米Adobe Systems シニアデベロッパー マーケティングマネージャー マイクポッター氏

アドビシステムズは3月23日、統合開発環境の新版「Adobe Flash Builder 4」、「ColdFusion Builder」を発表した。

Adobe Flash Builder 4は、FlashベースのRIAフレームワーク「Adobe Flex」などに対応した統合開発環境(IDE)。前バージョンまでは「Adobe Flex Builder」という名称だったが、今回のバージョンアップを機に変更された。

米Adobe Systems シニアデベロッパー マーケティングマネージャー マイクポッター氏は、名称変更の理由について「Flexが無償で提供されるオープンソースプロダクトなのに対し、Flex Builderは有償のプロダクト。また、Flex Builderは、ActionScriptによる開発プロジェクトなど、Flex以外のアプリケーションにも対応している。こうした点を考慮し、実態に合う名称に変更した」と説明した。

Adobe Flash Builder 4では、RIAフレームワークの新版「Adobe Flex 4」に対応。同フレームワークで取り入れられたアーキテクチャ「Sparkコンポーネントモデル」をサポートしたことにより、コンポーネント単位で"見た目"と"振る舞い"を分離できるようになり、デザイナーとプログラマー間の作業の干渉がこれまで以上に減らせるという。

そのほか、Flex 4への対応により、コンパイ時間が短縮されたほか、新たなビデオコンポーネントや、「FXG」と呼ばれるグラフィック向けMXMLサブセットが利用可能などのメリットが享受できる。

Flex 4の特徴

一方、Flash Builder 4自体の新機能としては、Flexアプリケーションとバックエンドの間で受け渡されるデータを記録する「ネットワークモニター」、ビルドプロセスを自動化する「コマンドラインビルド」などを追加。さらに、コード内に記述されたMXML/ActionScript APIの説明を取り込んでドキュメント化する「ASDoc」がIDE内に追加されたうえ、メソッド名などの一部を入力するだけで候補が表れるコードアシスト機能が強化されるなどの改善が行われている。

アドビシステムズ マーケティング本部 デベロッパーマーケティングスペシャリスト 轟啓介氏

さらに、データ中心型開発を支援するために、UIとデータを紐付ける(データバインディング)コードを自動生成する機能を追加。ドラッグ&ドロップ操作で、Java、PHP、Adobe ColdFusion、REST、SOAPサービスのプログラムを出力することができる。なお、同機能は「あくまでデータ中心型開発を効率化するためのもの」(アドビシステムズ マーケティング本部 デベロッパーマーケティングスペシャリスト 轟啓介氏)と言い、セキュリティ面は配慮されていないため、開発を進めていく過程で変更を加えて使用することが推奨されている。

自動コーディングのデモ。変数をPublicからPrivateに変更する際にもメニューから選択するだけ。この例では、命名規約にそって変数名が変更(変数名の前に"_"を付ける)され、Getter/Setterメソッドが自動生成された

データバインディングプログラム生成のデモ。プログラムを生成する際にはまず、IDE上の「データとサービスに接続」というリンクをクリック

次の画面で言語を選ぶと、上記のようなウィザードが表示されるので、必要な情報を入力。するとCRUD(Create、Read、Update、Delete)コードが自動生成される

コード生成の直前には、セキュリティ面は考慮されていないという旨の注意書きが表示される

生成されるメソッド名の一覧

実際に生成されたメソッド

また、ColdFusion Builderに関しては、Flash Builderとの統合が行われているほか、サーバーの管理機能、コードアシスト、リファクタリングなどの機能が強化されている。

価格は以下の通り。

製品版、SDK

製品名 価格
Flash Builder 4 Standard Edition製品版 3万1500円(教育機関は無償)
Flash Builder 4 Premium Edition製品版 8万9250円
ColdFusion Builder 3万5700円(教育機関は無償)

アップグレード

製品名 価格
Flex Builder 3 StandardからFlash Builder 4 Standardへのアップグレード 1万2600円
Flex Builder 3 StandardからFlash Builder 4 Premiumへのアップグレード 6万3000円
Flex Builder 3 ProfessionalからFlash Builder 4 Premiumへのアップグレード 3万7800円
Flash Builder 4 StandardからFlash Builder 4 Premiumへのアップグレード 6万3000円

なお、アドビシステムズでは、Flash Platform ServicesにSocialサービスを追加したことも発表。Facebook、Twitter、Myspaceなど各種のソーシャルネットワークサービスと連携するための共通APIを提供し、サービスごとの実装方法の差異や、サービスのAPI変更時の修正の手間を削減。開発作業、管理作業を効率化できることを紹介した。