インプレスR&Dのシンクタンク部門であるインターネットメディア総合研究所は7月3日、電子書籍ビジネスに関する調査結果の概要を発表した。同調査の詳細は「電子書籍ビジネス調査報告書2012」として販売される予定で、すでに予約を開始している。

発表内容によると、日本国内における2011年度の電子書籍市場規模は推計629億円で、2010年度と比較すると3.2%縮小する見込み。フィーチャーフォンからスマートフォンへのデジタルコンテンツの移行が順調に進んでいないことが市場縮小の主な原因で、ケータイ向け電子書籍市場の落ち込みが響いた。

電子書籍市場規模の推移

ケータイ向け電子書籍市場の2011年度予測は480億円で、依然として市場の中心ではあるものの、フィーチャーフォンユーザーと広告出稿の減少などにより、前年度比84%減となっている。

なお、同調査ではスマートフォンやタブレット端末を対象とした市場を「新たなプラットフォーム向け電子書籍市場」と分類しており、PCやスマートフォンなどマルチデバイスに対応した電子書籍配信サービスに加え、PSPやNintendo DSといったゲーム機向けの電子書籍配信サービスなども同カテゴリに含まれる。

新たなプラットフォーム向け電子書籍市場の2011年度予測は112億円で、昨年度の24億円から363%増と急激に拡大している。しかし、海外事業者の参入が遅かったことや、電子ブックリーダーの普及率が伸びないこと、提供コンテンツが十分に揃っていないことなどから、ケータイ向け市場の落ち込みを補完できないという。

また、2012年度以降については、ケータイ向け市場の減少傾向は続くものの、新たなプラットフォーム向け市場の急激な拡大により、2016年度には電子書籍市場が2000億円程度に成長すると予測している。

新たなプラットフォーム向け電子書籍市場ではコンテンツの拡充に時間を要するが、Amazon.comをはじめとする海外事業者の参入や楽天の電子書籍リーダー「kobo Touch」の発売などをきっかけとして、今後2~3年で環境整備が進み、2013年度以降に本格的な拡大期に入ると同社では予想している。

調査の詳細がまとめられた「電子書籍ビジネス調査報告書2012」は全260ページで、PDFデータが収録されたCDが6万900円、CDと冊子のセットは7万1400円となっている。発売は7月26日を予定。