既報の通り、KDDIはデザインなどに注力したiidaブランドから新製品「lotta」を2月中旬から発売すると発表した。KDDIのコンシューマ商品統括本部サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏は、「コンパクトで上質、遊び心を持った端末」と表現する。価格はオープンプライスだが、一括払いでは2万円台半ばぐらいの価格になる見込みだ。

運命や巡り合わせといった意味のlotからの造語という「lotta」

iidaブランドは、design(デザイン)/imagination(想像力)/art(芸術)/innovation(革新)という4つのキーワードをもとに、携帯電話だけでなく、周辺機器を含めたライフスタイルを創造する、という狙いで立ち上げられたブランド。今回のlottaは、2009年春の「G9」から8機種目の端末となる。

iidaブランドのキーワード

これまで、G9から始まり、芸術家・草間彌生氏の「ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい」などの独特の端末をリリースしてきた。

今回同社では、「a lot of fun」(たくさんの楽しさ)をキーワードに製品を投入。lottaに加え、「LIFESTYLE PRODUCTS」として2つの周辺機器を用意するほか、iidaのサイト「iida.jp」で新たなコンテンツも追加する。

lottaは、G9を生み出したプロダクトデザイナーの岩崎一郎氏がデザイン。「春らしいみずみずしさのある3色」というホワイト、イエロー、グリーンというカラーバリエーションで、ツートンカラーの大胆な配色となっている。約100(H)×49(W)×14.6(D)mm、約108gのコンパクトなサイズで、折りたたんだ状態で手にすっぽりと収まり、わずかに台形がかったシルエットが特徴。

コンパクトで手のひらに収まるボディ

本体を開くと大きなキーが現れる。本体カラーと同じ色で、通話ボタンがカラーリングされている

前面には「カジュアルさを表すスパイス」(増田氏)という大きな数字が刻印されているほか、押しやすさに配慮した大きめのキーは通話ボタンだけがカラーリングを変えており、見やすさと同時に遊び心を加えているという。

それぞれのカラーリングに合わせた待受画面に鮮やかなカラーリング

本体背面もツートンカラー

前面に数字が刻印されているのも遊び心

背面には0.5インチ有機ELのサブ液晶と有効197万画素AF付きCMOSカメラ、FeliCaを内蔵する

端末を開いたところ

本体側面

メニューなどのGUIもデザインされており、本体カラーに合わせたカラーリングになっている。デフォルトの待受画面は、本体を開いたりメニューから戻ったりするたびに数字がカウントアップするといった機能も盛り込んだ。

lotta用にデザインされたUI。下部の数字がカウントアップされた数字

lottaの開発は京セラで、プラットフォームはKCP+ではなく、同じiidaブランドのmisora、PRISMOIDと同様にQSCを採用し、機能を押さえたベーシックモデルという位置づけとなっている。EZナビウォーク、au Smart Sports、おサイフケータイ、赤外線通信といった機能は備えるものの、ワンセグは搭載せず、「機能を重視するユーザーには物足りないかもしれないが、シンプルな端末が積極的に欲しいという人も一定層いる」(同)ため、そうしたユーザーをターゲットにする。機能だけでなく、端末の開けやすさやキーの押しやすさといった日常的に触れる部分でのシンプルさを追求した、という。

同時に、「LIFESTYLE PRODUCTS」としてlotta用アクセサリーとして「STRAP-TRAP」「8071 STRAP」の2製品を用意。STRAP-TRAPは、革製品のブランド「POSALCO」によるネックストラップと鹿革の携帯クリーナーをセットにしたもの。iida.jpで販売され、各色100個限定で価格は8,980円。

さまざまなアクセサリーがLIFESTYLE PRODUCTSとして提供されている

lotta専用アクセサリSTRAP-TRAPのデザインはマイク・エーブルソン氏

ネックストラップは本体に巻き付けて収納することもできる。小型ポーチの中にクリーナーが入っている

8071 STRAPは、+型と凹型の2つのパーツからなり、組み合わせることで1つのストラップが完成する。凹型パーツを玄関先などに設置し、そこに携帯に付けた+型パーツを装着しておけば、携帯を忘れずに持ち出せる、としている。同じくiida.jpから購入でき、価格は1,920円。

8071 STRAPは織咲誠氏がデザイン

パーツを組み合わせて1つのデザインとなる

さらに同社では、学生を対象に周辺機器のデザインコンペティション「iida AWARD 2010」の結果も公表し、ACアダプター「WORLD OF ALICE」「Chocolate cookie」、ストラップとデジタルコンテンツの「koyubito」が受賞した。受賞者は最大1年のワークショップに参加し、その後LIFESTYLE PRODUCTSの製品化を目指していくそうだ。

AWARDに参加した大学。海外の有名デザイン学校も招待校として参加した

iida AWARDは国内外の大学から117作品が応募された。デザインの表現力やiidaとの親和性、ビジネスセンスといった項目で審査され、今回の3作品が受賞した。

出品された作品の一部

受賞作品と受賞者。左から「WORLD OF ALICE」(大阪市立大学大学院・今村謙人さん、宮武希実さん)、「CHOCOLATE cookie」(京都造形芸術大学・大角雅幸さん)、「koyubito」(慶応大学・中村諒さん、千葉大学大学院・岩原一平さん)

iida.jpでは、iidaユーザー以外でも利用できるようにして、より多くのユーザーにiidaの世界観を体感してもらうためにさまざまなコンテンツを提供しており、新たにミュージック・チャンネル「MTV」とタイアップしてアーティストの映像を提供する「iida broadcast」を2月8日から提供。まずはCHEMISTRYと口ロロが登場する。

アーティストとのコラボレーションによりコンテンツが提供されるiida.jp。デジタルコンテンツとして、12アーティストから26の待受画面が提供されている

アーティストのパフォーマンスが見られる「iida broadcast」。初回登場アーティストはCHEMISTRYと口ロロ

さらに、用意された音楽に自分の声や文字を組み合わせて音楽を作り出すユーザー参加型のコンテンツ「iida calling」「iida calling 2」を提供してきたが、第3弾として口ロロの音楽と文字を組み合わせる「iida calling ver.3.0」を2月19日から提供する。作成された着うたはブログパーツやTwitter上で共有することも可能だ。

これまでリリースされたiida callingは、それぞれ4万トラック、8万トラックがダウンロードされ、好評だったという

第3弾では、口ロロの曲に合わせて、ユーザーの入力したテキストが歌詞になる。それをTwitterやブログで広めることができるようになった

端末だけでなく、iidaブランドの周辺機器やデジタルコンテンツを用意して、iidaの世界観を作り上げていくKDDI。コンシューマ商品統括本部長の高橋誠氏は「auのブランド力を高める効果が出てきている」と強調。調査でも、以前よりイメージが向上しているほか、G9が長期にわたって一定の販売金額を維持している点も挙げ、「こういう製品を出していけば、ブランド力の向上につながる。息の長い取り組みになるが、それが重要だと思う」と指摘する。

高橋誠氏(左)と増田和彦氏

iidaでは、プロジェクト自体がぐっとデザイン賞を受賞したり、iida callingがカンヌ国際広告祭でブロンズを受賞するなど評価も高い。高橋氏もスマートフォンでの出遅れを認め、今後の展開には意欲を見せつつ、iidaのような取り組みも強化し、続けていく考えを示している。

iidaの受賞歴