マイナビニュースマイナビ

緊急時や重要なお知らせのタイトルが入ります。

Large

一緒に働く人に対して我慢をしたり、組織のために従業員が犠牲になったりしなくてはいけない職場は、働いていて気持ちのよい場所ではなく、従業員が本来の力を発揮しづらくなってしまいます。また、一部の従業員に負担が偏った組織では、仕事のストレスによる離職者が多くなるかもしれません。オリエンタルランドで約20年にわたる人材育成経験を持つ大住力氏は、「ディズニーでは、従業員個々のモチベーションに頼らず、全員が一定の成果を出せるしくみを整えている」といいます。大住氏が提案する、「モチベーションに頼らず、全員が一定の成果を出せるしくみ」とは、どのようなものなのでしょうか? 今回は、大住氏の著書『どんな人も活躍できる ディズニーのしくみ大全』(あさ出版)より、組織にいる1人ひとりが機能し、企業価値や働きがいを生むしくみを一部抜粋編集してお伝えします。

( Life )

【全員がいきいき働くディズニーに学ぶ】人と組織が同時成長する好循環のヒミツ

NOV. 22, 2024 13:00 Updated DEC. 23, 2024 21:29
Share

週の多くの時間を過ごす仕事場の環境は、生活の質を左右する大切なものです。一緒に働く人に言いたいことを我慢したり、組織のために従業員が犠牲になったりしなくてはいけない職場は、働いていて気持ちのよい場所ではなく、従業員が本来の力を発揮しづらくなってしまいます。

また、一部の従業員に負担が偏った組織では、せっかくお金をかけて人材採用したのに、仕事のストレスによる離職者が多くなってしまう可能性もあります。

オリエンタルランドで約20年にわたる人材育成の実践経験を持つ大住力氏は、「ディズニーでは、従業員個々のモチベーションに頼らず、全員が一定の成果を出せるしくみを整えている」といいます。

個々の従業員の能力やモチベーションにばらつきがある組織では、従業員1人ひとりのやる気を高めないと、常時お客さんに質の高い仕事を提供するのが難しいのでは? と考えているビジネスパーソンにとって、このしくみは突破口になるものかもしれません。

大住氏が提案する、「モチベーションに頼らず、全員が一定の成果を出せるしくみ」とは、一体どのようなものなのでしょうか? 今回は、2024年に刊行された同氏の著書『どんな人も活躍できる ディズニーのしくみ大全』(あさ出版)より、組織にいる1人ひとりが機能し、企業価値や働きがいを生むしくみを一部抜粋編集してお伝えします。

■「全員が機能する集団」をつくるための3要素

ディズニーでは、社会に提供できる価値(企業価値)を「ハピネス(幸せ)の提供」と考えています。事業の達成とは、すなわちハピネスの提供なのです。

ウォルト・ディズニーが人材教育のメソッドとして作り、企業価値を生む要素として今でも大切にしているのは、「ミッション」「チーム」「コミュニケーション」です。

この3つすべてが達成されたときに初めて、企業価値が生まれるのです。

3つのうちの1つである「ミッション」とは、私たちの働く目的や最終的な理想像です。

これは、1人ひとりの個人の働く目的であり、あるべき姿(ゴール)にあたります。

2つめの「チーム」は、「全員が機能する集団」を意味します。全メンバーが連携して機能的に動き、成果を出せる状態を指しています。

そこには「1人だけが動いていても、ミッションは達成できない」という意味が含まれます。

  • ディズニー社における企業価値を生む3要素(『どんな人も活躍できる ディズニーのしくみ大全』より)

また、仕事は人のためにするものであり、人と人との間につながりができて、良い影響を及ぼし合って社会が発展していく。

その1人ひとりをつなげるものが、「コミュニケーション」というわけです。

これらの3要素を会社で根づかせ、自然とメンバーが育っていくしくみ作りをしていくことが人材教育の根幹になります。

■ウォルト・ディズニーも大切にしていた“気持ちを伝えるコミュニケーション”

ウォルト・ディズニーは、コミュニケーションをとても大切にしていました。

ある人が彼に「あいさつとは何ですか?」と聞いたところ、彼は「『あいさつ』っていうのは、頭を下げ、声を出すことではなく、“気持ちを伝える”コミュニケーション」と答えたといいます。

また、ある人が彼に「仕事とは何ですか?」と聞くと、彼は「『仕事』っていうのは、相手の気持ちをどう動かし、どう行動を変えるかというコミュニケーション」と言ったそうです。

彼にとってコミュニケーションとは、単に「話す」や「互いに理解する」ことではなく、それを超えて相手の心を動かし、相手の行動を変えるエネルギーそのものなのです。

大住力

ソコリキ教育研究所代表。Hope&Wish公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を代表。大学卒業後、株式会社オリエンタルランドに入社。約20年間、人材教育、東京ディズニーシー、イクスピアリなどのプロジェクト推進、運営、マネジメントに携わったのち退職。その後、「Hope&Wish公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を」を創設。2020年に同法人は日本における「働きがいのある会社ランキング小規模部門第3位」、アジア地域における「働きがいのある会社ランキング中小企業部門第17位」を受賞。東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティア人材育成統括も務める。これまでに業種業態を超えた行政、企業、団体に講演、人材教育指導、コンサルティングをおこなっている。『一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『マンガでよくわかる ディズニーのすごい仕組み』(かんき出版)など、著書多数。

『どんな人も活躍できる ディズニーのしくみ大全』(大住力 著/あさ出版 刊)

ディズニー作品は、その魅力的なキャラクターと心温まる物語で、世界中の人々に愛され続けています。その成長の背景には、多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れ、「全員を機能させる」という合理的な人材育成メソッド、そしてウォルトディズニーの強力な人材育成哲学があります。この本では、オリエンタルランドで20年にわたる人材育成の実践経験を持つ著者が、ディズニーの人材育成メソッドの秘密を解き明かします。ディズニーが創業当初から大切にしている三つの柱、1.ミッション、2.チーム、3.コミュニケーション の要素が、どのように組織の多様性を強みに変え、高いホスピタリティを実現し、同時に従業員の成長を促す環境を作り出しているのかを、具体的な事例とともに解説します。リーダーや経営者、組織のポテンシャルを最大限に引き出したい人にとって必読の書です。


Share

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。