CES 2010開幕前日、Pepcom主催のDigital Experienceというイベントが開催され、Googleが5日(米国時間)に発表したばかりのAndroid携帯「Nexus One」を展示した。
イベントの時間は午後7時から10時までの3時間。この機会をのぞいてCES期間中にGoogleがNexus Oneを展示する予定はなく、開始から終わりまでGoogleのブースはテレビを含む数多くの報道関係者で埋めつくされた。
同じ3.7インチのディスプレイを持つMotorolaの「DROID」はずっしりと重いが、Nexus Oneは大きなディスプレイを備えながらも片手で取り扱うのに適度な薄さと軽さだ。背面は全体的にゆるやかな曲線になっていて握りやすい。知らなければバッテリー固定と思ってしまいそうな一体的なデザインだが、スライドさせるだけで簡単に裏ぶたを取り外せる。
3.7インチWVGA(480x800) AMOLEDディスプレイとQualcomm Snapdragonの組み合わせの表示は美しく、特に映画作品のような動画コンテンツを再生したり、3D表示を試すと、Googleが"スーパーフォン"と呼ぶのも納得できる。
そのスーパーフォンという表現だが、ブースにいた複数のGoogleのスタッフにスーパーフォンとスマートフォンの違いを聞いても統一された定義はなく、答えはばらばらだった……。「以前はデスクトップでなければ実現できなかったような機能を備えた携帯」、「今のスーパーフォンの機能が半年から1年後にはスマートフォンになる」等々。総合すると、モバイルWebの進化を加速させようとするGoogleの姿勢を現した呼び方であるように思える。モバイルWeb端末の前進を促す新しい技術やサービスを積極的にとりいれ、形にすることでスマートフォン市場を活性化する。たとえばNexus Oneでは3D表示が豊かになり、アプリケーション・パネルや画像アルバムなどが立体的に表示される。こうした機能にはデベロッパもアクセス可能であり、アプリの改善にもつながっていく。その時々のスマートフォンが進むべき道を提案するスーパーフォンの存在は、GoogleのAndroidプロジェクトの重要な一環と言える。
ただし、この早い変化にとまどうユーザーも出てきそうだ。たとえば昨年末にMotorolaが発売したAndroid 2.0携帯DROIDにバージョン2.1へのアップグレードが用意されたとしても、ハードウエアで勝るNexus Oneのような利用体験は味わえない。ほんの2カ月ほど前にスーパーフォンのように扱われていたDROIDが、Nexus Oneの登場によって早くも過去のスマートフォンのようになってしまった。
ノイズキャンセレーションで音声認識の精度向上
ダイナミックに壁紙が変化する「Live Wallpaper」を試すと、Nexus Oneの表現力を手軽に確かめられる。煙、雲、水、プラズマなどの微妙な動きを描画する「マジックスモーク」、紅葉が水面に落ちる「水」、星々が旋回する「星雲」など数多くの壁紙が用意されている。
ホーム画面はパネルが従来の3面から5面に増えた。端から端への移動に4回のフリックが必要になるため、新たにパネルのサムネイル一覧が用意された。ホーム画面にはアプリケーションだけではなく、特定のコンタクトへの発信、特定の住所(例:自宅)へのナビゲーションなど、様々なショートカットを配置できるので、素早く切り替えられる5面パネルは便利だ。
日本語サポートが気になるところだが、設定のLanguage & Keyboardで"日本語"を選択すると、ユーザーインターフェイスが日本語になる。これまで米国で発売されたAndroid携帯で選択できた言語は英語とスペイン語のみだった。ただし日本語を入力するには、日本語入力アプリを別に導入する必要がある。
すべてのテキストフィールドで利用可能になった音声入力は、ノイズキャンセレーションとの組み合わせにより実用的な機能になった。「ネバダ州ラスベガスのイタリアン・レストラン」など、いくつかの検索を実行してもらったところ、大混雑で騒々しいDigital Experience会場内でも、普通に話しかけるだけで正確に認識された。