マイナビニュースマイナビ
Large

ホンダのモータースポーツ活動は今後、何を目指す? 2024年の手ごたえは? クルマ好き学生ライターが「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」(2024年12月14~15日)開催中のHondaウェルカムプラザ青山(東京都港区)でホンダ・レーシング(HRC)広報に話を聞いてきました。

( Car )

ホンダはどこに向かう? モータースポーツのこれまでとこれから

JAN. 09, 2025 11:30 Updated JAN. 09, 2025 19:16
Text : 森藤幸士
Share
Contents
Tags

ホンダのモータースポーツ活動は今後、何を目指す? 2024年の手ごたえは? クルマ好き学生ライターが「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」(2024年12月14~15日)開催中のHondaウェルカムプラザ青山(東京都港区)を訪れ、ホンダ・レーシング(HRC)の方に話を聞いてきました。

  • 「RB20」(レットブルレーシング)

    イベントに展示された「RB20」(レットブルレーシング)

2024年の手ごたえは?

――今回のようなイベントは例年、「ツインリンクもてぎ」で「ホンダレーシングサンクスデー」として開催されていましたが、2024年は形を変え、東京・青山のウェルカムプラザで実施されました。どういった経緯があったのでしょうか?

HRC 企画管理部の遠藤茂樹さん:アクセスのしやすさもポイントのひとつですし、何よりも、ホンダの青山本社ビルが2025年春から建て替え工事に入るので(新しいビルは2030年度に完工予定)、最後にここで開催したいという思いがありました。普段からウェルカムプラザはショールーム兼カフェとして開放しており、クルマやバイクにあまり興味がない方でも気軽に立ち寄れる場所なんです。今回のイベントも、土曜日(12月14日)には2,400人ほどにご来場いただき、日曜(12月15日)も同規模の人数で大盛況でした。

――2024年のレース活動を振り返って、ホンダとしての手ごたえはいかがでしたか。

遠藤さん:F1ではドライバーズタイトルを取れたものの、チームとしてはコンストラクターズを獲得できず、悔しい結果となりました。一方、インディカーではアレックス・パロウ選手が3度目のチャンピオンを獲得しています。国内ではスーパーフォーミュラ(SF)で「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」(ドコモ チーム ダンディライアン レーシング)がチームタイトルを取ったのですが、ドライバータイトルには届きませんでした。スーパーGTは車両をNSXからシビックに切り替えて初年度でしたが、総合2位でまずまずの結果だったと思います。

  • シビックTYPE R-GT

    シビックTYPE R-GT

  • スタンレーのドライバー山本尚貴選手

    スーパーGTでチームランキング2位に輝いたスタンレーのドライバー山本尚貴選手

――スーパーGTはNSXからシビックに切り替えることで空力特性が大きく変わったと聞きました。開発面では相当なチャレンジがあったのでしょうか?

遠藤さん:そうですね。NSXはミッドシップというレイアウトもあって車体形状が低く、空気の取り入れ口が大きい分、ドラッグ(空気抵抗)も大きくなりがちでした。一方でシビックは、4ドアでシルエットが違いますから、ドラッグが抑えられる代わりにダウンフォースをどう確保するかが課題でした。実際、風洞実験のための時間を増やすためにチーム同士で調整し合ったり、何度もシミュレーションとすり合わせが必要でした。それでも、初年度で総合2位に入れたのは大きな成果だったと思います。

電動化とモータースポーツの関係

――世界的にクルマの電動化が進むなかで、ホンダも電動化に舵を切ることを公表しています。ホンダとしては今後、モータースポーツにどのように取り組んでいく予定でしょうか?

遠藤さん:モータースポーツそのものが電動化の道を選ぶ方向で動いているので、それに追随する形になると思います。例えばアメリカのインディカーやIMSAでは、すでにハイブリッドが導入されています。ただ、日本ではコストや商業的な課題があって、導入を急ぐのは難しい面もあります。それでも、トレンドとしては電動化の方向に進むでしょうし、F1では2026年からエンジンとモーターの出力がほぼ半々になるレギュレーションが採用される見込みです。MGU-Hが廃止される代わりにバッテリーとモーターの出力が高まるので、エネルギーマネジメントの重要性はさらに増しますね。

――2026年に向けてはアストンマーティンとのワークス体制も発表されていますよね。レッドブルとの関係はどうなるのでしょうか?

遠藤さん:2025年までレッドブルとの協力関係は続きます。これまでの取り組みでドライバーズタイトルを獲得した実績もありますし、彼らも大きく貢献してくれました。ですので最後の年となる2025年は、今までの歩みをファンの皆さんと一緒に振り返るような発信をSNSなどで考えています。そのうえで、2026年からはアストンマーティンとワークスパートナーシップを組んで、新しいチャレンジに臨むことになります。

  • VCARB 01(レーシングブルズ)

    ホンダのエンジンを積むVCARB 01(レーシングブルズ)

――フォーミュラEのような純EVレースシリーズへの参戦は検討されていますか?

遠藤さん:技術的な研究は進めているものの、現時点で本格的な参戦計画はありません。フォーミュラEは車体やモーター、バッテリーなど多くの要素が規定で統一されているため、メーカー独自の技術をアピールする余地が少ないという課題があります。とはいえ、都市部で開催できるなど電気ならではの面白さも感じています。ただ、まずはF1をはじめとするハイブリッドレースでの開発や、2026年以降の新レギュレーション対応が最優先ですね。

――ありがとうございました。レース活動の最先端から市販車への技術還元を期待しつつ、モータースポーツ自体の盛り上がりにも注目していきたいと思います。最後に、今後の展望を一言いただけますか?

遠藤さん:今まさに進行している電動化の波と、F1をはじめとしたモータースポーツの魅力がどう融合していくかが大きなポイントだと思います。ホンダとしてはファンの皆さんと共に未来を切り開く姿勢で、レースを通じた技術開発とエンターテインメントを両立させたいですね。引き続き応援よろしくお願いします。

  • マクラーレンホンダMP4/6

    アイルトン・セナがドライブしたマクラーレンホンダMP4/6

今回のイベントでは現代のレーシングカーだけでなく、あのアイルトンセナが乗っていたマシンなども展示されていました。会場は多くの来場者でにぎわっていました。

2024年12月23日の記者会見でホンダは、日産自動車との経営統合にむけた協議を進めていくと発表しました。将来的には三菱自動車工業も含めた統合が進む可能性もあります。モータースポーツを含め、ホンダは今後、どこに向かって進んでいくのでしょうか。日本を代表する企業であるだけに目が離せません!


Share

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。