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フォルクスワーゲンが「Tクロス」のマイナーチェンジを実施した。輸入SUVで3年連続登録台数No.1を獲得した実力の持ち主は、改良でどう変わったのか。輸入車デビューにも向いていそうな1台だが、誰にでもオススメできる仕上がりなのか。試乗でチェックした。

( Car )

フォルクスワーゲン「Tクロス」の改良型はオススメできる? 試乗で確認

OCT. 16, 2024 08:00 Updated DEC. 24, 2024 17:15
Text : 御堀直嗣
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フォルクスワーゲンで最も小さなSUV「Tクロス」のマイナーチェンジモデルが発売となった。輸入SUVで3年連続登録台数No.1を獲得した実力の持ち主は、改良でどう変わったのか。輸入車デビューにも向いていそうな1台だが、誰にでもオススメできる仕上がりなのか。試乗でチェックした。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」

    フォルクスワーゲン「Tクロス」がマイナーチェンジ!

内外装はどう変わった?

フォルクスワーゲン(VW)が日本で販売しているSUVは小さい方から順に「T-Cross」「T-Roc」「ティグアン」の3車種。Tクロスは乗用ハッチバック車で言えば「ポロ」に相当する位置づけで、VWの中でも身近な車種として親しまれている。現行モデルは2020年1月に日本で発売となり、3年連続で輸入SUV登録台数No.1を獲得。顧客の半数が女性という珍しい車種でもある。

今回の改良(マイナーチェンジ)における注目点のひとつは外観だ。ライトやバンパーの造形が変わり、ヘッドライトがLEDになった。顔つきは水平基調が強まり、より幅広く精悍に見えるようになっている。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • 左がマイナーチェンジ後、右がマイナーチェンジ前

後ろ姿も独特だ。「X」字型に光るテールランプの意匠により、一目で新しいTクロスだとわかる。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」

    後ろ姿も独特

ボディカラーには黄(グレープイエロー)、青(クリアブルーメタリック)、赤(キングズレッドメタリック)の3色を追加。普遍的な白、黒、グレーを含む全8色から選ぶことができる。マイナーチェンジモデルの訴求色はグレープイエローだ。

インテリアではダッシュボードにステッチの装飾を施した柔らかな素材を採用。室内の雰囲気はより明るくなり、それによって身近でくつろいだ空間となった。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • ダッシュパッド(助手席の目の前の部分)にソフト素材を使って質感を向上させた

メーターはデジタルディスプレイで見やすい。「セーフティパッケージ」というオプションを選んだ場合、サイズは10.2インチとなり、メーター内にナビゲーションの地図情報を表示させられる。運転席と助手席にシートヒーターが採用されたことで、冬場の居心地がいっそうよくなった。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • 見やすいデジタルメーター

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • スマートフォンのワイヤレスチャージやBeatsサウンドシステムなどは「Tクロス」初の設定となる

走りはどう変わった?

グレードの選択肢は3つある。最も廉価な「TSI Active」(329.9万円)、装備の充実した「TSI Style」(359.9万円)、走りを重視した「TSI R-Line」(389.5万円)だ。今回は価格と装備の調和がとれた「TSI Style」に試乗した。

ボディサイズは全長4,115mm/全幅1,760mm/全高1,580mm。ポロより若干大柄だが、ほぼ同等と言える。車幅が5ナンバー枠の1.7mを超え3ナンバー車にはなるが、超過するのはわずか6cmで、運転感覚は5ナンバー車に近い扱いやすさがある。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • 「Tクロス」は運転しやすいSUVだ

実際にハンドルを握ってみても緊張感はない。自分のクルマとしてすぐになじむのを実感できるはずだ。

ガソリンエンジンは排気量が999cc(ほぼ1リッター)の直列3気筒。ターボチャージャーによる過給により最高出力は116馬力となる。これに7速DSGという変速機を組み合わせる。

DSGとはマニュアル式の変速機にクラッチを2つ取り付け、奇数段と偶数段を交互に自動で切り替えていく変速方式だ。伝達効率が高く変速は滑らかでありながら、2ペダル(アクセルとブレーキ、クラッチ操作なし)で運転できる。つまり、オートマチック限定免許の人も運転可能だ。伝達効率が高いので燃費がよく、排気量の小さなエンジンでも快適な加速を得られるのが特徴でもある。

車両重量が1,260kgのTクロスはポロより100kgほど重くなるが、SUVとしては軽い部類であり、1.0リッターのターボエンジンによって軽やかに動き出す。そこからの加速も滑らかだが、ターボチャージャーの過給が効果を出すまでは、やや力不足に感じるかもしれない。そんなときは、遠慮なくアクセルペダルをもっと踏み込むといい。過給が働きだせば、伸びやかに速度を上げていく。

かつてに比べ乗り心地がしなやかになり、快適になったというのが第一印象だ。乗用車としての成熟が感じられる。その上で、的確で機敏な動きは以前と変わらず、爽快な走りを味わえるのが嬉しい。車体が大きすぎず、手の内感覚のある走り味が喜びをより高めてくれる。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」

    乗り心地がしなやかになり、快適になった

VWの「ゴルフ」は長年にわたり、世界の小型車の規範といわれてきた。その質のよさをTクロスでも体感できた。

Tクロスはオススメできるクルマ?

高速道路では運転支援システム(前車追従のいわゆる半自動運転。VWは「トラベル・アシスト」と呼称)を試した。起動スイッチを入れるとACC(前車速追従機能付きクルーズコントロール)とレーンキープアシストが同時に作動し始める。あとは速度を設定すれば、速度調整と車線維持をクルマが主導してくれる。ハンドルは運転者が保持する必要があるが、長距離移動するときにこれほど楽な装備はない。しかも、それぞれの機能は完成度が高く、安心感も高い。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • 「トラベル・アシスト」はハンドル左側のボタンを押して起動する

高速道路が苦手という人は、緊張のあまりハンドル操作を力み過ぎ、車線内をまっすぐ走ることに苦労する場合がある。そこを、クルマが速度調整と合わせて車線維持を主導してくれるのだから、高速移動にも自信を持てるようになるだろう。

機能の正確さや的確さは、ドイツ車全般の優れたところでもある。それをVWでは、入門車種的なTクロスでも利用できるのだからすばらしい。

新しいTクロスは走行中の静粛性に優れ、Beatsサウンドシステムの味わいも深まる。

後席や荷室の広さに十分なゆとりがあり、実用の面でも使い勝手がいいだろう。ただ、試乗車は注文装備の偏平タイヤが装着されていたためか、後席の乗り心地が前席に比べやや硬く、跳ねる印象があった。標準タイヤのほうが、あらゆる面で調和のとれた快適さが得られるのではないか。

  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • フォルクスワーゲン「Tクロス」
  • 荷室容量は455L~1,281L

改良による値上げを極力抑えながら、所有する満足度を上げた新しいTクロスは、老若男女、あらゆる人にオススメできるVWの基本車種と言える。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。