AMDは27日、ひとつのCPU内に6個のプロセッサコアを内蔵する6コアCPU「AMD Phenom II X6」シリーズを発表した。Thubanの開発コード名で知られていたデスクトップ向けCPUで、サーバ向けのIstanburをベースとした製品と考えられる。あわせて同日、チップセット製品「AMD 890FX」「AMD 880G」「AMD 870」も発表されている。

Phenom II X6のラインナップは2モデルで、3.2GHz動作で倍率ロック無しの「Phenom II X6 1090T Black Edition」と、2.8GHz動作の「Phenom II X6 1055T」。1,000個ロット時の単価は1090Tが295ドル、1055Tが199ドル。発売日は4月29日とされており、日本国内の店頭リテール販売も同じタイミングで開始となる見込みだ。

Phenom II X6のダイ写真

本製品の目玉となる新機能が「AMD Turbo CORE Technology」。これは決められたTDPの枠内で、負荷に応じて自動的に動作周波数を引き上げ、処理能力を向上させるという機能だ。ライバルIntelのTurbo Boost機能に似ているが、Turbo COREでは、6コアのうち3コアをアイドル状態にしてTDPの余裕をつくり、残り3コアの動作周波数を引き上げ、スレッドあたり性能を向上させる。周波数の引き上げ幅は、1090Tが3.2GHz→3.6GHz、1055Tが2.8GHz→3.3GHzとなっている。

Turbo CORE Technologyでは、動作周波数の遷移は1段階のみ。1090Tでは400MHz、1055Tでは500MHzのTurboがかかる

ほか、製造プロセスは45nm SOIで、ダイサイズは346平方mm。パッケージタイプはSocket AM3で、対応ソケットはSocket AM3/Socket AM2+。メモリコントローラはDDR3/DDR2に両対応。キャッシュはL2キャッシュが512KB×6コア分で計3MB、L3キャッシュが6コア共有で6MB。TDPは1090T/1055Tともに125W。

SATA 6Gbpsネイティブの新チップセット

新チップセットとして、「AMD 890FX」「AMD 880G」「AMD 870」も発表となった。既に発表済みのAMD 890GXとあわせて、AMD 8シリーズのチップセットのラインナップが充実する。SATA 6Gbpsをネイティブサポートするサウスブリッジ「SB850」などと組み合わせることが可能で、チップ間接続には4GB/sの広帯域を実現するAlink Express IIIを利用する。

AMD 890FXのブロックダイアグラム。同チップセットはPCIeレーン数も多く、CrossFire構成などで組むハイエンドシステム向け

それぞれのスペック等は以下の表の通り。