メルセデス・ベンツの名車「S124」と暮らす自動車ライター・原アキラさんに悲喜こもごもを聞く本連載。4回目となる今回は、所有2号車となった「E280」の装備品に関する話だ。例えばS124には、最新のクルマのように豊富な収納は用意されていないが、それは裏を返せば、カップホルダーひとつから自分好みにカスタマイズできる余地があるということでもあるのだ。
まずはヘッドライト選びから!
コロナ禍の長い自粛期間中、さまざまなところに手を入れ、実用車として日々の使用に耐えうるよう整備と調整を続けてきた我がメルセデス・ベンツ「S124」の2号機(E280)。個体を新しくするにあたり、今まで装着していたアクセサリー類についてはそのまま移植できるものもあれば、更新しなければならないものもある。もちろん、新たに試してみたいものも……。いろんなものが自由に選べることは、古いクルマを所有するうえでの愉しみのひとつだ。今回はそんなお話である。
まずは、1号機(E220)で気になっていたヘッドライトから。設計年代の古い124の純正ハロゲンヘッドライトは色が黄色く(オレンジ色っぽくもある)、暗いのが特徴。1号機では一度、バルブをケルビン数値の高い(6,000Kあたり)ハロゲンバルブに交換したことがあったが、確かに色は白色になったものの明るくはならず(当然ですね。特に雨天では最悪)、元に戻したという経緯がある。
今回の2号機では、白濱さん(アイディング代表)の提案で、値段も手頃になってきたLEDバルブを試しに装着してみた。LEDはご家庭の電球でもご存知のように、着け変えてやれば寿命は長いし、電気代は抑えられるうえ、なにより明るい。そんなわけで、最初に装着したのは「NOVSIGHT」という海外(説明書の住所はカナダになっていたが……)のLEDバルブメーカーのもの(左右2個セットで5,000円前後)。
早速点灯してみると、当然ながらハロゲンより明るく、白い光がキレイ。ロービームが当たる光の上部のカットもしっかりできていて、対向車に眩しい思いをさせないで済みそうだ。しかし、残念! S124のメーター内にある球切れ警告灯がすぐに点灯してしまう。警告灯をキャンセルする方法(そこだけ電球を外す?)はあるらしいが、せっかくメルセデスが親切で付けてくれたチェック機能を殺すのはもったいないし、他の場所が球切れを起こしていてもわからないのは困る。
そこで、今度は少し古いタイプのLEDバルブ(白濱代表の手持ちのもの、フィンがついた「C4」というヤツ)に交換。すると、警告灯は光らず、代わりに眼前に白い光が広がっているではないか。スバラシイ。ただし、NOVSIGHTに比べると照射範囲のカットがチョット甘いので、しばらく乗って対向車から頻繁にパッシングを受けるようなら、元に戻してやろうと思っている。
オーディオはやっぱりナカミチ
次はドリンクホルダー。124の収納部といえば、フロントシート間のセンターコンソールボックスとシート背面のポケット、4枚の薄いドアポケットぐらいで、現在のクルマに比べると極端に少ない。また、初期型124にあった助手席グローブボックスは、後期型ではSRSエアバッグの収納部になってしまっている。
1号機でペットボトルやコンビニコーヒーの置き場に困った筆者は、ドイツのカー用品メーカー「HRリヒター」社製の「Air-Cooler」(1,000円前後)を見つけ、取り付けていた。これはエアコン吹き出し口に差し込むタイプで、124に乗る前のBMW「E46」時代から使っていたものだ。プラスチックの質感が当時のドイツ車に使用されているものと似た感じだったり、取り付け精度がよかったりしたので、継続使用(途中で1度新品に交換)することにした。
さらに今回は、同じリヒター社製で、太めのペットボトル(600mlタイプ)やLサイズのコーヒーカップに対応する「Drink Holder Gripper」(1,800円)とiPhone用ホルダーの「Smart Gripper2」(3,000円)を取り付けた。
ドライブレコーダーは、3年ほど前に1号機に取り付けたユピテルの200万画素モデル「DRY-WD300」をそのまま移植。カーナビも移植しようと思ったが、これまで使用していたパナソニックの「ゴリラ CN-GP720VD」はすでに無料地図の更新期間が終わっていたため、現行の「CN-G1300VD」(4万5,000円前後、取り付け直後に新型の1400が出た……)を新規購入した。
コンソール周りでは、オーディオのヘッドユニットをメルセデス純正のカセットデッキ(CDチェンジャー部はトランクに設置されている)モデルから、高級オーディオメーカーだったナカミチ(すでに会社はない)のCDチェンジャー「CD-400」に換装した。
1号機では同じナカミチの「CD-45z」(1990年代後半製?)を装着しており、今回の400はその流れを引き継いだ45zの後継モデルだ。2000年前後に製造された同社の中級機であり、落ち着いた艶消しブラックのフロントフェースやアンバーのイルミネーションが124の内装に一致していて、なかなか良い。先のカーナビも含めて最新の1DINディスプレーオーディオを選択する手もあったのだが、筆者の使い方としては、CD-400から引き出したAUX端子にBluetooth受信機をつないでiPhoneの音楽を飛ばす方法を採っているので、今はこれで満足だ。そして、古いナカミチ製ヘッドユニットの現状や修理については、また別の機会に書いてみたい。
タイヤの選択も当然、おろそかにはできない。S124の純正サイズは195/65R15で、200PSの2.8リッター直6エンジン搭載モデル用としてはハイトが高く、ちょっと細い気もするが、当時の設定はこんなもの。特にサイズアップしたり、スポーティーなものに変えたりするつもりはない。
1号機ではブリヂストンの「レグノ GR-X」と冬用「ブリザック REVO GZ」の豪華セットから始まって、ミシュラン「エナジーセイバー+」、グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」、同じくオールシーズンのミシュラン「クロスクライメート」とさまざまなタイヤを試し、各方面でレポートも行ってきた。さてさて、今回はどうしようかな。続きは次回。