今年2012年4月に発表された米Facebookによる写真共有サービス「Instagram」の10億ドルでの買収だが、実はこの数週間ほど前の3月、Instagram CEOのKevin Systrom氏が"口頭"でTwitterへの5億2500万ドルでの売却で合意していたという。現在、InstagramはTwitterへの接続を遮断し、TwitterはInstagram対抗サービスを提供するライバル関係にあるが、両社の間に何があったのだろうか?
同件は12月16日(現地時間)にNew York Timesが匿名の情報として伝えたもので、Reutersなどの報道でも確認できる。それによれば、Facebookの買収発表に先立つ3月ごろにInstagram CEOのSystrom氏とTwitterエグゼクティブらが接触しており、上記のような5億2500万ドルでの売却に合意するような約束が交わされたという。だがこの約束は果たされることなく正式合意が延期され、そのままFacebookによる買収合意につながったようだ。Facebookによる買収提案額は前述のように10億ドルとTwitterの提案額より高かったが、今年5月の株式公開(IPO)でFacebook株が急落したことを受け、最終的に買収が完了した9月のタイミングにおけるInstagramの買収総額は7億1500万ドルまで目減りしていたという。
なお、多くのユーザーがすでに知っているように、現在Twitterのタイムライン(TL)上にInstagramで共有した写真は表示されず、別途Instagramサービスを参照する必要がある。これはInstagramがTwitterからの接続を遮断したことによるものだという。一方でTwitterはInstagram対抗となる写真へのフィルタ機能をTwitterアプリに搭載するなど、対抗サービスの整備を進めている。Facebookが買収を完了させたことにより、InstagramとTwitterは完全に相対するライバル関係となっている。興味深いのは、今回の件に関してFacebookが米証券取引委員会(SEC)に対してTwitterによるInstagram買収提案に触れていない点で、New York TimesによればSystrom氏自身も米カリフォルニア州の関連機関への説明で「Facebook以外の"正式"な買収提案は行われていない」と答えているという。つまり、買収提案そのものが正式に書類の交わされた踏み込んだものではない可能性がある。
(記事提供: AndroWire編集部)