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家を借りるでも買うでもない、ホテルを生活の拠点として場所を転々としながら暮らす「ホテル暮らし」。一見贅沢でお金がかかる印象のライフスタイルだが、実は家事や通勤時間の省略・短縮が叶うコスパ・タイパのいい暮らしかもしれない。今回はそんなホテル暮らしを3年間続けてきた、20代会社員・イワタリサさんにインタビュー。ホテル暮らしが生み出す、時間と心のゆとりとは……?

( Life )

実はコスパもタイパもいい? ホテル暮らし歴3年の20代会社員に実際のところを聞いてみた

AUG. 01, 2024 11:00 Updated DEC. 23, 2024 17:17
Text : 岩木華子
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家を借りるでも買うでもない、ホテルを生活の拠点として場所を転々としながら暮らす「ホテル暮らし」。一見贅沢でお金がかかる印象のライフスタイルだが、実は高騰する光熱費の支払いもなく、家事や通勤時間の省略・短縮が叶う、コスパ・タイパのいい暮らしかもしれない。

今回はそんなホテル暮らしを3年間続けてきた、20代会社員・イワタリサさんにインタビュー。ホテル暮らしが生み出す、時間と心のゆとりとは……?

  • イワタリサさん

きっかけはコロナ禍と転職。現在の家事は「洗濯とごみ捨てだけ」

もともとは航空業界で働いていたイワタさん。コロナ禍になり転職を志した際に「勤務地の近くに住み続けるのではなく、持ち物を手放してでも、さまざまな場所のホテルに住んで、自分の落ち着けるところを探そう」と思ったことが、ホテル暮らしを始めたきっかけだ。

そんなイワタさんが感じる、賃貸物件で一人暮らしをしていた頃との最大の変化が「家事の量」。現在行っている家事は、衣類の洗濯ぐらいだという。

「ホテルの部屋にはキッチンがないので料理はしません。『今日は何作ろう?』といった、意思決定のプロセスすら手放すことができました。」

「清掃やタオル交換、ベッドのシーツ交換もすべてホテルがやってくれます。ごみに関しても、まとめて部屋の外に出しておくだけ。『燃えるゴミの日はいつだっけ?』と考えることもなくなりました。」

「こういう話をすると"生活力がなさそう"と思われてしまうかもしれませんが、仕事に集中したい、可処分時間を増やしたい人にとっては、適したライフスタイルではないかと思います。」

さらにホテルはアクセスの良い場所に立地していることが多いので、レジャーに伴う移動時間や通勤時間の短縮も可能。

ホテルによっては施設内に、生活に必要な店舗が入居している場合もあり、あらゆる移動時間を削ることができる。

滞在費用は月11万円と割高であるものの、可処分時間を増やせることに満足

イワタさんはホテルのサブスクサービスを利用しており、2023年は合計362泊、年間で約141万円を費やしたという。

「月平均賃料で11万円ほど、1泊あたり3,904円です。一般的な賃貸と比べると高額かもしれないですね。」

インバウンド需要などにより、緩やかではあるものの全体的に宿泊費は上昇。ホテル暮らしを始めた2021年11月と比較すると、月の平均賃料は2万円ほど値上がりしたという。

一時期は銀座のホテルにも住んでいたそうだが、現在は収入の状況を鑑みて、サブスク費用が安くなる滞在先を検討するなど、工夫して暮らしている。

「本来ならば固定費である住居費ですが、ホテル暮らしですと変動リスクがあります。金銭的に厳しいときは、地方のホテルに行ったり、マンスリーマンションのような場所に移ったりもします。」

確かに一般的な賃貸暮らしに比べて費用はかさみ、価格の変動リスクもあるなど、金銭的なデメリットはあるかもしれない。しかしイワタさんは、それ以上のメリットをホテル暮らしに感じている。時間に余裕が生まれ、資格の取得や趣味の筋トレ、旅行の時間を増やすことができたそうだ。

「家を持つことで生まれる契約や手続きに縛られないので、自分のライフスタイルに合わせて、結婚や転職などの変化に柔軟に対応できるところがいいですね。初期費用をかけずに住み始められたり、さまざまな場所に居住することで経験値を若いうちに貯められるところも、メリットです。」

ホテル暮らしに向いているのは「コト消費型」の人

これまでさまざまなホテルを転々としてきたイワタさんだが、ホテル暮らしを始めるときには、家具や家電などを処分して、今までの生活スタイルを完全に手放すことへの抵抗感もあった。

その経験も踏まえると、"モノ消費"よりも"コト消費"に価値を見出せる人がホテル暮らしに向いていると語る。

  • スーツケース2個分の荷物でホテルを転々とする

「スーツケース2個で移動し、生活しているので、持てるモノは少ないです。でもその分、普通の賃貸では住めない場所で暮らしたり、その場所で暮らしているからこそできる体験に、メリットを感じています。そう思える人に、このライフスタイルは合っているのではないかと思います。」

また、パソコン1台あれば仕事ができるようなライターやデザイナー職に関わらず、一般企業に勤める会社員でも、ホテル暮らしを始めることは十分可能だという。

「可処分時間が増えるので、頑張れるギリギリまで仕事をしていたい、仕事に全集中したいという人にとっては、ランニングコストの良い暮らしではないでしょうか。」

ホテル暮らしが生む"ゆとり"とは

最後にホテル暮らしが生み出す、生活のゆとりについて尋ねた。

「ホテル暮らしは、水道や電気、入居期間の契約もないので、自分を縛るものがなくて、"今決めなくていい環境"が常にあるんです。それが生活だけでなく気持ちにも、余白を生んでいると思います。ライフスタイルの可変性を常に持っておけることが、ホテル暮らしのいいところですね。」

一見ハードルが高そうな「ホテル暮らし」。あらゆるものに追われがちな現代人だからこそ、新たな生活様式を楽しんでみてもいいのかもしれない。

※写真はイワタリサさん提供


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