2024年3月に発表された「地価公示」によると、愛知県の商業地の地価上昇率は+4.2 %です。中でも特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?
今回は国土交通省の地価公示をもとに、愛知県内の商業地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いてわかりやすく解説します。
愛知県・商業地の地価上昇率ランキングトップ20(2024年版)
愛知県の商業地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「久屋大通」(名古屋市東区泉1丁目2304番)でした。
次いで2位は「池下」(名古屋市千種区池下1丁目413番)、3位は「名鉄一宮」(一宮市栄1丁目6番5)です。
名古屋市と一宮市が上位を占める
TOP20のうち16地点を名古屋市が占める結果となりました。特に東区・千種区・中区が数多くランクインしています。
名古屋市以外では、一宮市が3位と7位に入り、12位には刈谷市、19位には知立市が入りました。
ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。
なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。
久屋大通
1位を獲得した名古屋市東区の久屋大通は、15%の地価上昇率を記録しました。名古屋駅から地下鉄桜通線で3駅の場所で、名古屋城も近くにあります。
鑑定評価書には「高い利便性を有する地域で、近年、周辺で大型ビルが開業したこと、栄周辺の再開発への期待感が高まっていること等を受け、需要は底堅い。」とあります。
高層の事務所ビルが建ち並ぶ高度な商業地域であり、周辺で予定されている再開発によって、さらに賑わうことが予測されています。
池下
2位に入ったのは名古屋市千種区の池下で、地価上昇率は14.9%です。地下鉄東山線の池下駅のすぐ近くで、中高層の店舗や事務所などが建ち並ぶ商業地域です。
鑑定評価書には「駅前地域を中心に収益物件の高値取引が見られており、地価は強含みで推移している。」と表記されています。
近年は賃貸・分譲マンションの建築が増加しているため、中長期的には住居の要素が強まっていくと予測されています。
名鉄一宮
3位の名鉄一宮の地価上昇率は14.3%です。駅の北側に位置し、店舗・事務所・マンションを中心とする商業地域です。
鑑定評価書には「コロナ後の人流回復の影響等もあって投資需要は堅調に推移しており、地価は上昇傾向に あると分析される。」と表記されています。
栄
5位は名古屋市中区にある栄で、地価上昇率は13.8%です。栄地区は名古屋の中心的な商業地域の1つで、名古屋の顔としても知られる名古屋テレビ塔もあります。
鑑定評価書には「歓楽街であり、需要者は飲食店ビルの運営ノウハウを有する不動産業者や地元企業等が中心である。新型コロナウイルス感染症の打撃を大きく受けたが、店舗市場はほぼ回復している。」とあります。
都心商業地に対する投資意欲は依然として底堅く、地価は強い上昇基調に転じています。
金山
10位の金山の地価上昇率は12.6%です。金山駅周辺に関して、TOP20には合計3地点がランクインしています。
鑑定評価書には「飲食店ビル・店舗兼事務所ビル等が多く見られる地域であり、不動産への需要は依然として強く、利便性の高い物件への取得意欲も高まっている。」とあります。
地下鉄・JR線・名鉄線が乗り入れするターミナル駅に近接する地域で、変動要因は特になく、当面は現状のまま推移すると予測されています。