シャープは4月27日、2009年度(平成22年度)の決算概要と2010年度の連結業績の見通しを発表した。
2009年度の連結業績は、売上高については2兆7559億円と前年度比で3.2%減となったものの、営業利益は519億円(前年増減: +1073億円)、経常利益は309億円(同: +1134億円)、当期純利益は43億円(同: +1302億円)となり、前年の赤字から黒字に転換した。
主な分野別の状況(売上高)は以下の通り。
AV・通信機器部門 海外向け液晶テレビの減少などが響き売上高は前期比で2.6%減となる1兆3321億円となった。
健康・環境機器部門 プラズマクラスター技術を搭載した空気清浄機やイオン発生機の好調な販売が寄与し、売上高は前期比8.3%増の2440億円となった。
情報機器部門 複写機や複合機の販売が減少。売上高は前期比で12.8%減の2669億円となった。この要因ついて同社代表取締役 兼 副社長執行役員 濱野稔重氏は「企業の設備投資の抑制が響いた」という見解を示している。
液晶部門 テレビ用大型液晶パネルの大幅な価格下落、中小型液晶の市場低迷により、売上高は前期比11.4%減の5086億円となった。
太陽電池部門 国内の住宅用助成金制度や余剰電力買取制度の開始などによって販売が伸び、売上高は前期比32.9%増の2087億円となった。
その他電子デバイス部門 主にデジタル家電向けの販売価格下落が響き、売上高は前期比10.1%減の1954億円となった。
同社はあわせて次期(2010年度)の通期見通しも発表。これによると、平成23年3月期(平成22年度)の通期業績見通しは売上高:3兆1000億円(2009年度比112.5%)、営業利益:1200億円(同231.2%)、経常利益:950億円(同306.5%)、当期純利益:500億円(同1137.1%)となっている(予想為替レートは米ドル90円、ユーロ123円)。
同社は、2010年度の見通しについて「ビジネスモデルの変革をはじめ、LED照明や太陽電池、プラズマクラスター技術搭載商品などの環境・健康分野の事業拡大、新興国を重視した事業戦略など、成長分野に軸足を置いた事業展開を図る」としている。液晶テレビについては市場の急拡大を見込んでおり、当初は10月を予定していた「グリーンフロント 堺」での生産倍増計画を7月に前倒しすることなどによって(既報参照)対応。「UV2A技術」や「4原色技術」などの独自技術を搭載した3D対応モデルを市場投入することになる。さらに濱野氏は「3D液晶テレビのマーケットには期待している」として、"地産地消"を前提としたグローバル展開を強化する考えを示した。
また濱野氏は太陽電池について、米国の「グリーン・ニューディール」に代表されるように、環境政策によって世界各国で市場の伸張が期待されていることに触れ、「電池」のみならず、高効率化を前提としたシステム事業の拡大も視野に入れているとした(2010年度の太陽電池売上高は2500億円、販売量は151.1MW[メガワット]を見込んでいる)。
なお連結業績が回復したことを踏まえ、同社は2009年度の期末配当金について中間配当金の7円から3円増額となる10円(年間配当金は17円)を予定している。