シティ・オブ・ウェストミンスターの治安判事裁判所の判事は12月14日(現地時間)、スウェーデン当局が発行した逮捕状に基づき逮捕していたWikiLeaksの共同設立者、Julian Assange氏の保釈を認める決定を下した。7日の逮捕以来、Assange氏支援ムードが一部で高まっていたが、米国の映画監督Michael Moore氏も保釈金提供を申し出た。Moore氏は「WikiLeaksを存続させるためできることはなんでもする」とサポートレターを公開している。

スウェーデン検察は、婦女暴行など4件の容疑でAssange氏に逮捕状を発行していた。滞在中の英ロンドンで出頭逮捕となったAssange氏は当初、英国に住所を持たず、関係が浅いことなどを理由に保釈を拒否された。14日、裁判官は前回の判断を覆し、保釈を認めた。

当局が下した保釈の条件は、居場所追跡のための電子タグの装着に加え、午後10時から午前2時まで外出禁止、毎日午後6時から午後8時の間に警察に出頭、など。パスポートは取り上げとなる。Assange氏の身元引き受けは、独立ジャーナリズムのための「The Frontline Club」を設立したジャーナリストのVaughan Smith氏。保釈金は合計24万ポンド(約3,170万円)。

しかし、スウェーデン検察がこの決定を不服としたため、Assange氏の身柄はまだ拘束状態にある。2日以内に裁判所が改めて保釈の是非を決定することになっている。スウェーデン側は身柄引き渡しを求めており、送還については2011年1月11日に審理されることになっている。

WikiLeaksの設立は2007年。2010年7月にアフガン紛争に関連した米軍機密文書を公開以来、政府からの圧力が表面化している。Sara Palin氏など米政府関係者の中には、Assange氏への非難を公言している人が複数いる。なお、強姦容疑については、「同意しているが保護(避妊対策)のないセックスについての議論」とAssange氏の弁護士は述べている。

Assange氏逮捕前に、Amazon、PayPal、Visa、MastarCardらがWikiLeaksへのサービスを停止したことから、「インターネットの集まり」と名乗るAnoymousがこれらのWebサイトにDDoS攻撃を加えたことも話題となった。

今回、前回も保釈金を申し出たソーシャライトのJemima Khan氏らに加え、『Sicko』などの映画で知られるMoore氏も2万ポンドの保釈金を申し出た。Moore氏は自身のWebサイトにて、「オープンさと透明性は、権力と堕落から自分たちを守るために一般市民が持つ武器のひとつだ」とし、WikiLeaksが1964年に存在していれば、ベトナム戦争で5万8,000人の米兵と200万人のベトナム人の命を救えた、と記す。Assange氏のレイプ容疑に対しては、「政府がいったん捕まえると決めたら、どのように動くか知らないほど無知ではないだろう」とし、「表向きの話を信じないでくれ」として、WikiLeaksを一緒にサポートするよう呼びかけている。

Julian Assange氏への支援をよびかけるMichael Moore氏のWebサイト