トイレが有名な TOTOだが、そのほかの住宅設備も広く展開している。そのひとつ、システムキッチン「THE CRASSO(ザ・クラッソ)」は、「明るい透明感」と「お手入れのしやすさ」で利用者から人気だ。理由は、キッチンのカウンター素材「クリスタルタウンター」にある。今回はクリスタルカウンターを使ったキッチンの製造工場に潜入。職人のこだわりが詰まったものづくりの現場を紹介する。
明るさと透明感で住まいの中心をデザインするキッチン「ザ・クラッソ」とは?
TOTOによると、生活スタイルの変化に伴い、近年キッチンは料理をするだけの独立空間から、家族の交流や団らんが生まれる場所として、リビングやダイニングと一体化して配置される傾向にあるという。そこで、TOTOは顧客の声として以前からあった「清潔さ」と「使いやすさ」のニーズに加えて、様々なリビング空間の中心に溶け込めるような「明るい空間」になるようなキッチンとして、ザ・クラッソを開発した。
ザ・クラッソの3つの特徴である「美しい」「使いやすい」「きれい」のうち、美しさの鍵を握るのがクリスタルカウンター。空間の光を取り込んで内側から柔らかく発光するような明るさをキッチンに提供する。
住宅素材の中では珍しい、ガラスのような透明カウンターはエポキシ樹脂という素材でできている。飛行機の翼にも使用される素材だ。強度や耐熱性のみならず、紫外線による変色にも耐えられるように独自開発のもと生まれた。カラー展開も柄入りを6色、無色を6色用意しているので、キッチンの扉素材や金属パーツを組み合わせて、住まい手の好みと調和する洗練された上質空間を作り上げられる。
美しいカウンターが生まれる訳は、光を追求した加工技術に
勝浦工場では、福岡県のTOTO豊前工場から送られてきたカウンター天板にシンク部品を取り付け、製品の形に仕上げて顧客の元に届けている。今回の見学では、最大の特徴である透明感あふれる明るさを実現するための技術、「バックコート加工」と「クリアエッジ仕上げ」、そして「すりガラス調仕上げ」が公開された。
シンク部品を取り付けたカウンター自体は無色で、光を取り込むことはできない。職人の手でカウンターの裏面にバックコートを均一に施すことで、内部に取り込んだ光を閉じ込めて反射するようになるのだ。
こちらのバックコート加工だが、素人が塗布すると機械を左右に動かす動作によって手の動きとともに、加工の厚さがばらついて縞模様になってしまうという。
また天板の角は、45度斜めにカットして面取りし、その後透明度を高めるために磨いて仕上げる。このクリアエッジ加工によって、天板の端に取り込んだ光が輝くラインが生まれるのだ。
最後に人の手によって、無色透明な天板をすりガラス調に仕上げている。人の手でカウンターの隅々まで光を照らして磨き上げることで、光が拡散するような独自の風合いに仕上げている。
小さな傷も逃さない、最終検査の細かさに脱帽!
完成品はその後に検査段階を経て、梱包して出荷される。検査の段階でも熟練の検査士の目がどんなに小さい傷やシミでも見逃さず、良品のみを顧客に届けているそうだ。
このほかにも、濡れたスポンジやアルコールを含んだ布でこするだけで汚れを落とせる特徴の実演なども体験。明るさと機能性に驚くとともに、TOTOのこだわりに納得する機会となった。
これまでの出荷では、対面型キッチンの約75%にクリスタルカウンターを搭載した実績があるとのこと。キッチンを中心とした明るい住まい――、夢が広がっていきそうだ。