台湾Digitimesによれば、台湾Foxconn Electronics (Hon Hai Precision Industry)は米国での製造拠点建設を計画しており、ロサンゼルスやデトロイトといった都市との折衝を持っているという。生産ターゲットとなるのは液晶TVであり、中国全土で展開しているいわゆる汎用のEMS (Electronics Manufacturing Services)事業とは形態が異なるようだ。
Digitimesが関係者の話として伝えるのは、単価が低く製造コスト低減が至上命題となるスマートフォンやPCといった小型の電子機器と比較して、比較的単価が高めに設定される液晶TVがFoxconnの米国工場の生産ターゲットになるという。工場自体も高度に自動化され、比較的組み立て行程がシンプルな形態になるようだ。液晶TVについては大型パネル調達と経営参画と巡ってHon Haiとシャープの間で交渉が難航しているが、調達したパネルや部品を米国の製造拠点に集め、現地製造でそのまま北米の巨大市場に製品を卸すという地産地消モデルを採用するものと思われる。現在米国では製造業の国内回帰を目指してメーカー各社と政府の間で激しい応酬が続いているが、こうした政府側の不満を一部解消するものになるだろう。
またDigitimesによれば、最近開催された公共イベントの中でHon Hai会長のTerry Guo氏が、米国のエンジニアを台湾や中国の製品デザインや製造現場へと派遣して、現地トレーニングを行う計画であることを明かしたという。技術トレーニングとともに中国語習得の場とも考えているようで、これがエンジニアが帰国した後も、製造プロセスの中で現地との交渉で役に立つことになるという。この一環として、すでに米マサチューセッツ工科大学(MIT)との交渉を開始したとのことだ。