21日より全世界で販売がスタートしたiPhone 5だが、Appleの販売パートナーらからは需要を満たすだけの十分な商品供給が行われていないことに不満の声が挙がっているという。米国内でわずか数台の初期入荷という店舗もあり、追加入荷の見通しもわからず、話題の商品を重要な商戦期に確保できないもどかしさが感じられる。
同件を報じているのはWall Street Journalだ。発売3日間での全世界での販売台数が500万台を突破したことが伝えられたiPhone 5だが、リテールとオンラインを含むApple Storeで潤沢に商品が提供される一方で、販売パートナーである家電量販店などには十分な商品が出回っておらず、初期の予約台数さえ確保できない状態が続いているという。例えば家電量販店大手の米Best Buyでは、店舗の多くで40台以上が配布されているものの、中には10台程度しか受け取れなかった店舗もあり、初期の予約時点で捌き切れていない状態だという。この台数では米国内でネットワーク別に2種類ある製品と本体色、ストレージ容量のコンビネーションにはまるで対応できないためだ。また入荷見通しも1ヶ月以上先のケースがあるなど、非常に厳しい状態が続いている。一方でApple Retail Storeには、21日発売翌日の22日にも断続的に商品の入荷があったようで、希望客に比較的潤沢に商品が供給されているようだ。
同様のケースはRadio ShackやTargetなどでも報告されており、特に後者は30台の事前予約に対してわずか8台というケースもあり、数千台単位で店舗ごとに商品が提供されているApple Retail Storeとは対照的だ。
Sterne AgeeのアナリストShaw Wu氏によれば、AppleのiPhone日産台数は55万~60万程度で、これが今年いっぱい続くという。このうち3分の1が米国向けで、同氏はそのうちの6割が販売パートナー向け、残りがApple Store向けのものになると見込まれるという。だが6月時点での全米のApple Retail Storeが249店舗なのに対し、パートナーの店舗数は数千単位で存在するため、前述の供給比率を考えればApple Storeでは潤沢に在庫が存在する一方で、パートナー個々の店舗には数台ないし十数台程度しか出回らないことになる。この現象は携帯キャリアのストアでも発生しており、必要な商品を必要なタイミングで確保できない状況に、Apple周辺のパートナーは不満を述べている。