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日本産チーズが、現在世界から高い評価を受けている。高品質かつプレミアムなチーズとして、国際コンテスト「World Cheese Awards」では2023年までに4大会連続受賞という好成績を残すほどの躍進ぶりだ。今回は「World Cheese Awards」の出品支援事務所を運営する、NPO法人チーズプロフェッショナル協会主催の「JCA・WCA2大チーズコンテスト成果報告会」に参加。国産チーズの楽しみ方や、料理・お酒とのペアリングについて伺った。

( Life )

ヨーロッパで日本のチーズに熱視線、国際コンテストで受賞した国産カマンベールとは?

NOV. 20, 2024 13:09 Updated DEC. 23, 2024 17:16
Text : 岩木華子
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日本産チーズが、現在世界から高い評価を受けている。高品質かつプレミアムなチーズとして、国際コンテスト「World Cheese Awards」では2023年までに4大会連続受賞という好成績を残すほどの躍進ぶりだ。

今回はWorld Cheese Awards(以下、「WCA」)の出品支援事務所を運営する、NPO法人チーズプロフェッショナル協会主催の「JCA・WCA2大チーズコンテスト成果報告会」に参加。国産チーズの楽しみ方や、料理・お酒とのペアリングについて伺った。

  • 報告会会場にはずらっとチーズが並ぶ

北海道のカマンベールが金賞受賞! ヨーロッパでも注目される日本産チーズ

ハードにソフト、青カビや白カビなど様々なチーズが、ジャンルの垣根を越えて、食感・風味・テクスチャー・外観といった複数の項目で評価されるWCA。

評価対象のチーズは一次審査で104のテーブルに分けられ、それぞれのテーブルについた審査員によってBronze(銅賞)、Silver(銀賞)、Gold(金賞)の評価を受ける(受賞しない場合もある)。テーブル内で金賞を受賞したチーズのうち、最も高い評価を受けたチーズはSuper Goldとして、二次審査に進む。二次審査を通過したチーズは最終審査に進み、その年のチャンピオンとなるチーズが選ばれるのだそうだ。

2024年大会には47カ国・4,786品のチーズが集結し、ポルトガルのヴィセウにて、この報告会前日の18日まで行われていた。チーズプロフェッショナル協会(以下、「CPA」)からは、国産ナチュラルチーズ生産者37工房・44品を出品。そのうち北海道にある工房「CHEESEDOM」の「瀬棚」という白カビをまとったカマンベールチーズが、本場ヨーロッパ産のチーズを抑えてSuper Gold賞を受賞した。

  • CHEESEDOMの「瀬棚」

この結果について、CPAの会長を務める坂上あき氏は、

「現在日本はアジア地域の中で先駆者的な存在であり、高品質なチーズの産地という立場を確立しつつある。」

「瀬棚が評価されたということは、日本のチーズ作りの素晴らしさやチーズの原料である生乳の良さが認められたと感じた。」

とコメントした。

  • 2024年のWCAの成果を振りかえる坂上氏と、日本チーズ協会理事の寺尾智也氏

白カビに竹炭使用も。個性豊かな日本産ナチュラルチーズを食べ比べ

この日は実際に国産ナチュラルチーズ9種類の試食も提供された。どれもWCAや、日本国内で2年に1回行われている「Japan Cheese Awards」、一般社団法人中央酪農会議が主催する「ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」で受賞経験のある製品だ。

  • 一般的にヨーロッパ産のイメージが強いナチュラルチーズ。どれも日本産だが、本場のチーズに負けていないことがわかる

見ためからもはっきりわかる通り、どのチーズも全く違った個性を持っている。

例えば上段中央の白カビチーズ、「広内エゾリスの谷チーズ社」の「コバン」は、少し塩気がありつつもミルキーで食べやすい。一方下段左にある「シェーブル」の「ネロカプラ」は、竹炭をまぶしたヤギミルクのチーズで、酸味と竹炭の味わいが独特だ。上段左にある「マース乳製品工場」の「ワインラクト」は、クリームチーズのようなチーズにオレンジの皮がフレッシュなアクセントを添える、爽やかな逸品だった。

そばにゴーダチーズ!? 和食との組み合わせで広がる新たな味に舌鼓

続いて話題は、まだまだ普及しているとは言い難い、国産チーズの可能性や楽しみ方へ。

日本産のチーズはヨーロッパの製品に比べて、塩味や香りが穏やか。そのため、欧米からは風味や味わいの弱さを指摘されることもあるという。

しかしながら、和食のメニューには合うのだとか。そこで、チーズを使った創作和食「きのこ天ぷら出雲そば ゴーダチーズがけ(柚子風味)」がふるまわれた。

  • 「きのこ天ぷら出雲そば ゴーダチーズがけ(柚子風味)」

チーズは木次乳業(島根県)のオールドゴーダチーズを使用。同じく島根の出雲そばの上にきのこ天を乗せ、さらに上から削ったゴーダチーズをトッピングしている。

そばとチーズという合わなそうな組み合わせだが、めんつゆをかけて食べてみるとふわっとチーズが香る。そばが若干見えなくなるほどチーズがかかっているものの、味が主張してくるわけではなく、むしろチーズのうまみがそば全体のおいしさを底上げしている。

確かに「個性がないゆえに、どんな料理にも合う」という発言が理解できるような相乗効果だ。

お酒のお供にもなるチーズ。専門家おすすめのペアリングは?

和食だけでなく、日本のお酒とも相性がいいのが国産チーズ。一般的にお酒のおつまみとしてのチーズは、ワインの横にならんでいることが多いが、他にも合うものがあるんだそう。

坂上氏は「ワインはなんにでも合う.......というところがあるんですが、実をいうと日本酒とすごくよく合います。日本酒とチーズのうまみの組み合わせをワインに限らず楽しんでいただきたいです」

また、出雲そばにも使われたオールドゴーダを生産する木次乳業の川本英二氏は、焼酎との組み合わせも提案。「オールドゴーダは風味が強いので、焼酎にも非常によく合う」とのことだった。ほかにも日本料理人の齋藤章雄氏からは「地元のチーズを地元のお酒を合わせてみる」といったペアリングも提案されるなど、国産チーズの可能性が大いに感じられた。

  • 報告会に登壇した、坂上氏、寺尾氏、川本氏、斎藤氏、そして農林水産省畜産局 牛乳乳製品課 伊藤寿氏。右手でチーズの頭文字「C」を作る、チーズポーズで撮影

これからも注目を集めていくことが予想される日本の国産チーズ。お酒のお供に、チーズ売り場でチェックしてみてはいかがだろうか。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。