現在話題になっているiPhone 4のアンテナ問題について、この事実をAppleが発売前にすでに認識していたのではないかという話が持ち上がっている。米Wall Street Journal (オンライン版)の7月15日(現地時間)の報道によれば、内部エンジニアらは新型iPhoneにおけるアンテナ設計のリスクをすでに1年前に認識していたが、このデザインを気に入ったCEOのSteve Jobs氏が採用を押し切ったという。また秘密主義からくるフィールドテスト不足も指摘されており、これらの要因が重なったことが今回の問題現出につながった可能性がある。

この件について最初に報じたのは米Bloombergだ。Bloombergによれば、Appleのシニアエンジニアでアンテナ設計を担当するRuben Caballero氏が1年前、現状のiPhone 4に用いられているデザインを採用することでアンテナに関する問題が生じるとJobs氏に進言していたが、最終的にこのデザインを気に入った同氏がそのまま採用して開発が進行することになったと関係者の話を伝えている。またこのデザインについては、携帯キャリアパートナーの1社が発売前にAppleに対して懸念を表明していたという話も伝わっており、周囲ではある程度すでに認知されていたようだ。このBloombergの報道についてAppleでは「根も葉もない噂」と完全否定する一方で、Bloombergでは「取材に基づいた事実」と反論している。

またもう1つの問題として、フィールドテスト不足も持ち上がっている。Appleでは新製品の秘密を守るため、十分なテスト環境を用意していなかったとの関係者の話をWSJが伝えている。それによれば、通常であれば実験のために14週間のテスト期間が設けられているものが、今回キャリアと実施されたテスト期間はそれよりはるかに短いものだったようだ。結果として、これが周囲の人間によるiPhone 4のアンテナ問題発見を阻害していたことにつながったのかもしれない。

なおAppleでは、このアンテナ問題について「ソフトウェアのバグ」と主張しており、問題を混乱させるきっかけとなったアンテナのバー表示について、バー本数を表示する計算式を修正した最新ソフトウェアを「iOS 4.0.1」として15日より配布開始している。また現地時間(PDT)で16日午前10時(日本時間で17日午前2時)には、米カリフォルニア州クパチーノにある本社キャンパスでiPhone 4に関する緊急記者会見を開催する予定となっている。詳細は不明だが、おそらくiPhone 4のアンテナ問題に関する何らかのアナウンスが行われるものとみられる。

この緊急記者会見については、マイコミジャーナルでも追って詳細なレポートを紹介する予定だ。