米Intelは5月25日(現地時間)、AMD/ATIやNVIDIAがシェア争いを続けているディスクリートGPU (dGPU)市場への参入はないことを再確認する声明を同社Blogへの投稿で明らかにした。同社は2009年12月に「Larrabee」(開発コード名)のキャンセルを発表しているが、一部で挙がっていたdGPU出荷計画の噂を否定するのが狙いとみられる。一方でHPCでの採用計画は継続であり、今後も研究開発投資を続けていく意向であるという。
同件は米Intelグローバルコミュニケーションズ部門製品・技術PR担当ディレクターのBill Kircos氏名義で発表されている。Intelは1999年以来、GPU機能をチップセットに統合(Integrated GPU: iGPU)して出荷を続けており、現在では統合型を含むGPU市場全体で大部分のシェアを獲得している。これらiGPU機能は現行のWestmere世代やMoorestownなどの最新Atomではプロセッサ側に統合されており、今年末に登場予定のSandy Bridgeでは2つの異なるコアが完全に1つのプロセッサダイで統合されることになる。一方で開発が進められていた「Larrabee」は、プログラマブルなIntel Architectureコアを複数搭載し、主にハイエンドPCやHPCでのGPU利用を想定していたといわれている。
前述のようにこのLarrabee計画はキャンセルされたが、同様のメニーコアなアーキテクチャを採用したHPCのような並列プロセッシングの研究開発は続けていくとしており、これに関する最新のアップデートは来週ドイツのハンブルグで開催されるISC10で公開されるという。一方でdGPU市場への参入は少なくとも今後しばらくはないとも明言しており、前述のようなプロセッサ統合型のiGPU市場にフォーカスしていくようだ。特にハイエンドゲームや画像処理分野においては、今後もAMD/ATIやNVIDIAの2社間での争いが続いていくことになる。