東芝は11月9日、2011年3月期上半期(4~9月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比6.4%の3兆811億4100万円、営業損益は同4869.8%増の1048億1300万円、純損益は前年同期の577億600万年の損失から、278億1600万円の黒字へと益転を果した。

東芝の2011年3月期上半期の業績概要

売り上げの拡大は、主に中国をはじめとするアジア諸国での内需を中心としたものに加え、国内についても景気刺激策などの効果もあり持ち直し傾向が続いたとするも、後半に入り、足踏みの状況も見られたとする。結果として、NAND型フラッシュメモリの需要拡大、価格の安定などによる半導体事業の好調、ならびにLCD事業も黒字化を達成するなど電子デバイス部門を中心に大きく改善が進んだとしており、営業損益も10年ぶりに1000億円の大台を超えたこととなる。

セグメント別の概要

セグメント別の業績を見ると、デジタルプロダクツ部門はテレビなどの映像事業が国内中心に好調で、パソコン事業も販売台数の伸長により増収、HDDおよびODD(光ディスク装置)事業も富士通からのHDD事業譲受による増収になった結果、部門全体としても増収、売上高は前年同期比13.6%増となる1兆1542億円、営業損益も価格下落や前半(4~6月)の原材料価格の高止まりの影響などによりパソコン事業、記録装置事業が減益になったものの、流通・事務用品機器事業が好調で、部門全体としては前年同期比11.3%増となる118億円となった。

デジタルプロダクツ部門の事業概況

パソコン事業の概況

電子デバイス部門は、スマートフォンなどの高機能携帯機器向けNAND型フラッシュメモリ製品の需要拡大、価格の安定などによるメモリの好調に加え、システムLSI、ディスクリートも堅調に推移した結果、部門全体としても増収となり、売上高は同13.2%増となる6906億円、営業損益については、メモリが増収に加え、コスト削減などの効果により好調だったほか、システムLSIなども構造改革の効果などにより改善し、半導体事業全体で大幅な黒字化を達成、LCD事業も改善が進み、部門全体では前年同期の353億円の損失から、655億円の黒字へと益転を果した。

電子デバイス部門の事業概況

半導体事業の概況

半導体事業の詳細。損益については、「ディスクリートが黒字、システムLSIが第1四半期が赤字、第2四半期がトントン、メモリが第2四半期でさらに利益率が向上しており21~22%程度」(同社代表執行役副社長の村岡富美雄氏)という

LCD事業の概況。営業損益については3年半ぶりの黒字浮上となる

社会インフラ部門は、電力・産業システム事業が原子力が堅調に推移したものの、景気低迷時の受注減少の影響などを受けたことに加え、ITソリューション事業も同様の影響を受けたこともあり、売上高は同3.7%減の1兆144億円、営業損益は電力・産業システム事業、ITソリューション事業の減収などの影響が響いた結果、同18.7%減の322億円の利益となった。

社会インフラ部門の事業概況

家庭電器部門は、白物家電事業がエコポイント制度の効果により好調だったことに加え、一般照明事業も前年同期並みの売り上げを維持した結果、部門全体として増収を達成、売上高は同3.4%増の2947億円となった。営業損益については、白物家電事業の増収効果に加え、構造改革の効果もあり、前年同期の75億円の損失から2億円の黒字へと益転を果した。

家庭電器部門の事業概況

ちなみにその他部門は、売上高が同11.2%増の1783億円となったものの、営業損益については、前年同期の48億円の損失より10億悪化の58億円の損失となった。

また、海外売り上げ高比率は57%となり、日本以外の地域別売上高については、アジア地域が前年同期比8.0%増の6555億円、北米が同3.9%増の5680億円、欧州が同17.9%増の4251億円、その他が同15.0%増の1219億円となっている。

なお、同社では、通期の業績予想については、景気の下振れ懸念、為替の動向など、下半期の不透明な経済状況を見極める必要があるため、2010年5月7日に公表した前回予想値(売上高は7兆円、営業損益は2500億円、純利益700億円)から変更はしないとしているも、為替を期初ならびに第1四半期決算発表時より変更、1ドル80円、1ユーロ110円としており、「今回、セグメント別の業績も通期業績も変更を行っておらず、なんとしてでも達成させる」(村岡氏)とする。