BMWの新型「5シリーズツーリング」が日本に上陸した。デザインは昔のBMWが戻ってきたような感じ? ステーションワゴンで気になるラゲッジスペースの大きさは? 「ノイエクラッセX」発売の噂も出る中、このクルマを今すぐ買うべきなのか……。実車を確認してきた。
5シリーズツーリングは6世代目
5シリーズツーリングは1988年発売のE34型5シリーズセダンのステーションワゴン版として1991年に登場。今回の新型は、5シリーズセダンとしては8代目となるG60型のワゴン版だ。型式はG61型、5シリーズツーリングの世代としては6代目となる。
ボディは全長5,060mm、全幅1,900mm、全高1,515mm(一部モデルは1,505mm)、ホイールベースは2,995mm。直接のライバルなるメルセデス・ベンツ「Eクラス」のステーションワゴンよりも全ての項目でわずかにサイズが大きい。
エクステリアはセダン同様、フロントが突き出たシャークノーズ形状を持つ長いボンネットが特徴。ブラックで横長の大きなキドニーグリルは、光ファイバーを使用して停車時や走行中でも輪郭が光るアイコニック・グローライティング仕様になっている。
インテリアもセダン同様で、12.3インチのインフォメーションディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイを組み合わせた「BMWカーブドディスプレイ」がドライバーの眼前に広がる。車載ゲームができたりビデオストリーミングの視聴ができたりするので、電動モデルの充電中も待ち時間を楽しく過ごせるだろう。
ルーフ全体に広がる広大な開口部を持つパノラマ・ガラス・サンルーフ(ブラインド付き、セレクトパッケージで設定可能)は、5シリーズツーリングの初期モデルから採用されている(E34ツーリングはWサンルーフで後席上方まで開口部があった)お約束の装備だ。
ツーリングの特徴となるラゲッジスペースは高さ415mm、奥行き1,080mm、最低横幅1,147mm。容量は570Lだ。分割可倒(40:20:40)のリアシートを倒せば1,700Lという広大なスペースが出現する。大きなハッチ全体を上げなくてもラゲッジの荷物が取り出せるリアガラスハッチは今回、採用が見送られた。
エンジンは4気筒のみ、電気自動車(EV)も用意
パワートレインはICE(エンジン車)とEVがある。
ICEは145kW(197PS)/400Nmを発生する2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載する「523dツーリングxDrive エクスクルーシブ」(890万円)と同「Mスポーツ」(960万円)の2種類。どちらも4輪駆動で0-100km/h加速は7.5秒だ。
EVは250kW(340PS)/400Nmのモーターをリアアクスルに搭載して後輪を駆動する「i5ツーリング eDrive40エクセレンス」(1,040万円)と同「Mスポーツ」(1,040万円)に加え、フロントに261PS、リアに340PSのモーターを搭載し、システム最大出力442kW(601PS)、システム最大トルク795Nmを発生する4WDの高性能版Mモデル「i5ツーリング M60 xDrive」(1,600万円)も選べる。ノーマル版の0-100km/h加速は6.1秒、高性能版は同3.9秒(最高速度はリミッター作動で230km/h)となっている。
EVのMモデルは、車速に応じてステアリングのアシスト量や前後ホイールの切れ角を制御する「インテグレイテッド・アクティブステアリング」を装備。インテリアにはその走りを支えるスポーツシートが奢られる。
EVのバッテリー容量は全タイプ共通で83.9kWh。航続距離(WLTPモード)は445km~560kmだ。
運転支援システムは充実
運転支援システムはセダン同様に充実している。
「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」は、一定条件下の高速道路で手放し運転が可能となるシステム。BMWが他に先駆けて導入したものだ。
「パーキングサポートプロフェッショナル」は、ドライバーの手を煩わせることなく自動駐車が可能になるというもの。駐車位置まで最大で200mまで近づくと、あとはクルマ任せで駐車してくれる。同機能を使うには駐車場の登録が必要。最大10カ所まで登録できて、記憶する距離の合計は600mまでとなる。
他にも全方向に対応する「BMWドライブレコーダー」などが備わっている。
小澤征悦さんはオリジナルソングを披露
特別イベントにはプロモーションムービーに登場する俳優の小澤征悦さんと、Esquire Digital編集長の小川和繁さんが登場。会場となった「FREUDE by BMW」のコンセプトである「人生に、駆けぬける歓びを」にまつわるテーマで対談を行った。
1週間ほどこのツーリングを借りでドライブしたという小沢さんは、自らの俳優人生やドライブ中の過ごし方、聴きたい音楽、行きたい場所などについて語った後、リアラゲッジからマイギターを取り出し、ツーリングをイメージして作詞、作曲したオリジナルソング「渚のランデブー」を披露。また、特別企画として、小澤さんが試乗時に感じたクルマの印象と、「夏に合う」とイメージするものをベースにしたコラボドリンク「爽快なカルピス・ミント」を紹介した。
昔のカッコよさが戻ってきた?
会場に展示された新型5シリーズツーリングを眺めていると、全体のデザインは現行「7シリーズ」やSUVの各シリーズに比べてもそこまでアグレッシブになっておらず、昔のカッコよかったBMWが戻ってきたように感じた。ちなみに筆者は、E34の525iツーリングをかつて所有していたことがある。
そして、昨年登場したコンセプトセダン「ビジョン ノイエクラッセ」や、先ごろ公開されたSUV版の「ビジョン ノイエクラッセX」は、もっとシンプルで美しいデザインを採用しているではないか。2025年ごろからその市販バージョンが出るという噂があるだけに、今すぐに5シリーズツーリングを手に入れるのか(デザインが気に入っているなら躊躇なくどうぞ)、もう少し待ってノイエクラッセXを手に入れるのか、ちょっと悩ましいタイミングかもしれない。ステーションワゴンのある生活は、優雅で素敵なものであるのは間違いないのだが……。