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クルマ好きにとって憧れの物件といえばガレージハウスだ。好きなクルマの保管場所でもあり、クルマを降りてからのくつろぎの場所でもある夢の建物である。クルママニアの安東弘樹さんが自宅近くにガレージハウスを建てたと聞いたので、訪問させてもらった。

( Car )

安東弘樹さんのガレージハウスを訪問! どんな建物? こだわりは?

JAN. 09, 2025 08:00 Updated JAN. 09, 2025 19:59
Text : 安東弘樹
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クルマ好きにとって憧れの物件といえばガレージハウスだ。好きなクルマの保管場所でもあり、クルマを降りてからのくつろぎの場所でもある夢の建物である。クルママニアの安東弘樹さんが自宅近くにガレージハウスを建てたと聞いたので、訪問させてもらった。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス

    安東弘樹さんのガレージハウスを訪問!

ガレージハウスを建てた理由

安東さんは自宅(千葉県)から「自転車圏内」の場所にクルマ3台をとめておけるガレージハウスを建設した。完工は約3年前の2021年。1階はガレージ、2階は居住空間となっている。広さは50平米くらいとのこと。なぜガレージハウスを建てようと思ったのか、どんな流れで建てたのか、これからガレージハウスを建てようと思っている人へのアドバイスは? などなど、気になることを現地で聞いてきた。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス

    1階のガレージにはクルマ2台を並べて駐車可能。前の空いたスペースにもクルマがとめられるよう、車庫証明は3台分でとってあるという

――すてきなガレージハウスですね! なぜ建てようと思ったんですか?

安東さん:もともと複数台のクルマを所有していまして、自宅にも2台はとめられるんですが、仕事上、「広報車」()を借りる機会が多いので、その保管場所として必要だと思ったんです。借りたクルマをコインパーキングにとめるのも気がかりですし、そもそも、このあたりは住宅街なのでコインパーキング自体が少ないんです。広報車を保管するために月極駐車場を借りるのもどうかな、という気がしますし……。

※編集部注:広報車というのは自動車メーカーや輸入車インポーターが取材用にメディア・ジャーナリストに貸し出すクルマのこと。数日にわたって借りることもあるため、取材する側にとって保管場所はけっこう悩みの種になっている。

安東さん:それと、ガレージハウスを建てようと考える前から、将来的に電気自動車(EV)あるいはプラグインハイブリッド車(PHEV)を購入する可能性があると思っていたんです。そうなると、クルマを充電できる保管場所が必要になります。クルマの充電は太陽光発電で作った電気で行いたいと以前から考えていたので、ソーラーパネル付きのガレージハウスを建てることにしました。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス

    安東さんは現在、BMW「X5 xDrive50e」、プジョー「e-208」、ロータス「エリーゼ」の3台のクルマを所有している。この日、ガレージハウスにとめてあったのは「X5 xDrive50e」(左)と「e-208」(右)だった

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    「X5 xDrive50e」はBMWのプラグインハイブリッド車(PHEV)。PHEVは外部から充電できる(プラグイン機能のある)ハイブリッド車だ

  • 安東弘樹さんのガレージハウス

    「e-208」はプジョーの電気自動車(EV)。EVはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走るクルマだ

――ソーラー発電でクルマを充電したかったんですね。理由は?

安東さん:EV/PHEVの場合、電源に何を選ぶかでエコに走れるかどうかが変わってきます。ソーラー発電であれば、パネル自体の廃棄の問題は残るのですが、それでも、走っている最中は環境に負荷をかけなくて済みます。クルマを走らせるエネルギーを太陽からいただくことができるんです。ずっと前から、やりたかったことでした。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 普通充電で「e-208」を充電しているところ

――安東さんは若いころから筋金入りのクルマ好きで、これまでに地球40周分を超える距離をガソリンか軽油で走ってこられました。そのあたりも気になっていたんですか?

安東さん:地球に負担をかけてきたな、という思いはありました。なので、罪滅ぼしと言いますか(笑)

――恩返しとも言えるかもしれないですね。

安東さん:ソーラーパネルで発電した電気はクルマの充電のほか、このガレージハウスで過ごすための電力としても使っています。建物はオール電化なのですが、エアコンや電化製品などで使う全ての電力をソーラー発電で賄うことができています。そのうえ、毎月1.5~2万円分くらいは売電できるんです。

――そんなに!

安東さん:ソーラー発電の設備を導入するための資金は、5年くらいで償却できそうな勢いです。

――それはすばらしいですね。

安東さん:それと、前に勤めていた会社(TBS)から退職金が出たこともあり、自宅のローンが完済できたことも、ガレージハウス建設を決断できた理由のひとつですね(笑)

――予算内で建てられたんですか?

安東さん:それが、最初に見積もりを出してもらったときは、私が提示した予算の倍は言い過ぎかもしれませんが、けっこう高めの金額でした。

――どうされたんですか?

安東さん:費用を抑えるため、いろいろと工夫していただきました。例えば、この床はもともと、本当の木材を使う見積もりでしたが、木目調のクロスの床にしていただいたり。

――本当の木かと思ってました!

  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 2階は居住空間。キッチンの設備が備わったリビング兼ダイニングと寝室(もちろんバス・トイレ完備)という間取りだったので、形式としては1LDKということになるだろう

――ガレージハウスを建設するにあたっては、どんな発注をされたんですか?

安東さん:クルマ2台を並べて置けて、ソーラー発電の設備とクルマの充電設備があって……くらいの条件しかなかったのですが、それだと設計のしようがないということだったので、「秘密基地」というキーワードを提示しました。その結果、外観や窓の感じを秘密基地っぽくなっています。

――大人の秘密基地ですか。うらやましいです。

安東さん:窓が高い位置にあるので、設計図を見たときは室内が暗かったり、閉塞感があったりするのではないかと思ったのですが、完成してみると意外に明るいですし、開放感もあって、さすがプロの仕事だなと思いました。

ただ、普通の住宅とは異なる見た目なので、建ったばかりのころはご近所で話題になっていたみたいです。そもそも玄関がないですし、「これって何の建物? 倉庫?」といった感じで……。ご近所の皆様には、お宅に伺ってしっかりとご説明させていただきました。

――確かに、ご近所さんはびっくりするかもしれません(笑)。ガレージハウスを建てるなら、ご近所さんへの配慮も重要ということですね。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 「秘密基地」がテーマの内外装。設計は雑誌の取材で知り合った建築士にお願いしたとのこと

――土地はどうされたんですか?

安東さん:「予算内の土地があったらいいな」くらいの考えで検索してみたら、いくつか見つかりまして、条件によって値段はまちまちだったんですが、思ったよりも安く探せました。

正直、最初は「無理だろうな」と思っていたんです。会社を辞めた後の仕事の量、経済状況がなんとなくつかめてきた中で、まず、土地の値段を見たときに、初めて「これ、もしかしたら実現できるかも」と思えました。土地を見てみるまでは、まったくの冗談というか、夢物語、そんな状況でした。

――建設はスケジュール通りに進みましたか?

安東さん:2020年に発注して2021年に完工したのですが、本来ならもっと早くできるはずでした。当時はコロナ禍で、ソーラー発電設備の半導体が遅れたり、アメリカから輸入したシャッターは、現地の港湾がストップしてしまって届くのが遅れました。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • アメリカから輸入したシャッターはレールをスライドして開閉するタイプだった

――2階の居住空間ですが、これも当初から欲しいと思っていたんですか?

安東さん:「あればいいかな」とは思っていました。私は生活のリズムが家族と違いますし、寝ていてもちょっとした物音で起きてしまうようなタイプなので、例えば子供たちが学校に通う平日に、自分は10時起床でも問題ないときでも、子供たちが起床する6時には強制的に起こされるので、大変だったんです。でも、ガレージハウスで寝られるなら、それが解消できるかな、という考えはありましたし、実際にそうやって使っています。

おかげさまで夫婦仲は悪くないので、妻と離れて過ごしたいとか、そんな思いはないんですけどね(笑)。ただ、実際問題として眠れないことがあったので、そこはありがたいと思っています。

――ガレージハウスでの過ごし方は?

安東さん:コラムや原稿など、書く仕事をしていることが多いです。あとは、リモート会議に使うとか。

――「離れ」とか「書斎」のような場所とも言えそうですね。

  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • ガレージハウスでは書き仕事をして過ごすことが多いと安東さん

ガレージハウスが夢…ではなかった?

――広報車の保管とEV/PHEVのソーラー発電での運用が目的、とのことですけど、ガレージハウスを建てること自体が子供のころからの夢だった、みたいな話は……。

安東さん:いえ、まったく。ご期待に応えられなくて申し訳ないんですが、クルマのことしか考えないで生きてきたので、家のことなどは全く興味がなかったんですよ。クルマにしか興味がありません。ですので、純粋に、先ほど申し上げたことが動機です。ただ、やっぱり、クルマをキレイな状態で、誰にも傷つけられる可能性がない屋内のガレージで保管したいというのは、前から思っていました。

――箱根とか熱海あたりに、別荘兼ガレージハウスを建てたいといったような、クルマ好きとしての夢は……。

安東さん:まっったくないです。面白みがなくてすみません! 記事になりますかね?(笑)

――いえ、むしろ、安東さんの極端な感じが出ていて面白いお話かと思います(笑)

  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • 安東弘樹さんのガレージハウス
  • クルマのことだけ考えて生きてきたという安東さん。書棚には自動車の雑誌がびっしりと並んでいた

安東さん:夢の基準が低いのかもしれません。普通にご飯が食べられて、生きていけるというのが子供時代からの夢だったので。今でも、そんなに変わっていないんです。たまたまガレージハウスが建てられただけと言いますか。「こんなの建てていいのかな……でも、自分で働いて得たお金だし」という感じなので、夢を実現したという感じではないですね。

ひとつひとつのクルマについても、夢を実現して購入したわけではないんです。例えば、今はロータス「エリーゼ」に乗っていますけど、それは「昔からエリーゼが欲しくて、ついに買った!」というよりも、エリーゼのシフトフィールを味わったときに「これだ!」と思ったので買ったんです。前に乗っていたポルシェもそうで、シフトフィールにお金を払っていたようなものなんです。値段やステイタスなどではなく、このシフトフィールが欲しい、という思いで買ったクルマでした。

ガレージハウスを建てたいと思っている人へ

――最後に、ガレージハウスを建てたいと思っている人に何か忠告というか、アドバイスはありますか?

安東さん:居住空間を作るのであれば、冷暖房については「がっつり住む」くらいの気持ちでしっかりと考えた方がいいと思います。ときどき来て泊まるだけだし……といった感じで進めると、後悔するかもしれません。最も暑い時期と最も寒い時期を想定して準備するといいと思います。

それと、本当に必要なものは何かを見極めておくことも大切だと思います。例えば、コンセントをいくつ設置するかなどです。

もうひとつは換気ですね。1階がガレージ、2階が居住空間というガレージハウスでは特にですが、排気ガスが居住空間に入ってくるかもしれないので、換気扇を設置するなど対策をされた方がいいと思います。EVであれば問題ないのですが、エンジン車をとめるご予定があるなら排ガス処理のための換気は重要です。

――ガレージハウスにとって換気は重要なポイントですね。ありがとうございました! お邪魔しました。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。