ホンダは「Hondaウェルカムプラザ青山」にて「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」(12月14~15日)を開催しました。会場には日本人唯一のF1ドライバーである角田裕毅選手が来場。囲み取材の機会が設けられたので、お話を伺ってきました。
角田選手が今シーズンを振り返る
――2024年シーズン、おつかれさまでした。今シーズンはチームメイトのダニエル・リカルド選手やリアム・ローソン選手と比較して、予選・決勝ともに両者を上回る成績を残されましたが、今シーズンのご自身のパフォーマンスについてどのように評価されていますか?
角田選手: 2023年シーズンと比べて良い成績を残すことができました。コンスタントにチームメイトに対して勝利できたことはよかったです。また、チームメイトのダニエル・リカルド選手からさまざまなことを学ぶことができました。
――リカルド選手からの学びを含め、今シーズンの成長した点、手応えがあったことは何でしょうか。
角田選手: グランプリを通じての気持ちのコントロールをリカルド選手から学びました。ひとつのグランプリでフリープラクティス3回、予選、決勝と計5つのセッションがありますが、その中で、ドライバーには気持ちのアップダウンが生じます。特に、予選までにうまくいかないセッションがあると、フラストレーションがたまりますが、そういった状況での気持ちのコントロールについて、リカルド選手は成熟しているなと感じました。
セッションの直後にミーティングが設けられるのですが、2年前は理想のセッションにできなかった時にフラストレーションが溜まってしまい、ミーティングに入ってもマシンのフィードバックもうまくいかないことがありました。リカルド選手はどんな時もミーティングでフィードバックを細かくコンスタントに出せる。フラストレーションがあるのか分からないくらい平静で、気持ちのコントロールの面で成熟していると感じました。
――12月10日にはレッドブル・レーシングのマシンでテストを行いました。レッドブル・レーシングのマシンとRB(レーシングブルズ)のマシンの違いはどのようなものでしたか。
角田選手: 細かくは言えませんが、一番の違いは周回数を重ねた時のタイヤのデグラデーション(性能劣化)でした。要因はさまざまですが、レッドブルのマシンは、特に高速コーナーでのスリップ量が少ないです。高いGで長い時間滑ればタイヤへのダメージも大きくなります。それがコーナーごと、周回数ごとに積み重なっていって、タイヤが劣化していきます。レッドブルのマシンのほうがダウンフォースが大きく、スリップ量が少ないため、タイヤが長持ちして、安定して走りやすいと感じました。
──レッドブル・レーシングのクルーからは、どのような評価を受けたのでしょうか?
角田選手: 現場にいたエンジニアからもバックグラウンドのエンジニアからも、自分のフィードバックには感銘を受けたと聞いています。おそらく、レッドブル・レーシングは速さよりも、フィードバックの能力を注視すると思っていたので、いつも通りにできるかぎり細かく伝えるようにしました。
12月19日にはレットブル・レーシングに所属していたセルジオ・ペレス選手が離脱し、リアム・ローソン選手がレットブルに昇格することが公式に発表されました。残念ながら角田選手のレットブル昇格はなりませんでしたが、2025年シーズンはレーシング・ブルズからの参戦が決まっています。来年の角田選手の活躍に期待です!