ランボルギーニやフェラーリなど、高性能で価格もとびぬけているクルマのことを「スーパーカー」と呼んだりするが、上には上があるもので、この世界には「ハイパーカー」と称されるクルマが存在する。どんなクルマなのか、ケーニグセグやパガーニの珍しいモデルを実際に確認してきた。
アポロ「インテンサ・エモツィオーネ」
7月28日に東京・お台場で開催されたコレクターズカーのオークション「BINGOオークション」では、通常の希少モデルだけでなく「ハイパーカー」と呼ばれるクルマも見ることができた。普段はお目にかかれないモンスターたちだが、今回は「プライベートセール」ということ特別に展示されていたようだ。せっかくの機会なので、どんなクルマなのかじっくりと観察してきた。
まずは、アポロ・オートモーティブ(かつての独グンペルト)の「Apollo Intensa Emozione」(アポロ インテンサ・エモツィオーネ)だ。
車名の「インテンサ・エモツィオーネ」は、スペイン語で「激しい感情」を意味する。エアロダイナミクスを追求したアグレッシブなボディのミッドに搭載するのは、フェラーリ製の自然吸気6.3L V型12気筒エンジン。動力性能は最高出力780PS、最大トルク2,000Nmとなっている。エンジンに火を入れて音を聴かせてもらったが、サウンドはあの甲高いフェラーリ音そのものだった。
エクステリアは「サムライブルー」に塗られたフルカーボン製。インテリアはブルー基調で、F1カーのようなホワイトのステアリングや「apollo」のロゴ入り5点式シートベルトを備えたバケットシートなど、サーキット走行を前提とした仕様になっている。売り出し価格は2.9億円だったが、現在は4億円前後といわれている。
ケーニグセグ「レゲーラ」
スウェーデンの自動車メーカーであるケーニグセグの「Koenigsegg Regera」(ケーニグセグ レゲーラ)は、5.0LのV8ツインターボエンジン(1,100PS)に3基の電気モーター(700PS)を組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。
システム最高出力は驚きの1,500PS。まさに、ハイパーカーの中のハイパーカーだ。コックピットのスピードメーターは450km/hまで刻まれている。生産台数は世界限定80台。展示車両は2022年生産で日本に入ってきた4台のうちの1台だ。レッドカーボンのボディや、カーボンホイールにゴールドレリーフを施したカラーリングで、こちらも4億円~5億円といわれている。
ケーニグセグ「アゲーラRSR」
ケーニグセグのもう1台は、2016年製の「Koenigsegg Aggera RSR」(ケーニグセグ アゲーラRSR)。同社のハイパーカー「アゲーラ」をベースとして25台が限定生産された「RS」に、専用エアロパーツやインテリアを採用し、「One:1」の特徴をも備えるという世界でたった3台のモデルだ。
搭載するパワートレインは5.0LのV8ツインターボエンジンで、最高出力1,160PS、最大トルク1,280Nmを発生する。3台とも日本で販売されており、この個体もそのうちの1台。ワンオーナーカーだという。当時の売り出し価格は2.8億円。現在は2~3億円の価格が見込まれる。
パガーニ「ゾンダ F クラブスポーツ」
パガーニ・アウトモビリの「Pagani Zonda F Clubsport」(パガーニ ゾンダF クラブスポーツ)は、世界限定25台うち24番目に製造された2008年製。日本に輸入された第1号車とのことだ。
ゾンダFが搭載するメルセデスAMG製の7.3L V12エンジンに、スポーツエギゾーストなどを装着してパワーアップしたのがFクラブスポーツだ。当時のニュルブルクリンクで市販車最速タイムを記録したことが話題となった。クリーム色のボディにレッドの美しい内装を持ち、400km/h以上を目盛るスピードメーターや独特の形状の3ペダルが目を引く。価格は1億円以上だが「かなり幅がありそう」(BINGOスタッフ談)とのこと。
このほかではマクラーレン「P1」や1987年のフェラーリ「テスタロッサ ケーニッヒ スペシャルズ」などの希少モデルを見ることができた。どれも、ハイパーカーらしい独特の存在感を醸し出していた。