アメリカ発祥の自動車ブランドの中でも、日本で人気を伸ばしているのがSUVを得意とするジープ(Jeep)だ。新車登録台数は右肩上がりで、2019年(暦年)は5年前の約2倍となる1.3万台強を達成。そんなジープのクルマに試乗するとの知らせが安東弘樹さんから届いたので、レポートしてもらった。
※本文は安東さん、導入部、まとめの部分、画像のキャプションはマイナビニュース編集部が担当しました
夏の白馬を「ジープ」で駆け抜ける!
皆さま、大変な時代になっていますが、いかがお過ごしですか? お互いになんとか踏ん張っていきましょう!
さて、コロナ禍でかなり長い間、メディア、ジャーナリスト向けの「試乗会」というものは開催されていませんでした。
しかし、緊急事態宣言が解除された後の6月下旬くらいから、各自動車メーカーやインポーターは途絶えていた試乗会を開催するようになってきました。もちろん、感染予防の対策を行った上で、参加人数も通常の半分以下で行うことがほとんどです。
そんな中、7月上旬の某日、FCAジャパンがジープブランドの試乗会を長野県は白馬のスキー場で開催しました。
さすがはジープブランド、試乗会場は夏場のスキー場! しかも、スキー場のゲレンデを走るというオフロード色満載の試乗です。しかし、前日から日本全体が梅雨前線に覆われ、日本各地で大雨が降り、この試乗会も実は、一旦は中止が告げられていました。
私はといえば、夜のレギュラー番組にリモート出演する関係で、前日から試乗会場近くのホテルに泊まっておりましたので、中止と言われて帰るわけにもいきません。仕方がないので、白馬の夜を部屋で大人しく楽しもうと、ジープに乗るのを諦めて眠りについたのでした。
しかし翌日、嬉しい知らせが届きました。中止にしようと一旦は判断したが、当日は雨がおさまる予報に変わったので、「今、白馬に居るメディアの方だけで開催します」とのことでした。
もともと、1日の試乗参加者は7媒体と少数だったのですが、当日も東京から長野方面の新幹線や在来線特急などが運行休止になったため、前泊した3媒体だけの試乗会になってしまったのです。
過去を振り返っても、こんな試乗会は初めてのことです……。
ちなみに、雨で来られなかったうちの1人が、このマイナビニュースの担当編集である藤田さんです。ですから、今回は私の一人語りの記事にさせて頂いております。なにとぞ、ご了承下さい……。
「ラングラー」の中核モデルで道なき道をゆく
さて、本題です。
今回は基本的にジープフルラインアップの試乗会で、インポーターさんが用意して下さったのはフラッグシップである「グランドチェロキー」、その弟分の「チェロキー」、そして、ブランドのアイコンである「ラングラー」、それと「レネゲード」という4車種でした。さらに、ラングラーには2ドアの「スポーツ」というグレードが1台と、4ドアで装備が豪華な「サハラ」、同じく4ドアでオフロードに特化した「ルビコン」という2台の計3台がそろっていました。ラングラーだけで3台という布陣からは、「オフロードを試して欲しい!」というメッセージが伝わってきました。
ちなみにルビコンとサハラの違いですが、ルビコンにはハードなロックセクション走行時などに威力を発揮する「スウェイバー・ディスコネクト・システム」(スタビライザーを切り離してサスペンションストロークを拡大する機能)が付いている点が大きな特徴です。
ジープブランドにはもう1台、「コンパス」というクルマがありますが、こちらはオフロード用のタイヤが用意できなかったという理由でラインアップされていませんでした。それでも、今回の参加車両はジープのことを理解するには十分なラインアップといえます。
しかも、試乗会参加媒体は3つだけ。最初に申し上げると、全てのクルマに思いっきり乗る事ができて、珍しく(?)お腹一杯の試乗会になりました。
コースは2種類で、1つは草むしたゲレンデを縦横無尽に走るハードコース。もう1つは林道を中心に「穏やかな」道を走るソフトコースとの説明を受けます。
今回の試乗会は「密」を避けるため、通常だと試乗前に行われる「商品説明」や概要のプレゼンテーションなどはなく、すぐ実走という形で始まりました。
まず私が選んだのは、ラングラーのサハラグレード。ジープのアイコンであるクルマの中核グレードです。
スタッフの指示に従って、まずはスキー場のロードコースを使ってゲレンデの頂上を目指します。普段はスキーを履いて乗るリフトを横目に、夏の少し荒れたロードコースを上っていくのは何とも爽快でした。ゲレンデ最頂部に着くと眼下には青木湖が雲の隙間から見えたこともあり、ますますワクワクしてきます!
そして、スタッフから「ここを走ってください」と指示を受けたのですが、最初は驚きました。
え!? ここ、道ではないですよね……。
そう、冬場は雪に覆われている斜面ですが、夏場は大人の身長以上に伸びている草が群生しています。
「道なき道」などという表現がありますが、まさに先が全く見通せない草むらに突っ込んでいく、という様相でした。
スタッフは「昨日、走った方の轍が何となく残っていますので、そこをガイドに走って下さい」と笑顔で言っています(笑)。
私もかつては新雪が積もった林道を走破する趣味を持っていましたので、一挙にその時の血が騒ぎ、「嬉しいですねー、行ってきます!」と草むらに突入です!
確かに轍らしきものは見えますが、路面はもちろん、向かっていく先もほとんど見えません。
しかし、条件が悪ければ悪いほどテンションが上がっていく自分に気付きながら、怒涛の様にラングラーを進めます。
途中、コースというか単なる下り坂ですが、急に草がなくなり、そこを横切るロードに着いた時は少しホッとしましたが、またそのロードを超えて、草むらに再突入です! さらに進んでいくと道は泥になり、しかもフロントガラス越しには空しか見えなくなるほどの泥の山を越え、また草むらに入り、しばらくするとゴール!
スキー場から出て舗装路を走っている時も、しばらくは楽しくて笑顔が残っていました。
次に、よりオフロード色の強いルビコンをドライブしましたが、この程度の草地では前述のスウェイバー・ディスコネクト・システムの威力を確認することができないほど、ベースとなるラングラーの基本性能の高さを感じました。
そのあとはチェロキーなどの「シティー派」と呼ばれる3台で「ソフトコース」を走ります。ソフトとは言いながら、スキー場の下半分に設定された道なき草地でしたが、シティー派ジープの各車は難なく走破していきました。ジープブランドの悪路走破性は、末弟のレネゲード(もちろん、最上級の4駆モデル)でもしっかりと担保されていることを実感した次第です。
(ここからは担当編集が書いております)さて、夏の白馬のスキー場でジープの悪路走破性を存分に堪能した様子の安東さんですが、今のジープに「これは欲しい!」と感じるクルマはあったのでしょうか。そのあたりについては、次の記事で語っていただきます。