BCNは6月9日、3DテレビやiPadなどのデジタル製品の最新販売状況について発表した。同社は全国23社、2,365店舗のPOSデータを集計して、PC・デジタルAV機器関連製品を127アイテムに分類して分析を行っている。
全商品カテゴリを合わせたBCN指数は、エコポイント制度切り替えに合わせた駆け込み需要があった2010年3月に前年同月比38.9%増という高い伸びを見せたが、4月は6.8%増と1ケタの成長率に鈍化。5月は0.7%増と前年並みとなった。「特需後は前年並みの水準になった」(BCNアナリストの道越一郎氏)
5月の薄型テレビ販売実績、金額は前年比を下回る
今年5月の薄型テレビ全体の販売実績は、台数では前年同月比12.7%増となったが、金額では6.0%減の前年割れとなった。なかでもプラズマテレビの落ち込みが大きく、台数・金額ともに2ケタ減となっている。
「3Dテレビはプラズマが最適とされており、これによってどこまで戻すことができるかが注目される。だが、液晶テレビのほうが明るいため、メガネをかけて視聴する3Dテレビでプラズマは視聴環境が暗くなることもある」
また、小型テレビの需要が拡大しており、なかでも20型前後のモデルの需要が堅調。一方で、30型台の価格下落が激しく、金額では前年割れとなった。薄型テレビのメーカー別シェアでは、シャープが43.2%と圧倒的なシェアを維持しており、これに東芝(18.0%)、パナソニック(13.5%)、ソニー(9.7%)、日立(4.5%)が続いた。
3Dテレビは、4月から発売したパナソニックに加え、6月から発売したソニー、すでに製品を発表しているシャープの予約分が集計の対象となっているが、5月実績では、薄型テレビの販売金額のうち3.0%を占め、販売台数では0.9%の構成比となった。
「3Dテレビだけでなく、その関連製品やコンテンツまでを含めた普及が3D市場全体の広がりのカギを握ることになる。3Dテレビが3Dシステムのプラットフォームとして機能するには、薄型テレビ市場全体の販売台数構成比で少なくとも2~3割、できれば5割程度の構成比を保つ必要がある」
3Dテレビの普及に向けて解決すべき問題としては、「いかにコストダウンできるか、普及するのに十分なコンテンツ量を供給できるか、子どもの視聴方法をはじめとする健康問題、『暗い』あるいは『ながら視聴』に不向きといった3Dメガネ独特の問題」が挙げられた。
開幕を直前に控えたFIFAワールドカップの需要については、「薄型テレビは2006年のドイツで開催されたワールドカップの際も盛り上がりが見られず、今回もむしろエコポイントのほうが効果が大きい。だが、レコーダーは時差の関係もあり、台数では19.4%増、金額では6.3%増と好調。日本代表の成績次第で今後の需要拡大も期待できる」という。
5月のPC販売実績、台数・金額ともに前年同月を上回る
一方PCは、5月の販売実績が台数では前年同月比3.8%増、金額では6.8%増と、いずれも前年実績を上回った。PC市場は、「2010年2月を底に復調している。5月は夏モデルが発表されたのに伴い、春モデルの価格が下落。結果として販売台数の増加につながった」(BCNアナリストの森英二氏)という。
またデスクトップPCは、台数ベースではWindows 7が発売となった昨年10月以降、プラスを維持しているが、販売台数では決して高い水準ではないという。
メーカー別シェアは、ノートPCでは東芝が22.1%とトップで、これに富士通(17.4%)、NEC(16.0%)が続いた。デスクトップPCはNEC(24.9%)、富士通(20.8%)、日本エイサー(20.5%)の順となった。
iPadについては、「立ち上がりは順調。すでにノートPCのシェアでは1割近い」とし、「iPad効果によって、ノートPC市場におけるアップルの存在感が高まっており、同社のシェアは3.0%から11.5%に急拡大している」という。
同氏は、今後市場投入が見込まれるiPad型デバイスについて、「タッチパネルによってマウスとキーボードから開放されることで子どもや高齢者が使いやすくなること、板形状の採用によって机の上から開放されること、Wi-Fiなどの活用によってケーブルから開放されること、そして、スマートフォンよりも広い画面サイズへの開放といったメリットがある。PCの構造変化の第1幕が価格を変えたネットブックだとすれば、その第2幕は板状デバイスがインタフェースを変えることになる」とコメントした。