カシオ計算機は、21日より独ケルン・メッセにて開催されている「photokina 2010」プレスデーに合わせてプレスカンファレンスを開いた。150人以上の報道陣が訪れ、反響の大きさを物語っていた。
キーワードは"アート"
新商品である「EX-ZR10」と「EX-H20G」を手にする中山仁執行役員QV事業部長 |
まず、同社 中村寛常務取締役営業本部長が「デジタル技術をベースに、新しい発想で新しい価値を創り、利便性の向上や楽しさを提供したい。それが文化として根付き、社会に貢献する」と宣言。カメラ本来の性能は高いレベルで実現しながら、新しい発想と独自の技術で「楽しみ」を加えることがカシオの目指す「写真革命」だと強調し、「楽しみ」のキーワードは"アート"とした。
そのモットーにのっとり開発されたのは、今回のメッセの目玉となる新作「EX-ZR10」と「EX-H20G」の二製品。カシオ独自で、他社に比類をみないとあって大きな注目が集っており、詳細については中山仁執行役員が披露した。
EX-ZR10は、最大40枚/秒の超高速連写にも対応するハイスピードカメラ。高速撮影機能と高速画像処理を融合させた新エンジン「EXILIM ENGINE HS」の搭載により、HDR技術を駆使した芸術的な写真が撮れるのが特徴だ。
高感度1200万画素裏面CMOSセンサーに加え、露出の異なる連写画像を合成して1枚の画像に収めるHDR機能を搭載。白飛びや黒つぶれを抑えて、明るいところから暗いところまで鮮明に再現することができる。この技術を活用し、芸術的な写真を創り出す機能が「HDR ART」だ。高精度な画像解析をもとに局所的にコントラストや彩度の強弱を変化させ、誰でもワンシャッターで、芸術的な写真を創り出せるとあって、人気が出そうだ。
また、カメラを動かすだけで動体検出、顔検出を行い、被写体ブレを抑えた360度のパノラマ画像も簡単に撮影できる。動画機能も充実しており、画像サイズ1920×1080ピクセルのフルHDムービー(H.264)機能を搭載。スローモーションの動画が撮れるハイスピードムービー機能(最大480fps)も装備する。
このほか、撮影シーンや顔の有無、被写体の動き、被写体の位置、三脚使用の有無などをカメラが自動で分析する「プレミアムオート」、画像や動画を背景に動くキャラクターを貼り付ける画像合成機能「ダイナミックフォト」など従来モデルからの機能や性能も継承されている。
会場では、実例として通常の写真の次にHDR ARTで撮影した写真がスクリーンに表示されると、その鮮やかさに報道陣から感嘆の声があがった。
「ハイブリッドGPS」搭載の"旅カメラ"
一方、EX-H20Gは、自律測位システムを世界で初めて搭載したデジタルカメラ。GPSと、モーションセンサーによる自律測位を組み合わせた「ハイブリッドGPS」搭載の"旅カメラ"という同モデルでは、ハイブリッドGPSと内蔵地図データにより、自分の居場所や撮影した写真を本体地図上に表示できるのが特徴だ。
ハイブリッドGPSを搭載した「EX-H20G」。3軸の加速度センサーと3軸の方位センサーを備え、独自のアルゴリズムにより、GPS衛星からの信号が届かない屋内でも連続した位置情報を取得できる |
46万画素3.0型液晶モニターを搭載。クリアな画面が印象的 |
世界140都市と日本12都市の地図データと約1万点の観光地の撮影スポット情報を本体に収録しており、旅行前は地図を見ながら計画を立て、旅行中は現在位置や目的地、撮影場所を確認しながら行動できる。そして旅が終わったら、Google Earthなどの位置情報に対応した同梱のソフトウェアを利用し、訪れた場所と写真を関連付けて楽しむことができる。これまでのカメラ機能の概念を超えて、道案内や観光案内もしてくれるカメラとなった。
映像処理エンジンはEX-ZR10と同様のEXILIM ENGINE HS。プレミアムオートやダイナミックフォト、360度撮影可能なパノラマ撮影の機能も備え、幅広い場面で活躍が期待できる。旅先での自動時刻合わせなど、旅行に役立つ機能にも対応。広角24mmからの光学10倍ズームレンズを搭載し、「超解像ズーム」と組み合わせることで、最大15倍まで1410万画素の画質を保ったままズームが可能だ。
中山執行役員はGPSについて「将来的にはすべてのカメラにGPSの位置情報が入るのが、あるべき姿だと思う。またインターネットとの親和性は大事。現在は研究中ですが、将来的にはそういった製品も出していきたい」と話した。新作二品については今後、類似製品も登場してくると考えられるが「他のメーカーが追随できないノウハウがたくさん詰まっている。カシオにしかできないデジタルを追求している」と自信をのぞかせた。
(田口理穂)