1月13日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2009年の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1万3,306件/6兆8,101億4700万円、商工リサーチの発表では1万5,480件/6兆9,300億7,400万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2009年の全国企業倒産の件数は、前年の1万2,681件を4.9%(625件)上回り、3年連続の前年比増加となった。月別で見ると、前半は増加が続き、6月は集計基準変更後で最多となる1,294件を記録したが、9月以降は4ヵ月連続で前年同月を下回るなど、後半は減少に転じた。

2009年の全国企業の負債総額は前年の11兆9,113億200万円と比べ、42.8%の大幅減少となり、2005年4月の集計基準変更後では初の前年割れとなった。月別で見ると、10月が2,513億9400万円と基準変更後で最低となるなど、後半は低水準が続いた。

2009年全国企業倒産件数の推移 資料:帝国データバンク

2009年負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、7業種中5業種が前年比増加となった。製造業(2,084件)が前年比21.9%の大幅増加となったほか、不動産業(488件、前年比13.8%増)でも増加が目立った。一方、建設業(3,441件、同0.1%減)、小売業(2,172件、同1.5%減)の2業種は前年を下回った。

同社では、政策効果による倒産減少が続いているが、景気回復の証しと見ることはできないとしている。その理由として、実態は「需要の先食い」や「資金繰り破たんの先送り」にすぎず、政策的な下支え効果も弱まりつつあり、デフレ進行、雇用悪化、所得減少といった状況から景気の二番底懸念が増していることが挙げられている。

現在最も懸念されることは、政策効果が途切れる時期と、12月に発表された事業規模約24兆円の追加経済対策の効果が浸透するまでの時期の谷間に当たる1月から3月にかけて、内需の停滞にさらに拍車がかかる事態だという。

さらに、「2010年度の公共事業費が32年ぶりの低水準に落ち込む建設業界」、「値下げによる消耗戦で体力勝負の様相を呈するサービス・流通業界」、「今後の円高水準次第では収益が一段と悪化しかねない製造業界」など、倒産増加につながる懸念材料が山積していると指摘されている。

商工リサーチの調査結果

2009年の倒産件数は、1万5,646件だった前年に対して1.0%減で、4年ぶりに前年を下回った。減少の要因として、中小企業向け金融支援の「緊急保証制度」、景気対策として過去最高水準で進められた公共工事の前倒し発注などの政策効果が挙げられている。半期ベースでは、上半期(1月-6月)が前年同期比8.2%増だったのに対し、下半期(7月-12月)は同9.7%減となり、前半と後半で倒産状況が一変した。

2009年の負債総額は、12兆2,919億5,300万円だった前年に対し43.6%減と、3年ぶりに前年を下回り戦後14番目の規模だった。大幅に減少した要因は、前年がリーマン・ブラザーズ証券関連で負債が膨らみ、その反動が大きく表れたためとされている。

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、6産業で倒産件数が前年比減少となった。増加したのは、製造業11.8%増(2,341件→2,619件)、情報通信業7.9%増(540件→583件)、サービス業他4.5%増(2,837件→2,966件)、不動産業3.6%増(575件→596件)の4産業。

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、4地区で前年比減少となった。増加したのは、9.9%増(1,552件→1,706件)の中部、6.6%増(3,926件→4,186件)の近畿、4.6%増(5,441件→5,695件)の関東 、1.6%増(437件「→444件)の北陸の4地区。四国は前年同数の411件だった