富士通は9月28日、理化学研究所(理研)と共同で開発・製造を行ってきた「次世代スーパーコンピュータ(愛称:京)」の出荷を開始したことを発表した。今後、兵庫県神戸市にある理研の計算科学研究機構に納入され、2012年秋の供用開始を目指して設置・調整が行われることとなる。
次世代スパコンは、800台以上のコンピュータラックや大規模接続が可能なネットワークなどから構成され、高性能・高信頼を追求し先端技術を結集して開発されたもので、CPUには富士通が開発した1CPUあたり128GFlopsの計算能力を持ちながら、低消費電力を追求、1Wあたり2.2GFlopsの消費電力当たりの性能を実現した「SPARC64 VIIIfx」を採用。
また、8万個以上のCPU間を相互に接続するネットワーク(インターコネクト)として、新たに開発した6次元メッシュ/トーラスのトポロジー「TOFU」を開発。これにより、複数の処理をプロセッサ群に柔軟に割り当てシステムを有効利用できると同時に、一部が故障しても故障箇所を回避してシステム処理を継続できる仕組みを備え、高い運用効率と可用性を確保することが可能となっている。
さらに、発熱源となるプロセッサなどの主要部品を冷却する技術として水冷方式を採用、高密度実装技術と合わせ、膨大な数の部品で構成される大規模システムにとって不可欠な部品寿命の向上と、故障率低減を実現している。
なお、コンピュータ本体の製造は、同社コンピュータシステムの基幹工場である富士通ITプロダクツにて行われており、富士通ITプロダクツから出荷される形となっている。