2024年3月に発表された「地価公示」によると、大阪府の商業地の地価上昇率は+6%で、昨年の+2.5%より3.5ポイントと大幅に増加しました。中でも特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?
今回は国土交通省の地価公示をもとに、大阪府内の商業地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて分かりやすく解説します。
大阪府・商業地の地価上昇率ランキング(2024年版)
大阪府の商業地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「日本橋」(大阪市中央区道頓堀1丁目37番外)でした。
次いで2位は「なんば」(大阪市中央区難波1丁目14番22外)、3位は「阿波座」(大阪市西区西本町2丁目111番外)です。
大阪市がTOP20を独占
TOP20はすべて大阪市で、1位と2位は大阪城や繁華街で知られている中央区です。また、西区が合計12地点と数多くランクインしています。
上位のほとんどの地点は1㎡あたり100万円以上であり、元々地価の高い場所が上昇している傾向がわかります。
ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。
なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。
日本橋・なんば
1位・2位を獲得したのは、道頓堀周辺に位置し、飲食店やアミューズメント施設などが数多く立ち並ぶ通称「ミナミ」と呼ばれるエリアです。地価上昇率について1位の日本橋は25.3%、2位のなんばは22.1%と大幅な上昇を記録しました。
日本橋の鑑定評価書 には「インバウンド需要の回復を受け、浮遊客の増加が認められる。地価は強調的に推移するものと予測される。」とあります。日本だけでなく海外旅行客の知名度も高いエリアで、需要は堅調です。
阿波座
3位に入った阿波座の地価上昇率は179万円です。TOP20には、阿波座周辺の地点が4地点ランクインしています。
鑑定評価書 には「中高層の店舗兼事務所ビルや事務所ビル等が建ち並ぶ商業地域であるが、今後は共同住宅等の住宅系色彩が増していくものと予測される。」とあります。
近年は事務所の跡地が住宅として利用されるケースが多く、マンション需要によって地価は今後も上昇すると予測されています。
桜川
4位に入ったのは桜川で、地価上昇率は19.4%です。道頓堀の北側で、中高層の事務所や共同住宅が立ち並んでいます。
鑑定評価書 には「共同住宅用地を中心に不動産投資意欲は堅調であり、地価水準は上昇傾向で推移している。」とあります。
大江橋
6位の大江橋の地価上昇率は18.8%で、周辺は超高層ビルが立ち並ぶ商業地域です。鑑定評価書 には「特に大きな地域変動要因は認められず、当面はほぼ現状のまま推移するものと思われる。」とあります。
成熟した商業エリアで、今後も地価は上昇傾向で推移すると予測されています。