「Smokescreen」Webサイト |
スマートフォンなどの組み込み系デバイスでのFlashサポートが話題になっているが、ここにきて新しい技術がオープンソースとしてデビューを飾ろうとしている。Flashの代替技術が開発されつつあるのは多くが知るところだが、今回紹介する「Smokescreen」はFlashそのものを排除するのではなく、HTML5とJavaScriptを組み合わせてFlashコンテンツを再現しようというものだ。
AppleがiPhone OS上でのFlash非サポートを宣言する一方、GoogleやOperaなどのベンダーがFlashサポートを改めて明言するなど、業界内部でFlashを中心とした対立構図ができあがりつつあることが大きな話題になっている。だが実務レベルの話でいえば、これまでさまざまな場面で利用されてきたFlashをいきなり丸ごと排除するのは現実的ではなく、既存のサービス内容を維持する一方で、特にiPhoneやiPadユーザーに対してFlashを代替する技術やサービスを提供する必要に迫られている。YouTubeのようにFlash動画のあるサイトにアクセスした場合、そのデバイスがiPhoneなどであれば、専用リンクを置いてアプリの起動を促すケースもある。あるいはサービスそのものをAppleがプッシュするHTML5やJavaScriptで書き換えてしまうのも手だ。
とはいえ、すべてのサービスがすぐにFlash非依存環境に対応できるわけではない。例えば、Flashで記述されたバナー広告を見かけることが多いが、iPhoneでこうしたバナーが置かれたサイトにアクセスしても、その場所に青い小さなアイコンが表示されるのみで、コンテンツそのものは表示されないことになる。これは広告主やサイト運営者にとっては大きな損失だ。そこで登場するのが「Smokescreen」となる。
Smokescreenの動作は、実際のデモを見てみるのが早い。Flashアニメーションやメニューなどでの利用も考えられるが、前述のようにFlashバナーのような身近な例を想定しているため、実際にFlashのSWFコンテンツとSmokescreenのHTML5+JavaScriptコンテンツを並べて表示しているサンプルデモで比較してみるといいだろう。ポイントはパフォーマンスで、Flashバージョンに比べてあまり遅延がないことがわかる。まだ技術仕様など詳細が公開されていないが、代替技術の1つとして注目しておくと面白いだろう。
デモの1つ、「Lyris ad」をMac OS X+Safariで表示した状態 |
同じデモをiPod touch(中央)、iPad(右)で表示した状態。Smokescreenベースのもののみ表示されている |