ジャストシステムは7日、同社の日本語ワープロソフト「一太郎」や日本語入力システム「ATOK」など2011年版新製品を発表した。

製品は、「一太郎2011 創」(価格21,000円)のほか、プレミアム版(価格26,250円)やスーパープレミアム版(価格34,650円)、USBメモリから起動する「一太郎ポータブル with oreplug」(価格12,768円)、「花子2011」(価格10,290円)を2011年2月10日より発売。ATOKは「ATOK 2011 for Windows [ベーシック]」(価格8,400円)、「ATOK 2011 for Windows [プレミアム]」(価格12,600円)を同じく2月10日より。対応OSは、いずれもWindows XP(SP3) / Vista(SP1) / 7(32/64ビット)。

ジャストシステム福良伴昭代表取締役社長

都内で行われた製品発表会において、同社福良伴昭代表取締役社長は「今年で一太郎は25周年目を迎え、2011年バージョンについては相当な意気込みを持って取り組んできた。一太郎第二章の幕開けを飾るにふさわしい」と挨拶。新生・一太郎では、製品名を「一太郎2011 創(そう)」と命名しており、"これまで蓄積した価値を大切にしながら新たな価値を創出し、文章を創造する"という意味をこめて"創"の文字が付けられている。また、パッケージデザインにはNHK大河ドラマ「龍馬伝」の題字をはじめ、様々な作品を持つ書家・紫舟氏のカリグラフィーがデザインされている。なお、同社では発売を記念したスペシャルサイト「一太郎2011 創 スペシャルサイト」を公開している。

「一太郎2011 創」

「一太郎2011 創」

「一太郎2011 創」は"書斎机"をイメージした暖かみのある木目調デザインが採用されており、書斎で文章を創造するというイメージが全面に押し出されたユーザーインタフェースを持つ。編集領域は中央に配置されており、両わきには「ツールパレット」、「ジャンプパレット」を新搭載。ツールパレットには編集で必要となる機能がまとめられており、文字飾り、調整、挿入、スタイルセット、段落スタイル、文書編集、罫線セル属性などがセットされている。これらの中で、常時表示させておきたいものを複数開いておくと、複数機能をスクロールバーで縦断できるなど操作性の高いツール。「ジャンプパレット」では、複数文書や長文文書など該当箇所をすぐに"行き来"できる機能が集約されており、サムネイル上にマウスカーソルを置くとポップアップでプレビュー表示するなど、効率的な編集ができる。

「一太郎2011 創」起動画面。

Webや外部機器などとの連携に、一太郎ソーシャルプラグインシステム"ソプラ"が新搭載されている。ソプラは、一太郎に直接外部から必要な情報を取り込むプラグインとして動作し、ツイートの表示や投稿から取り込みまでも可能な「ソプラTwitter」、ポメラで作成した文書をワンクリックで取り込める「ソプラ ポメラツール」、検索したい語を直接入力して辞書引き「ソプラ辞書引きツール」が搭載されている。2011年4月には「Flickr」、同6月には「Evernote」と連携したソプラが公開される予定。

「ソプラTwitter」

一太郎上でツイートを制御

「ソプラ辞書引きツール」

図は大辞林から辞書引き

「ソプラ ポメラツール」。ポメラのデータをワンクリックで取り込める

「一太郎2011 創 プレミアム」

上位版となる「一太郎2011 創 プレミアム」には、音声読み上げソフト「詠太」を搭載。社内の報告書を音声で聞いたり、自分が作成した文書を読ませることで不自然な表現や間違いを発見するなど校正的な利用を含む、様々な使い方が考えられる。音声合成エンジンには、HOYAサービスの「VoiceText」が採用されており、女性2人/男性1人の話者音声が収録されており、自然な音声で"文字"を話してくれる。

また、モリサワフォント「新ゴ for 一太郎」「リュウミン for 一太郎」をそれぞれ3書体ずつ収録するほか、国語・百科事典「大辞林」(三省堂)、敬語のお辞典 for ATOK、ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK、同日発売となる統合グラフィックソフト「花子2011」、「JUST PDF2[作成・編集]」も搭載する。

「一太郎 創」を読み上げる「詠太」

InternetExplorer上の文字も読み上げる

同社のメールソフトShurike 2010[音声読み上げ対応版]での画面

「一太郎2011 創 スーパープレミアム」

どこでも起動「一太郎ポータブル with oreplug」

最上位版となる「一太郎2011 創 スーパープレミアム」では、これらの機能に加えて、USBメモリ起動でどこからでも一太郎を利用できるガジェット「一太郎ポータブル with oreplug」が収録。作成した文書も同ガジェット内で保存できるなど、USB接続可能なPCであれば、どこでも同ソフトを使える環境を構築できる。「一太郎ポータブル with oreplug」には、「一太郎 Portable」「ATOK oreplug Limited」「Shuriken Portable」、テキストメモを書いてストックできるメモエディター「Ore Note」、さらにブラウザとして「Firefox Portable」も収録される。USBメモリ内のデータはパスワードロックと暗号化によりセキュアに保護されるほか、オンラインバックアップサービス「iDisk Backup」を利用することも可能になる(90日間無償)。

「一太郎ポータブル with oreplug」のメニュー画面

メモを持ち歩く「Ore Note」

「ATOK 2011」

「ATOK 2011 for Windows [ベーシック]」

「ATOK 2011 for Windows [プレミアム]」

日本語入力システム「ATOK」の最新版となる「ATOK 2011」には、変換エンジン「ATOK ハイブリッドコア」にスマートモードチェンジ機能を搭載。入力中の言葉の傾向を読み取り「人名優先」「話し言葉関西」など適切なモードへと自動変換できる。たとえば、人名入力が続く場合に従来バージョンでは"中の"と変換されるが、新バージョンでは"中野"と、変換候補に期待する文体をATOKが自動変換してくれる。

スマートモードチェンジ機能

過去に正しく入力・変換した単語の履歴から入力ミスを補正する"入力支援機能"も搭載しており、タイプミスでも補正した変換候補を表示するなど、個々のユーザーのクセを見抜いた自動補正を行う。推測変換をユーザーが個別に設定できる画期的な機能「おまかせキーワードチャージャー」では、興味あるWebサイトのRSSなどを設定しておくと、定期的にHTMLなどからデータを読み込みこれを解析、推測変換としてチャージ、先頭の数文字で推測候補を提示してくれる。

「おまかせキーワードチャージャー」では推測変換としてチャージできる

複数のPCでユーザー設定を共有できる「ATOK Syncアドバンス」では、単語登録、お気に入り文書に加え、ユーザー辞書の変換候補の表示順、確定履歴などATOKの設定のすべてを自宅や、会社など各PCで同期できるようになる。

上位版となるプレミアムでは、国語・百科事典「大辞林」、「敬語のお辞典」などがATOK変換辞書・連携辞典として新搭載されるほか、Excelファイルの記載内容をATOKに表示・入力する「ATOK ダイレクト for Excel」を新搭載。複数行にわたる変換候補も利用できるようになる。

大辞林を使えば変換中に詳しく辞典で調べられる。図は"あかげら"

余弦曲線を大辞林

加藤あいさん登場!

ジャストシステムのイメージキャラクターに起用されることになった加藤あいさん。音声読み上げでの質問に必死に答える

発表会の最後に、スペシャルゲストとしてジャストシステムのイメージキャラクターに起用されることになった加藤あいさんが登場。早速新製品「一太郎2011 創 プレミアム」に搭載される音声読み上げソフト「詠太」の機能を使って、加藤さんにいくつかの質問が投げかけられた。

「長い台本を覚えるのは大変だと思いますが、どのようにして覚えているのですか?」と一太郎上にテキストが表示されている。「詠太」のUI上の再生ボタンを押すと流暢な女性の声でこれが読み上げられる。"質問"であることも「詠太」は認識しており、質問調で加藤さんに問いかける。

「ひたすら本を読んで声を出して復習して覚えるタイプ。家でじっくり復習するタイプです。非常に集中型です。一夜漬けタイプかもしれませんね。」と加藤さん。

「加藤さんはプライベートではどのようにパソコンを使っていますか?」と問う詠太。

「学生時代はレポートを書いたり幅広く使っていましたが、最近はインターネットがほとんどで、お店を調べたりメールをしたりという感じです。」

「最後の質問です 健康を維持するために普段から心がけていることはありますか?」

「普段からすごくよく食べます。だからバランスよく食べることを心がけています。」詠太とのやりとりを終えた加藤さんは、「画期的ですね。まさか、こんな風に話してくれるなんて、なめらかな音声にビックリしました。」と文書がそのまま流暢な音声と成ってしまうことに驚きを隠せない様子。

同社では、加藤さんをイメージキャラクターに起用した理由について、映画やテレビドラマ、品格ある美しさと親しみやすさが「高い技術力をもとに、高品質でどなたにも使いやすいソフトウェアを提供する」という目標とすべき企業ブランドと合致するとWeb上でも報告している。

福良社長と加藤あいさん