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この4月に社会人となった新入社員の皆さん、そろそろ新人研修が一段落し、上司や取引先との宴席に参加する機会が出てくるかもしれません。連載テーマの洋酒からは少し離れますが、今回はそんなときに覚えておきたいマナーを紹介します。

( Life )
3 バーで役立つ洋酒の知識

上司や取引先との宴会、飲み会で押さえておきたいマナー

MAY. 24, 2024 11:59 Updated DEC. 23, 2024 17:42
Text : 柳谷智宣
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この4月に社会人となった新入社員の皆さん、そろそろ新人研修を終え、上司や取引先との宴席に参加する機会が出てくるかもしれません。連載テーマの洋酒からは少し離れる部分もありますが、今回はそんなときに覚えておきたいマナーを紹介します。

若い方々からするとウザいことだとは思います。実際、昭和から続くお酒の席でのマナーは薄れつつあります。ハラスメントに関する意識も浸透してきて、上司側もお酒の席についてあれこれ言わなくなっていることでしょう(もちろん例外はあると思いますが……)。

とはいえ、常識外れのことをすればその場の雰囲気が悪くなります。マナーを守ったり、どのようにとらえたりするかはそれぞれの判断ですが、知識として知っておくことには意味があります。昭和のお酒トリビアとでも考えてお付き合いください。

  • ハラスメントは論外ですが、仕事の延長線ともいえる宴席からは得る物も大きいものです

■座る席は入り口に近いほうが下座、遠いほうが上座

席次には上座と下座があります。タクシーやエレベーターにもあるのですから、もちろん飲食店にもあります。飲食店では、入り口から一番遠い席が上座、入り口に一番近い席が下座です。自分から見て、お客さま、目上の人、上司、年上の人などが上座に座ります。

ですが、主役は中央に座ってもらったり、注文担当が入り口近くに座ったり……、といったイレギュラーも多々発生します。よくわからないときは自分で判断せず、先輩や上司に指示を仰ぎましょう。「適当に座って」と言われたら、入り口近くの席を選ぶと無難です。

ちなみに、タクシーは運転席の後ろの席、エレベーターは左奥が上座となります。

  • 写真の手前側が入り口だとすると、座席の上座・下座は数字の順序になります。「1」が上座、「4」が下座です

  • 円卓の場合は写真と数字の順序です。「8」の手前が入り口として、一番奥の「1」が上座となります

■乾杯のグラスは下から、もしくは目線の高さに

乾杯でグラスを合わせる場合は、できる限りそっと合わせてください。グラスによっては軽く触れただけで割れることがあるためです。そして、グラスの位置は数センチでいいので、目上の人よりも下に持って行きましょう。

シャンパンやワインのグラスで乾杯するときは、基本的に目の高さまでグラスを持ち上げるだけでOKです。ただし、日本ではワイングラスでも「チン!」と合わせようとするケースが多いので、そこは場に従って軽く合わせましょう。

  • ワインやシャンパンのグラスは、原則として乾杯のときに合わせません。場の雰囲気や流れで合わせるときは、ていねいに軽く……

■お酌をするときはビン(ボトル)のラベルを上にして両手で持つ

目上の人にお酌する場合、1杯目であれば「○○です。よろしくお願いします」、2杯目以降は「おつぎしますか?」「いかがですか?」などと声をかけましょう。

ビンのお酒を注ぐときは、ビンの下部分を持ち、注ぎ口にも手を添えます。ソムリエはワインのボトルを片手で持ちますが、日本で上司や取引先に注ぐ場合は、お酒の種類に関わらず両手を使うほうが無難です。

ビールやワインなどラベルが貼ってあるビンは、ラベルを上にして持ちます。これは、ワインを注ぐときに液だれして、ラベルが汚れるのを防ぐため。実際のところ、高級酒でなければ意味がありませんし、ビールでは必要ないともいえます。しかし、マナーとして定着してしまっているので、覚えておくとよいでしょう。

慎重に注いでそのままビン(ボトル)を立てると、液だれすることがあります。だからといってダメではないですし、たくさんこぼれたら拭けばいいだけです。もし液だれさせたくなかったら、注ぎ終わってビンを立てるときに下部分を持っている手をひねって半回転させると、こぼれにくくなります。注ぎ口で液体を切るイメージですね。スピードはいらないので、一度ぜひ試してみてください。

  • 取引先の人や上司に対して、こんな風にビールをお酌するのはNGです

  • ビンのラベルを上にして両手で持って注ぎます

■お酒を注ぐ量は種類によって異なる

ビールのお酌は、最初はゆっくり入れて、中ほどで少し勢いよくして泡を立て、またゆっくり入れて調整し、最後は「ビール7、泡3」~「ビール8、泡2」くらいになるとベストです。グラスや部屋、ビールの温度などで泡立ちは変わるため。あくまで目安。ただし、あふれさせないように注意してください。

日本酒の御猪口(おちょこ)には並々と注いでもよいのですが、こぼれてしまうとよくないので8割くらいにおさえます。

ワインの場合は、グラスの3分の1(100cc)前後です。接待のつもりで並々と注いで――はいけません。レストランでの会食であれば、ワインは店員が注ぐケースも多いので、その場合は任せるのがマナーです。

正式には女性がワインをお酌するのもNGです。しかし、相手がそのことを知らず「お酌は?」といった空気を出していたら、近くの男性が気を配ってワインを注ぐようにしてください。

  • ビールをグラスに注ぐときは、泡と液体のバランスが大切

  • ワインはグラスのだいたい3分の1を目安に

■お酒を注いでもらうときのムーブはケースバイケース

お酒を注いでもらう場合は、お酒の種類ごとに動きが異なります。日本酒であれば、御猪口を両手で持って普通に注いでもらいます。ビールも同じでよいのですが、こだわるなら最初はグラスを自然な角度で傾け、半分くらい注いでもらったら直立させるといい感じの泡立ちになります。

ワインやシャンパンの場合は、注いでもらうときにグラスを持ってはいけません。グラスはテーブルの上に置きっぱなしです。失礼に感じるなら、そっとグラスの底に指を沿えるのもありです。

■社会の一般常識を忘れてはいけない

一気飲みは禁止です。当たり前のことですし、近年はアルコールハラスメントも減ってきています。逆に、お酒が強い若者が自分から一気飲みする光景を目にしますが、もちろんこれもNGです。皆がビールなどを飲んでいるのに、自分だけ「テキーラショットで」とか「スコッチダブルで」などと注文するのも避けましょう。格好悪いです(仲間同士の飲み会なら別です)。

「無礼講」という言葉も覚えておきましょう。これは「無礼をしてよい」という意味ではなく、「礼講」という儀式を行わなくてもいいよ――です。「気軽に飲もう」というニュアンスですが、決して上司や取引先と友人同士のように飲んでよいという意味ではないので、肝に銘じておいてください。

筆者はかつて何度も、若手が取引先の前で自分の武勇伝を延々と話したり、社長が参加する飲み会で新人が会社の方針を大批判したりするシーンを見かけたことがあります。お酒を飲まなければしないことは、飲んでもしないようにしましょう。

  • どんなお酒の場であれ、ほかの人に迷惑をかけたり嫌な思いをさせたりせず、スマートに楽しみたいものです

■酔うペースを遅くするテクニック

上司や取引先がいる状況では、酔わないことを優先しましょう。酔いたい場合は、そのあとプライベートで飲みに行けばよいのです。そのため、自分から率先して飲みまくる必要はありません。問題はお酒に弱い人。最低限の量でも酔ってしまう場合です。

以下は、日々お酒を飲む筆者の経験談ですので、あくまで参考として。なかなか難しいとは思いますが、自分に合った飲み方を見つけてください。

酔うペースを多少なりともコントロールしたいときは、まず水を飲みます。お酒を口にしたら、同量の水を飲む感覚です。宴会前にペットボトルのお茶を飲み切っておくのも効果アリ。

よく「空腹時の酒は効く」と言われますが、個人的にもこれは実感しています。お酒を飲む前には、何か胃に入れておいてください。夜に宴会があるからといって昼食を抜いたりするのは逆効果。しっかり食べましょう。最低限、お茶やお水だけでもOKです。

「肝臓の働きをアップ」というサプリメントやドリンクは、筆者の場合は飲み会の前でなく、あとで飲むほうが効果的。前に飲んでも、結局はブーストがかかって量を飲んでしまいます……。

■お酒の場のマナーは身に付けておこう

今回、上司や取引先と飲むという状況設定にしましたが、これらは友人と飲むときや結婚式の二次会などに参加する場合にも役立ちます。上座・下座や「ラベルを上にして注ぐ」といったマナーは知らなくてもなんとかなるかもしれませんが、知らないと恥をかくマナーもあります。

例えば、友人の結婚式に参加してシャンパンで乾杯するとき、隣の人は目の高さにグラスを上げているのに、そこに自分からぶつけに行ってグラスを割ったら大ひんしゅくです。よかれと思ってワインのお酌をして、グラスにたっぷりと注いだら引かれてしまうでしょう。

以前は会社の上司が若手を飲みに連れて行って、こういったマナーを教えてくれたものです。現在は飲み会の強要はハラスメントに当たるため、そんな機会がなくなってきました。しかしそれでもマナーは存在します。恥ずかしい思いをしないように、お酒の場のマナーは最低限でいいので身に付けておくことをおすすめします。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。