日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 橋本孝之氏

日本アイ・ビー・エムは4月12日、ハードウェアとソフトウェアを最適な形で構成したコンピューティング・システム「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表した。同システムの初めての製品として、「IBM PureSystems」が5月より販売される。 

代表取締役社長の橋本孝之氏は、「『エキスパート・インテグレーテッド・システム』はITの根本的なあり方を変えるシステムであり、これまでにはなかった新たな分野のコンピューティングシステム。このシステムが発売された今日という日は『ITの歴史的な転換点』と言える」と、エキスパート・インテグレーテッド・システムが同社にとどまらず、IT業界全体に大きな影響を与える画期的な製品であることをアピールした。

さらに橋本氏は、同システムがメインフレームの「柔軟性」、アプライアンスの「使いやすさ」、クラウドの「俊敏性」をすべて兼ね備えた製品だとして、「昨年に100周年を迎えた同社の次の100年の行方を占う新たなITのカテゴリー」と、同システムに対する大きな期待を示した。

日本アイ・ビー・エム 専務執行役員 システム製品事業担当 薮下真平氏

専務執行役員 システム製品事業担当の薮下真平氏は、エキスパート・インテグレーテッド・システムが、「インフラの構築やアプリケーションの導入に多くの時間と人手がかかっている現状のシステム基盤構築・管理における課題を抜本的に解決する製品」と説明した。

IBM PureSystemsの特徴として、「専門家の知見がパターン化されている点」「業界標準に基づくオープンな環境と統合管理を実装する設計」「設計段階からITを構成するコンポーネントがすべて最適化して統合されている点」の3点が挙げられた。

IBM PureSystemsは、同社がグローバルで蓄積してきたインフラやアプリケーションの構築・運用に関する知識・技術・経験といった知見をベースに最適なハードウェアとソフトウェアの構成を定義した「パターン」をもとに、資源を構築する。

藪下氏によると、IBM PureSystemsを導入すると、仮想化環境を構築する場合、これまでは機器の設置に7日、仮想化環境の構成に30日から45日かかっていたところ、電源を入れてから仮想化されたサーバ/ストレージ/ネットワーク環境のセットアップが完了するまで4時間しかかからないという。

日本アイ・ビー・エム 常務執行役員 ソフトウエア製品事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏

IBM PureSystemsの特徴の1つであるパターンの詳細については、常務執行役員 ソフトウエア製品事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏から説明が行われた。

パターンには、サーバ群のトポロジー、コンポーネントとリンク、各サーバのパラメータ、モニタリング、ポリシー(JVM、スケーリング、ルーティング、ログ)、セキュリティといった情報が含まれる。

パターンを利用する方法として、「システム全体を対象としたIBMのパターン」「パートナーが作成したアプリケーション・パターン」「ユーザーが作成したパターン」の3つがある。

ヴィヴェック氏は、「他社もハードウェアとソフトウェアを統合して提供しているが、当社がこれまで培ってきたノウハウをパターンとして提供している点、パートナー企業もパターンを作成できるなど、オープンである点はユニーク」と、競合に対するアドバンテージを示した。

認定パートナーのコミュニティ・サイトとして「IBM PureSystems Centre」があり、このサイトから100を超えるISVパートナーのアプリケーション・パターンをダウンロードすることが可能だという。

IBM PureSystemsとして、5月21日にはサーバ/ストレージ/ネットワーク/仮想化・管理機能を最適に統合したインフラストラクチャ・システム「IBM PureFlexSystem」が、さらにミドルウェアを統合したプラットフォーム・システム「IBM PureApplication System」が8月1日から出荷が開始される。

IBM PureFlexSystemは「Express」「Standard」「Enterprise」の3モデル、IBM PureApplication Systemは「W1500-96」「W1500-192」「W1500-384」「W1500-608」の4モデルから構成される。価格は2,350万円からとなっている(税抜)。

IBM PureFlexSystem

IBM PureFlexSystemの構成

IBM PureApplication Systemの構成

同社はプライベートクラウドの構築に必要なハードウェア/ソフトウェア/サービスを統合した製品「CloudBurst」を提供しているが、今後は「IBM PureSystems」の販売を推進していくという。