東京・虎ノ門にオープンしたトヨタ自動車「クラウン」の専門店に行ってみると、現行型(16世代目)クラウン(クロスオーバー)をベースとするオープンカーが展示してあった。どうやらトヨタが自ら製造したクルマのようだが、作った目的は? 市販の可能性はあるのだろうか。
オープンカーを作った2つの理由
クラウンは2025年1月7日で誕生70週年を迎えたトヨタの超ロングセラーモデル。現行の16世代目は「クロスオーバー」「スポーツ」「エステート」「セダン」の4つのボディタイプが発表となり話題を呼んだ。そのうち3タイプはすでに発売済みで、ステーションワゴン的な特徴を持つエステートは2025年中に発売となる見通しだ。
クラウン専門店「THE CROWN 東京虎ノ門」の開業セレモニーに登場したクラウンチーフエンジニアの清水竜太郎さんによると、トヨタでは歴代のクラウンでオープンカーを作ってきたそうだ。現行型(16世代目)でオープンカーを作った目的は2つあるという。
ひとつは社会貢献・地域貢献だ。プロ野球をはじめとする優勝パレードや一日警察署長などのイベントに車両を貸し出し、地域の人たちに喜んでもらうことを目的としている。
もうひとつは技術の伝承だ。
オープンカーはクラウンの生産拠点である堤工場(愛知県豊田市)で製造した。製造の際には単純にボディをカットするのではなく、オープンカーにしてもクラウンらしさを失わないよう試行錯誤を繰り返したという。デザイン面では「洗練されていて美しく見える」(以下、カッコ内は清水さん)ことを重視し、「乗る人もデザインの一部」と捉え、不自然に見えないよう工夫を施した。こうした製造過程で「教え、教えられる風土」を社内で培うことにより、革新と挑戦のクルマ作りに必要な技術の伝承を行っているそうだ。
多様なボディタイプをそろえて我々を驚かせてくれた16代目クラウンだけに、オープンカー仕様を発売してみても面白いのではないかと思うのだが、清水さんによれば「現時点で市販化の予定はない」とのことだった。