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購読者減少と広告収入減に悩まされる昨今の新聞業界だが、新しいアイデアでこうした事態の打開を目指すメディアが出現しつつある。米東海岸のフィラデルフィアを拠点とする米Philadelphia Media Networkは7月11日(現地時間)、傘下の新聞サービスを契約した読者に対し、Androidタブレットを安価に販売するサービスを8月にもスタートする計画だと発表した。タブレットにはニュース購読用のアプリがプリインストールされており、こうした新聞コンテンツの購読が可能な以外に、普通のタブレットとしての使い方も可能だ。
Philadelphia Media Networkは、傘下にPhiladelphia Inquirer、Philadelphia Daily News、そしてPhilly.comといった媒体を抱えるフィラデルフィアの地元メディア企業。昨年2010年9月に連邦破産法第11章(Chapter 11)を申請して倒産したPhiladelphia Media Holdingsの資産を受け継ぎ、ヘッジファンドや債権者らが中心となって運営する経営体である。傘下のPhilly.comやAssociated Press (AP通信)が11日に報じたところによれば、同社は8月にもパイロットプログラムとして前述のような新聞購読とタブレット販売のバンドルサービスを開始し、当初は2000台、そして年内には本格展開という形で一般購読者を対象にした販売をスタートするという。Androidタブレットには前述2つの新聞を購読するためのアプリのほか、Philadelphia Inquirerの追加コンテンツ、Philly.comのリーダーアプリの計4つのアプリが導入されており、InquirerまたはDaily Newsのいずれかの購読者であれば、タブレットを通じてこれらコンテンツへのアクセスが可能だ。Philadelphia Media Network CEOのGreg Osberg氏は「もし読者と広告主の双方に公表であれば、よりコンテンツの本格展開を開始したい」と意気込みを語っている。
狙いは明確だ。もしタブレットがほしいユーザーであれば、新聞の定期購読を引き替えに安価にそれらを入手できる。新聞社はタブレットを釣り餌にユーザーを獲得できるほか、コンテンツ利用を前提としたタブレット展開によりメディア拡大や新たな収益チャンスが生まれる。日本でも、洗剤やチケットなど"オマケ"を餌に新聞を勧誘するケースは多いが、これをより高度にしたものだといえるかもしれない。