスマンを目指すなら、美しく精悍にスーツを着こなすのも忘れずに。といっても、既製品のスーツではなんだかしっくり来ないという場合は、オーダースーツで自分の体にフィットした一着を身にまとうことがおすすめです。
本連載では、サイズはもちろん感性にもフィットするパーソナルオーダースーツ専門店「麻布テーラー」の営業本部にて副本部長を務める藤田 哲氏が、オーダーだからこそできる着こなしの基礎を解説。押さえておきたい4つのポイントを紹介します。第2回は、スーツを作る生地の種類について解説します。
いつ・どこでスーツを着るのか、で生地を選び分ける
スーツを作る生地は織物で、基本的にウールをベースにできています。麻布テーラーで用意している生地は約3,000種類以上。代表的なものを大別すると、基本的にイギリス、イタリア、そして日本で作られています。
今回はスーツを着るシーンごとにおすすめの生地の選び方、という観点から解説しましょう。
重要な商談には、質実剛健なイギリス産で
まずはイギリス産から。イギリス産の生地は織物を構成する一本一本の糸自体が太くて、密に詰まっています。そのためしわがつきにくく、耐久性があり、風合いに重厚感があります。質実剛健、といった雰囲気です。重要な商談に臨むときのスーツは、イギリス産の素材で作るとばっちり決まります。
「マーリン & エヴァンス」や「ハリソンズ オブ エジンバラ」といったブランドが代表的です。
華やかな結婚式には、イタリア産で高級感を
次に紹介するイタリア産は、イギリス産とは反対に一本一本の糸が細くて柔らかい点が特徴です。こちらも織物に仕立てる際に織機で密に詰めますが、細い分肌触りはとてもしなやか。見た目には、ドレープ感や柔らかさを感じます。
そのため、結婚式や豪華な式典に出席する際のスーツにおすすめの素材です。有名な生地のブランドは「ヴィタル・バルベリス・カノニコ」「ロロ・ピアーナ」などがあげられます。
日本産はいつでもマルチに着られる
日本製の生地は、どちらかといえばイギリス素材に近い性質で、より日本の気候に合ったものになります。また、ストレッチ機能や撥水性など機能的な生地も多いです。そのためデイリーユースのスーツや、夏のどうしても暑い時期に着用しなくてはいけないスーツを仕立てる際に適しています。
麻布テーラーでは、オリジナルの国産生地を用意しています。
大事なポイントは、着用オケージョンを明確に伝えていただくことです。ざっくり生地の産地ごとに分けてご紹介しましたが、産地に関わらず生地ごとに強みや向いているオケージョン、仕上がりは異なります。そのため、着用するシーンにあわせてきちんと差をつけると、“できるビジネスマン”としてワンランク上を目指せます。
ほかにも目付や織り方など、生地を選ぶ角度は様々。オーダースーツを仕立てる際には、サイズを合わせるだけでなく、有名ブランドとの別注生地や進化した素材なども特別に用意できますので、常にチェックしてみてください。
麻布テーラー 営業本部副本部長 藤田 哲
1990年にメルボメンズウェアー株式会社に入社後、オーダースーツ業に携わり30年を超える。「麻布テーラー」のブランド創設から携わり、お客様の感性と体にフィットする一着をご提案するため、店舗でのサービス向上やスタッフ教育を統括する。
麻布テーラー:https://www.azabutailor.com/