ホンダの「プレリュード」といえば、ある世代の人にとっては「デートカー」(今では死語)としておなじみのクルマだった。そのプレリュードが2025年、新型車として発売になるという。どんなクルマなのか、「東京オートサロン2025」(1月12日まで幕張メッセで開催)のホンダブースで取材してきた。
そもそもプレリュードとは
新型プレリュードの初登場は「ジャパンモビリティショー2023」だった。このクルマが2025年に発売となる。今回の東京オートサロン2025でホンダは、エアロパーツを装着したプレリュードのカスタマイズモデルを展示した。
さて、プレリュードといえば、1978年に登場した初代(角目の2眼ヘッドライトがついた2ドアクーペ)はともかく(?)、1982年に登場した2代目と1987年の3代目が当時、「デートカー」として一世を風靡したのは我々おじさん世代にはもう有名な話。
2代目はリトラクタブル・ヘッドライトを搭載した薄いボンネットを持つ幅広ボディに2+2のコンパクトなキャビンが乗る斬新なスタイルで登場。2.0L直列4気筒DOHCの高性能ホンダツインカムエンジンを搭載していたこともあって、一気にスターダムにのし上がった。価格がそれほど高価ではなかった(200万円前後)こともあり、若者のデートのアシになる条件を完璧に満たしていたわけである。
3代目はよりブラッシュアップされたスマートなカタチ(ボンネットとリトラクタブルヘッドライトのカラーがボディ同色になったことも大きかった)になり、デートカーとしての地位を盤石なものにした。人気絶頂のアイルトン・セナが乗るホンダF1マシンが搭載したエンジンを彷彿させるPGM-F1仕様のツインカムエンジンや機械式4WS(四輪操舵)システムによる走りも、デートを成功させる要因になっていたのだ。
新型プレリュードの方向性は?
転じて今回の新型プレリュードはどうか。確かにカタチはカッコいい2ドアクーペなのだが、どちらかといえば2代目、3代目の低く幅広のデザインとは異なり、ある意味で4代目プレリュード(1991年~1996年)に近い丸く厚みのあるスタイルになっている。なぜか。
それはホンダがこのクルマを最初からプレリュードとして作り始めたわけでなく、名前を最後につけたからだという。
「前奏曲」や「序曲」の意味を持つ「プレリュード」らしく、今回の新型はホンダ独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」搭載車に、次世代の新技術「ホンダS+Shift」(エスプラスシフト)を初採用している。
新開発のホンダS+シフトはe:HEVの特性をいかしながら、さらにドライバーとクルマの一体感を際立たせる「操る喜び」を追求した新機能。車速とエンジンサウンドを連動させる制御「リニアシフトコントロール」は2020年発売の「フィット」(e:HEV搭載車)から採用を始めていたが、今回はそれをさらに進化させ、e:HEVならではの高い環境性能はそのままに、加減速時に緻密にエンジン回転数をコントロールし、ダイレクトな駆動レスポンスと鋭い変速を実現するという。
さらに、エンジン回転数と同期した迫力のある音をスピーカーから流すことでエンジンサウンドの音質を高める「アクティブサウンドコントロールシステム」と、同システムと協調して俊敏に反応するメーターなどにより五感を刺激し、よりドライバーとクルマが「Synchronize」(一体化)するような、爽快で意のままの走りを提供するとのことだ。
東京オートサロン2025に展示されたプレリュードは、これまで公開されていたものとは異なり、ダークカラーのボディにブラックホイールやリアウイングなどのエアロパーツを装着したカスタマイズモデルだった。内部は残念ながら公開されなかったが、来場者は身を乗り出してボディの細部を確認するなど、人気は上々の様子だ。
ブースではこのほか、1月23日に発売される「シビック タイプR レーシングブラックパッケージ」や1964年にホンダがF1に初参戦した「RA271」、2024シーズンのFIAフォーミュラワン世界選手権でドライバーズチャンピオンを獲得したフェルスタッペンのマシンなどが展示され、レーシングスピリットあふれるブースになっていた。