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トヨタ自動車の新型車「カローラ スポーツ」に試乗し、自身の“購入検討リスト”にも加えるほどの好感触を得た安東弘樹さん。試乗後に行ったエンジニアとの懇談では、マニュアルトランスミッション(MT)設定の理由など、気になるポイントに次々と切り込んだ。

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4 安東弘樹のクルマ向上委員会!

マニュアル設定の理由は? 安東弘樹、トヨタ「カローラ」の技術者と語る!

AUG. 28, 2018 12:00 Updated DEC. 23, 2024 17:57
Text : 安東弘樹
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トヨタ自動車の新型車「カローラ スポーツ」に試乗し、自身の“購入検討リスト”にも加えるほどの好感触を得た安東弘樹さん。試乗後に行ったエンジニアとの懇談では、マニュアルトランスミッション(MT)設定の理由など、気になるポイントに次々と切り込んだ。

※文と写真はNewsInsight編集部・藤田が担当しました

カローラは「つまらないクルマではない」

安東さんが話を聞いたのは、トヨタ Mid-size Vehicle Company MS製品企画 ZE 主幹の梅村伸一郎さん。最初の話題は、新しいカローラがハッチバックというボディタイプとなった理由だ。

  • ほかの参加者が帰路についた後も話し込んでいた梅村さんと安東さん

カローラにはセダンの「アクシオ」とワゴンの「フィールダー」があるが、新型が全く新しい姿で登場したのはなぜか。梅村さんは「イメージを変えるという意味で有効かなと。カローラにはハッチバック、セダン、ワゴンをグローバルで用意するんですが、ハッチを最も早く投入したのは、ユーザー層の若返りを図る上で1つの手段。もともとカローラにはスポーティーなイメージがあったので、原点回帰を図りました」とした。

対する安東さんは、フォルクスワーゲンの試乗会で「ポロ」と「up!」のGTIに乗ったばかりと前置きした上で、「カローラもつまらないクルマではなく、感動すら覚えました。今までは退屈なクルマというイメージがあったので、ハッチバックにしたことも含め、英断だと思います。元はといえば『レビン』もありました。1970年代初頭に父親がカローラに乗っていましたが、当時は高齢の方のクルマというイメージは微塵もなかったので、原点回帰は大歓迎です」と応じた。

  • スポーティーなイメージを取り戻すカローラの原点回帰は「大歓迎」と安東さん(画像提供:トヨタ自動車)

若い人は「カローラ」を買う?

デザインについては、「生まれて初めてカローラを格好いいと思った」と安東さんも好印象だ。梅村さんはリアの造形について、「バックドアには樹脂を使ってます。『フィールダー』も樹脂だったんですが、トヨタとして初めてのトライだったので、鉄に戻せるような(のっぺりした)造形にしなければなりませんでした。今回はノウハウがあったので、思いきった造形にできました。これは鉄だとできません」とのこだわりを教えてくれた。

トヨタが若者世代に提示するクルマのカローラ スポーツだが、最も安いグレード「G“X”」で210万6,000円、最上級グレード「HYBRID G“Z”」で268万9,200円からという価格設定について安東さんは、少し高いとの印象を抱いた様子。「20代の人が買うとなると……」と懸念を示すと梅村さんも、「ちょっと高いという声は実際、ある」と応じた。

「もう少し何とかできないかとは考えていますが、インパクトを出したいという考えもあって(装備などにもこだわった)。少し値が張りますが、20~30代が欲しいと憧れるクルマは、その上の世代の方にも買って頂けるので」とする梅村さんによれば、受注状況は「今までの傾向から考えると、若い人からも受注は頂いています。グレードは『G“Z”』が最も多く、ハイブリッドが7割」(試乗会があった7月5日時点での数字)とのことだった。

  • 若い世代が憧れるクルマは、上の世代にも魅力的に映るはずと梅村さんは話していた(画像提供:トヨタ自動車)

マニュアル設定は「すばらしい判断!」

「人生で一度もマニュアルから離れたことがない」と話す安東さんが期待を示したのが、カローラ スポーツのMT車(8月2日に発売)だ。 「日本のMT車市場は小さいんですけど、『スポーツ』ということで」と導入の理由を説明する梅村さんに対し、安東さんは「すばらしいご判断! このまま(MT車を)絶滅させるのは……」と嬉しそうな様子を見せた。

カローラ スポーツが導入する「インテリジェントマニュアルトランスミッション」(iMT)は、インテリジェントという言葉の通り、ドライバーの変速動作をクルマがコンピューター制御で支援するシステムだ。例えば発進時のクラッチ操作を検出した際には、クルマ側でエンジン出力を最適に調整する(トルクを上げる)ことで、クラッチのみによる発進操作をよりスムーズに行えるようサポートする。MT車の操作が苦手な人でも「エンストしにくい」(梅村さん)そうだ。

  • 日本のMT車市場は小さいが、カローラでMTを出したいという強い思いがあったと語る梅村さん

カローラにマニュアルを設定する2つ目の理由

クルマに関する全ての操作を自分で行いたいと考える安東さんにとって、iMTのようなクルマ側からの介入は不要だろうとは思うが、こういったシステムを導入すること自体については、「MT車のハードルを下げるのにすごくいい。一度エンストすると、萎えてしまう人もいるので。僕の世代でもMT乗りはほとんどいない」とし、その判断に理解を示していた。

  • MT車の衰退を嘆く安東さんは、「カローラ スポーツ」に「iMT」を導入するトヨタの判断を喜んだ

アクシオ、フィールダーにもMT車を用意するトヨタだが、同社がカローラシリーズにMTを採用する理由は、運転の楽しさを提供するためだけではない。カローラユーザーの平均年齢は60歳を超えているので、これまでMT車にしか乗ったことがなくて、「MT車しか乗れないといって買ってくれる人もいる」(梅村さん)そうだ。

「あの色(紺色、ブラッキッシュアゲハガラスフレークというエクステリアカラー)でMTのターボだったら、このクラスの日本車で初めて欲しいと思うかも」。エンジニアとの懇談も終盤に差し掛かり、カローラ スポーツのMT車が購入検討リストに入ったことを明言した安東さん。ポルシェ「911 カレラ 4S」、ジャガー「F-PACE」に続き、安東家に納車されるのはどのクルマになるのだろうか。対抗馬としてはMINI(ミニ)「クラブマン」、マツダ「アテンザ」が有力なようだが、判明したときには弊紙でもお伝えできればと思う。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。