4月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2009年度(2009年4月1日~2010年3月31日)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1万2,866件/7兆214億6,100万円、商工リサーチの発表では1万4,732件/7兆1,367億500万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2009年の全国企業倒産の件数は1万2,866件と、前年度の1万3,234件を2.8%下回り、集計基準変更後で初の前年度比減少となった。年度前半は増加が続いて、6月は集計基準変更後で最多となる1,294件を記録した。一方、年度後半は7ヵ月連続で前年同月を下回るなど減少に転じたが、3月は4ヵ月ぶりに1ケタの減少率となり、減少幅はここにきて縮小しているという。
2009年度の負債総額は7兆214億6,100万円と、前年度の13兆6,709億2,700万円に比べ48.6%の大幅減少、3年ぶりの前年度割れとなった。月別推移では、10月に2,513億9,400万円と集計基準変更後で最低となるなど、年度後半は低水準が続いた。
2009年度全国企業倒産件数の推移 資料:帝国データバンク |
2009年度負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、7業種中5業種で前年度比減少となった。建設業(3,325件)が前年度比6.5%の減少となったほか、卸売業(1,904件、前年度比9.2%減)、不動産業(438件、同8.6%減)でも減少が目立った。一方、製造業(2,009件、同8.7%増)、サービス業(2,345件、同1.9%増)の2業種は前年度を上回った。
同社は、2009年度は減少に転じた要因として、「.緊急保証制度や中小企業金融円滑化法による資金繰り破綻の回避」、「公共事業執行前倒しによる建設業倒産の減少」、「エコカー減税やエコポイント制度による卸売」など、各種政策効果を挙げている。加えて、企業再生支援機構や事業再生ADRなどの新たな私的整理手法が定着し、大手・中堅問題企業が法的整理を回避したことも影響したという。
4月以降も倒産減少が続くかという点については、6月頃まで減少するが、7~9月を境に増加に転じる可能性があると、指摘されている。その理由として、上記の3つの2009年度の減少要因が夏以降、倒産増につながる懸念材料に変質しかねないことが挙げられている。
具体的には、緊急保証制度施行から約1年半が経過して返済負担が増す時期となるとともに、中小企業金融円滑化法も夏頃から返済再開時期を迎え、また、2010年度の公共事業費が大幅削減されて公共工事の請負金額は2010年に入って前年を下回り、建設業倒産も3月に9ヵ月ぶりの増加に転じるなど今後の反動増が懸念されるからだという。
これらに6月完全施行の改正貸金業法の影響も加わるほか、原材料高や不安定な為替相場が収益の足を引っ張りかねないと、同社では見ている。
商工リサーチの調査結果
2009年の倒産件数は、1万6,146件だった前年に対して8.7%減で、4年ぶりに前年を下回り、年度としては戦後22番目となった。その要因として、「景気対応緊急保証制度」や政府系金融機関の低利融資「セーフティネット貸付」、さらに「中小企業等金融円滑化法」施行などの政策が効果を発揮したことが挙げられている。
2009年の負債総額は、14兆189億1,100万円だった前年に対し49.0%減と、年度としては戦後14番目の規模だった。その要因として、負債100億円以上の倒産が同55.9%減の59件(前年度134件)と大幅に減少したことが挙げられている。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、金融・保険業(28.9%減)を筆頭に、卸売業(14.7%減)、運輸業(14.3%減)、不動産業(14.2%減)、建設業(14.1%減)、小売業(11.7%減)、農・林・漁・鉱業(6.9%減)、製造業(5.5%減)の8産業が前年度に比べて減少した。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、近畿を除く8地区で前年度を下回った。都道府県別倒産件数では、前年同月を下回ったのが38都道府県、増加が9府県となった。