理化学研究所(理研)は7月5日、理研が実施主体となって推進している次世代スーパーコンピュータ(次世代スパコン)の愛称を「京(英語名:"K computer")」と決定したことを発表した。
2010年4月12日より次世代スパコンの愛称の一般公募が、同5月28日までの期間にて行われたが、この間の応募総数は1979件で、メールとはがきの重複を除いた有効応募数は1927件となり、同名重複を除いた候補数は1529件となったという。
選考は第1次選考、第2次選考、および最終選考の3段階で行われ、第1次選考でシステム開発を担当している次世代スーパーコンピュータ開発実施本部および運用を担当する計算科学研究機構設立準備室の職員38名による無記名投票が行われ、評価点上位10件と応募数上位6件(2桁の応募数があったもの)を合わせた14件(2件は重複)が選考通過となった。
第2次選考では、ノンフィクション作家の山根一眞氏を委員長とする「愛称選考委員会」で審議を重ね、2件に候補が絞り込まれた。同委員会の委員名は以下のとおり(敬称略)。
- 山根一眞(委員長) ノンフィクション作家、獨協大学経済学部特任教授 *阿部穣里 首都大学東京 大学院理工学研究科JSPS特別研究員
- 高田章 旭硝子中央研究所特任研究員
- 土居範久 中央大学研究開発機構教授
- 平尾公彦 理化学研究所計算科学研究機構設立準備室長
- 舟橋徹 文部科学省研究振興局情報課長
- 谷内江綾子 慶應義塾大学医学部助教
- 横山広美 東京大学大学院理学系研究科広報・科学コミュニケーション准教授
- 米林雄一 前東京藝術大学美術部彫刻科教授
- 渡辺貞 理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部 プロジェクトリーダー
最終選考は、次世代スーパーコンピュータ開発実施本部の最終決定機関である「本部会合」にて行われ、最終候補2件のうち1件を選択した。
選考理由として、主な理由は以下のとおり。
- 「京」は、開発目標性能の10ペタを表す万進法の単位で、ほかの科学技術分野の名称・愛称に多く用いられるものと重複がなく、「単位」で表現するという新規性を評価
- 漢字一文字とシンプルで分かりやすく、ロゴデザインもしやすい
- 外国人も発音しやすい
- 日本人は漢字に意味を込め、語呂や響きを大切にする。日本的な漢字と数学(単位)が重なっている点がよい
- 歴史と未来が同居する言葉。「京」はもともと大きな門を表し、「計算科学の新たな門」にもつながる
- 次世代スパコンは、すでに計算科学のコミュニティでは、京速(けいそく)のコンピュータとして「京」にはなじみがある
なお、京という名称に応募したのは7名で、この7名には後日、記念品が贈呈される予定としているほか、理研では、「京」のイメージにあうようなロゴマークを今後作成する予定としている。