来日中の米SugarSync CEO ローラ・イーシーズ氏は5月20日、東京・大手町で会見を開き、同社のクラウド型同期サービス「SugarSync」の日本語版提供を開始した。SugarSyncはクラウド上にデータを置き、オフィス、自宅のPCやネットブック、スマートフォンなどと同期や共有、バックアップを行うサービス。この分野ではすでに競合のDropboxが日本でもユーザ数を伸ばしているが、イーシーズ氏は「SugarSyncはDropboxなど競合のサービスに比べ、はるかに多機能でフレキシビリティにすぐれており、セキュリティも十分に担保する。また、個人の生産性を上げるだけでなく、企業内でのコラボレーションにも適している」と自信を見せており、日本市場におけるさらなるユーザ獲得を狙う。
SugarSyncは、個人の生産性を上げる、いわゆる"ライフハック"系のWebサービスとして、ここ最近注目度が高まっており、日本でも経済学者の野口悠紀雄氏や、ブルームコンセプト 代表取締役の小山龍介氏など、有名ライフハッカーがSugarSyncの使い方を積極的に紹介した影響もあって、日本語版提供前からすでに数多くのユーザを獲得している。「SugarSyncユーザの33%は米国外に住んでおり、うち、日本のユーザは8%を占める。英語版でもこれだけの人に使ってもらえていることが、日本でのサービスインの決め手になった」(イーシーズ氏)
SugarSyncはクラウド上に置いたファイルを、複数のPCや携帯端末から同期/共有するサービスだ。ただのオンラインストレージサービスと異なるのは、一度同期させたら、そのファイル/フォルダに変更があれば、ほぼリアルタイムで自動的に同期が反映される点だ。つまりユーザは、基本的に、手作業でファイルをアップデートする必要がない。また、クラウド上のデータはすべて自動でバックアップが行われ、128ビットAESで暗号化されるため、安全性も担保される。
同期させるファイル/フォルダは自由に選ぶことができるため、ネットブックや携帯端末など、ディスク容量の小さいデバイスでも問題なく利用できる。また、自動同期させたくないデータは、"Webアーカイブ機能"を使って手作業での同期も可能だ。この"自由で柔軟な同期"がSugarSyncの最大の強みといえる。さらに、選択した画像ファイルをPicasaやFlickr、Facebookなどにパブリッシュしたり、クラウド上にある音楽ファイルをiPhoneやAndroid端末からストリーミングすることもできる。また、クラウド上のデータから画像ファイルだけを自動で選び出しWebアルバムを作成する機能もある。
また、複数人のコラボレーションにおいても競合製品にはない機能をいくつかもつ。SugarSyncのIDをもっていない人に対しても、公開リンク機能を使ってファイル/フォルダ単位で共有することができるほか、SugarSyncユーザどうしでフォルダにパスワードをつけて共有したり、「リードのみ可」「リード/ライト可」といったアクセス制限をかけることも可能だ。なお、米国で展開している中小企業向けサービスでは、電話サポートのほか、マルチユーザ管理機能やアカウント管理機能なども提供する。
対応プラットフォームは、Windows、Mac OS Xのほか、iPad、iPhone、Android端末、BlackBerry、Windows Mobile。まもなくNokia端末(Symbian OS搭載スマートフォン)のサポートも開始する予定だ。また、開発者に向けてAPIも提供しており、サードパーティアプリケーションの開発が可能となっている。
日本語版の利用方法は、http://www.sugarsync.com/にアクセスし、右上にある日本語リンクから登録する。2GB(PC 2台、スマートフォン端末は無制限)までは無料で利用できるが、それ以上利用するのであれば、以下のプランから選ぶことになる。なお、現在のところ、すべてのプランは米ドル建てクレジットカード決済のみとなっている(同期させるPCの数にも制限はない)。
個人向け
プラン | 料金 |
30GBプラン | 4.99ドル/月または49.99ドル/年 |
60GBプラン | 9.99ドル/月または99.99ドル/年 |
100GBプラン | 14.99ドル/月または149.99ドル/年 |
250GBプラン | 24.99ドル/月または249.99ドル/年 |
500GBプラン | 39.99ドル/月または399.99ドル/年 |
ビジネス向け
プラン | 料金 |
---|---|
【基本】100GBプラン/3ユーザ | 29.99ドル/月または299.99ドル/年 |
ユーザ追加オプション | 9.99ドル/ユーザ |
100GB追加オプション | 29.99ドル/月または299.99ドル/年 |
イーシーズ氏は、「SugarSyncは、ユーザがどこにいても仕事をすることを可能にするツール。いつでもどこでもアクセスできるということが仕事のやり方にパワーを与える」と語り、今後はエンタープライズビジネスにも進出を図りたいとしている。また、会見に登場した小山龍介氏は、「カフェや街角にいても、アイデアが浮かんだらすぐにデータにアクセスし、仕事にとりかかれる"ノマドなワークスタイル"がこれからは主流になる。クラウドによるこのワークスタイルの変化が、既成概念を打ち壊して新しい創造性を生みだすのでは」と語る。仕事はオフィスだけでするもの - SugarSyncの台頭は、そんなスタイルはもはや昔のモノになったことを裏付けているのかもしれない。