2025年の干支は巳。巳年の始まりを記念して(?)、「ヘビに縁のあるクルマ」を何台か取り上げてみたい。今回は光岡自動車の「オロチ」だ。名前の通り、大蛇に関係のあるクルマである。
オロチってどんなクルマ?
10番目の日本の自動車メーカー「光岡自動車」がスポーツカー(光岡流にいうとファッションスーパーカー)を作った。それがオロチだ。
最大の特徴は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)をモチーフにしたデザイン。2001年の東京モーターショーでプロトタイプを出品し、その後も開発を続けて2007年に型式認定を取得した。光岡としては1994年に発表し、1996年に型式を取得した「ゼロワン」以来2車種目となる。
2001年の東京モーターショーでは、光岡として初出展ということもあり、その記念として「オロチ」のプロトタイプを作ったというが、その時点で購入希望者が複数いたことから生産が決定したという。当初はホンダ「NSX」をベースに作る計画だったが、こちらが生産終了となったことから、光岡は独自でフレームなどを作成。エンジンとトランスミッションはレクサス「RX330」のものを使った。
デザインは大蛇の持つ“妖しさ”“怖さ”の中に潜む“妖艶な美しさ”から生まれた。大蛇をイメージし、日本神話の“ヤマタノオロチ”にヒントを得て、重みと言霊が感じられる“オロチ”という車名を採用したのだ。
ボディサイズは全長4,560mm、全幅2,035mm、全高1,180mm。400台の完全受注生産で内装色は25色、ボディカラーは約300色の中から選ぶことができた。さらには特別オーダーも可能で、価格は税込み1,050万円でスタートした。
見た目に反して(?)最高出力は233psと比較的おとなしめ。さらにはAT専用ということもあり、スーパーカーではなく「ファッション」スーパーカーという位置づけになったようだ。
最終的には受注台数が400台に到達しないうちに、法規対応や市販部品の供給状況などを検討した結果、2014年末に生産を終了した。
ただし、2018年には、光岡自動車の創業50年と永井豪氏の画業50年を記念して、たった1台だけ「デビルマンオロチ」というクルマが製造された。これは光岡が所有していたオロチの中古車がベースで、Netflixオリジナルアニメである『DEVILMAN crybaby』(デビルマン クライベイビー)に劇中車としても登場した。
ヤマタノオロチをモチーフにしたクルマは、間違いなく日本からしか生まれない1台といえよう。